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敏腕ヘッドハンターが証言、コロナ禍の転職市場で「最も欲しがられる」人材のタイプとは

プレジデントオンライン / 2020年7月17日 17時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Phawat Topaisan)

新型コロナウイルスの感染拡大で景況感が急速に悪化している。深刻度は2008年のリーマンショック以上だと言う人も。先行きが不透明、不安だけが大きくなる状況下においては、転職したいと思っていても躊躇してしまう人が大半だろう。しかし、人材紹介・企業の事業推進支援などで活躍するオプティマス代表の広富さつきさんは、「リーマンショックとコロナ禍は違う。転職市場では積極採用を継続している企業も多い」と言います――。

■人事戦略に見直しの動き

新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言によって、国全体の経済や景気が心配されています。今年は業績予測を見送る企業も多いのではないでしょうか。コロナが自分たちの事業に短期・中長期のレンジでどのように影響してくるのか、読み切るのはかなり難しいためです。この外部環境変化を受入れた上で事業を継続・成長させるために、多くの企業で事業戦略、人事戦略が見直されています。企業によっては、未来への投資である新卒採用を大幅に抑える、成長戦略が見えない中で中途採用をいったんストップする、などの動きが出るのも無理もないのです。

では、すべての企業に同じような傾向があるだろうと思う方がたくさんいらっしゃると思うのですが、正社員を対象にした転職市場においては、積極採用を継続している企業も多いのが事実です。大きな外部環境変化を経てなお、未来への投資を継続する意思決定をし、他のコストを削ってでも、成長戦略の担い手となる人材を採りにいきたいと考える企業は多いのです。

もちろん、観光、外食、アパレル業界など採用数がかなり減っている業種もありますが、市場の全体感としては、転職をあきらめてしまう必要はないと感じています。

■リーマンショックとコロナ禍の大きな違い

2008年のリーマンショックの際は、どの業界も大打撃を受け、多くの企業が一斉に人材採用をストップしました。しかし、リーマンショックと今回のコロナ禍とは少し違います。コロナが追い風になっている、コロナを追い風にしようとする業種や企業も数多く見られます。特にデジタル化をキーワードとした変革を本格化する動きは強く、そういった企業は非常に採用に前向き。エージェントなどを使って費用をかけてでも、自分たちの事業を変革できるような人を採りたいと考えています。

私はいつも正社員の採用ニーズは、主に以下の3つに分類できると考えています。

1. 既存の業務を、ルールを順守し、遂行する人材
2. 既存の経験値の中で、創意工夫により、生産性を高める人材
3. 変革を起こす人材

■企業が「どうしても欲しい」中途社員のタイプ

コロナ禍においても積極採用を継続している企業も多いとお話しました。しかし、残念ながら誰もが転職しやすいわけではありません。実はコロナ禍によって、企業が「どうしても欲しい」という人材がはっきりした形になりました。というのも、3の「新しい変革を起こせる人材」に対するニーズは非常に活況で、コロナ前と全く変わりがない、むしろ、採用の勢いは加速していると言っていいと思います。

一方で2の「既存の経験値の中で、創意工夫により、生産性を高める人材」への需要は以前に比べると減り、1の「既存の業務を、ルールを順守し、遂行する人材」に至っては相当少なくなっています。もちろん、現場でオペレーションしてくれる人は大事だし、経験や知見を活かし創意工夫しながら頑張ってくれる人も重要。しかし、今は1と2に関してはすでに会社の中にいる人材でなんとかして、3の人を全力で獲得しにいくという流れになっているように感じます。つまり、「変革を起こせる人材」に需要が集中しているのです。

■自分の市場価値を上げる方法

では、どんなスキルを持った人が「変革を起こせる人材」なのか。これも大きく2種類に分けられるのですが、1つ目はデジタル化の分野に強い、DXコンサルや、AI、クラウド、5G、ロボティクスなどのキーワードにガッツリと当てはまるような仕事に携わってきた方。こういった方々は間違いなく引く手あまたです。2つ目はデジタル化の流れを受けて、テクノロジーを使って新しい事業やサービスを生み出せる方。テクノロジーに強いエンジニアに限らず、リソースを使ってサービスに生かせる、事業に実装できる文系人材も求められています。テクノロジーやデジタル化といった事業に携わった経験がなくても、0→1で新しい事業やサービスの企画といった経験も大変評価されます。

日本の女性は謙虚な方が多いので、自分のことを過小評価する傾向にあります。「デジタル」とか「変革」というワードを目にして、今も「自分には無理だ」と最初から諦めてしまっていませんか? 私は、これまで取り組んでこられた仕事の捉え方、意味付けの仕方次第で、35歳以上の女性の方でも「変革を起こせる人材」として評価してもらえる可能性は大いにあると思っています。

つい最近も、ロボット技術を生かして新しい事業を開発することを目指している企業に、教育業界で新規事業の立ち上げに携わっていた女性が内定しました。なぜその方が評価されたのかというと、新しいサービスを創出し続けてきた経験が生かせるだろうと見込まれたからです。現時点で最新のテクノロジーについての知見が足りなくとも、事業立ち上げに必要となるクライアントのニーズや社会課題を起点にやりたいことを描き出す力、相手の目線に立って分かりやすく説明する力や提案力、多くの人を巻き込んでやりたいことの実現に向かうマネジメント力などのポータブルスキルを持っていれば、市場価値は高くなるのです。

自分の経験やスキルに自信が持てない人も多いと思いますが、これまでに取り組んできた仕事の中で必ずポータブルスキルが培われているはずです。転職活動でその経験・スキルをしっかりとPRできれば「変革を起こせる人材である」と、企業に期待感を持ってもらえるでしょう。

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広富 さつき(ひろとみ・さつき)
オプティマス代表
1998年リクルートキャリア入社。キャリア領域部門で営業職・企画職に従事し、部長職を歴任した後、執行役員に就任。2014年にオプティマスを起業。人材紹介・企業の事業推進支援・地方創生を中心に活動している。 ・ビズリーチ ヘッドハンター大賞MVP ・AIロボティクス企業やエネルギー企業の経営幹部/経営管理/マーケを中心に実績多数 ・経済産業省委託事業 福島復興支援事業「福島求人支援チーム」講師 ・中小企業庁 人材セミナー講師 ・厚生労働省委託事業 地域活性化雇用創造推進事業講師等

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(オプティマス代表 広富 さつき 構成=福田 彩 写真=iStock.com)

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