テレワークで新キャラ出現「オンラインKY社員」の傾向と対策
プレジデントオンライン / 2020年7月17日 9時15分
■リモートワークで「オンラインKY」が大量発生している
新型コロナウイルス対策の一環で、リモートワークやテレワークを導入する企業が増えています。ただ、オンラインで行うミーティングや会議にまだ対応しきれていない人がいるのも事実です。
その典型が「オンラインKY」と呼べる人物です。
2007年の新語・流行語大賞の候補「KY」という言葉を覚えているでしょうか。「空気が読めない」の略語で「とにかく自信過剰」「人の話が聞けない」「自称おもしろい、だけどつまらない」といった人を揶揄(やゆ)する意味合いがあります。
大まかには、次の3点に整理することができるでしょう。
1.「間が悪い」~周囲の状況が見えていない。
2.「うるさい」~ムダに声が大きい。テンションが高い。
3.「不必要なことを言う」~余計なこと、関係ないことを話し始める。
つまり、「KY」=空気が読めない人の特徴とは、「こちらの状態や、周囲の状況を無視して、自分が言いたいことだけを言う」となります。
■リモートワーク元年、典型的な「オンラインKY」の生態
リモートワークでは、相手の状況を無視して自分勝手にふるまう「KY」な人に遭遇する。そんな声をしばしば耳にするようになりました。
2020年は、「リモートワーク元年」といっていいでしょう。打ち合わせも、会議も、プレゼンも、セミナーも「オンライン」に切り替わりました。私は、この年に生まれた新種の「KY」を、「オンラインKY」と呼ぶことにしました。いったいどんな「KY」なのか、いくつかご紹介しましょう。
「話が長いKY」(HNKY)
オンラインでの会議は、発言の順番が明確です。できる限り簡潔に意見を述べて、他の人に順番を譲るのがスマートです。「話が長い人」はこれを理解しておらず、(そろそろ次の人にバトンを渡してもいいのでは?)と周囲が思っていることに気がつきません。
「わかって当然KY」(WTKY)
「自分の説明は、すべて相手に理解されている」と思い込んでいる人です。また、自分が共有した資料は、くまなく読まれて当然だと思っています。オンラインだからこそ、より丁寧な説明が必要だと思うのですが……。
「みんなアグリーKY」(MAKY)
「自分の意見には、みんなが賛同している」と勘違いする人です。どう考えても、参加者の反応はまちまちだったはずなのに、会議が終わると100%の合意がとれたことになっているのです。
ここで注目すべきは、「オンラインKY」な人は、リアルの世界では「KY」というわけでなく、ちゃんと空気が読める人であるケースが多いということです。オンライン特有の環境が、彼らを「KY」にさせてしまったのです。どういうことでしょうか。
■「オンライン」だと、「気持ち」が伝わらない
われわれは、他人の「心情」を読み取るときに、9割を「ノン・バーバル(非言語)」コミュニケーションに頼っていると言われています。言葉の中身(言語情報)よりも、表情(視覚)や、声のトーン(聴覚)で、相手の「気持ち」を読み取っているのです。当然のことながら、メールより電話、電話より対面、のほうが、相手の考えていることがより正確にわかります。
![本間 立平『武器になる雑談力』(きずな出版)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/d/6/200/img_d6a0a9319bedff685e691ef3f19f5fdc232874.jpg)
その点でいうと、「オンライン」は、表情も声もわかるので、意思疎通の点で優れているように思えます。しかし、そこに落とし穴があります。リアルな会話では伝わるはずの、「微細なノン・バーバル」(微妙な表情の変化、視線、姿勢、呼吸、しぐさ、あいづちなど)がパソコンの小さなモニター上では伝わらないのです。
われわれは、相手が発するこういった細やかなサインを「無意識」のうちに受け取っています。そして、それに合わせ、自分の発言を「微調整」しています。自分の話を「聞かれているか?」「興味を惹けたか?」「飽きていないか?」「好意的か?」などを常にチェックしながら、話を短くしたり、言い方を変えたりしているのです。
オンラインであるがゆえに、相手をうまく「観察」できず、知らないうちに自己中心的になってしまう。これが「オンラインKY」が生まれてしまう原因です。
■「オンラインKY」にならないための「コツ」
オンラインは「すれ違い」が起きやすい。会議の進行がうまい人は、それを知っているので、リアルな環境に近づけるために、さまざまな工夫をしています。ここでは、そんな人たちが使っているテクニックをいくつかご紹介します。
会議はできるだけ有意義な意見が交わされる場にしたいものです。もし「報告会」や「プレゼン」など、一方的な発表の場であっても、参加者からの意見を求めていることを強調します。これだけで、聴き手の参加意識を高めることができます。
伝える内容は、できる限り細かく分けます。たとえば、20分の説明なら、10分でブレイクを入れて、意見や質問を受け付け、参加者のリアクションを確認します。それによって、強調するところを変えたりとか、新たな説明をつけ足したりなどのチューニングをしていきます。
「オンライン会議」では、できるだけ多く、参加者の名前を呼びます。人は、自分の名前を呼ばれることで、尊重してもらっていると感じます。また、意見を求められていることがわかるとモチベーションが高まるのです。
「リアル」では見えていたものが「オンライン」だと見えなくなる。「コミュ力」のある人は、こういった環境の変化に敏感です。リモートワークが多い方は、このような「すれちがい」を減らすために、伝え方を工夫してみてはいかがでしょうか。
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ショッパー・サイコロジスト/マーケティングプランナー
1000名以上の雑談の達人の会話力を解析し、「人を惹きつける会話」を解明。広告・販促領域で買物心理学をベースにした「買わせるメソッド」を活用。「SNS活用マーケティング」「モノ・コト消費からネタ消費へ」「売れるコミュニケーションの伝え方」をテーマに、企業・自治体・大学での講演多数。著書に『電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。』(大和書房)、『武器になる雑談力』(きずな出版)がある。
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(ショッパー・サイコロジスト/マーケティングプランナー 本間 立平)
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