「8年で貯金110万円→1230万円」貯められない4人家族を一変させた方法

プレジデントオンライン / 2020年8月4日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/andriano_cz

■貯められない家計には「浪費型」と「不況型」がある

私はこれまで2万3000件以上の家計相談を受けてきました。うち、いまでは1000万円以上の資産を作ることに成功した人が1万5000人は下りません。

破綻予備軍の家計もたくさん救ってきましたが、そうした経験から、「貯められない家計」は次の2つに大別できることがわかりました。

①浪費型
②不況型

「浪費型」とは、収入はそれなりにあるものの、無駄遣いがやめられずに家計が火の車になっている人(家計)です。一方、「不況型」とは文字通り、経済環境の悪化によって貯められない家計に陥ってしまう人(家計)です。

■「浪費型」なら克服できる!

「浪費型」タイプは、その言葉通り、中には金銭感覚がルーズな方もいます。しかしそれ以上に、情報や流行に流されやすく、家庭や仕事の関係で大きなストレスを抱えていて、散財でそれを解消する傾向があるといえます。自分の「欲しい」という欲求を抑えられない人もいます。

もともと浪費がひどいというより、さまざまな背景が「お金の使い方」に表れてしまっているのです。

「まさに自分のことではないか」と、ドキッとした人もいるかもしれませんが、実はこの「浪費型」はそれほど深刻ではありません。お金を使わないようにすれば、それで問題は解決できるからです。

そのためには努力も必要ですが、家計を見直し、お金に対する意識をチェンジし、自分が何を大事にするのか価値観をしっかり持つこと。それができれば、浪費型の場合はやがて克服できます。

■「不況型」は自力での対応が困難

改善が難しく、しかもこれから増えそうなのが「不況型」です。

今回、新型コロナウイルスが大流行した影響で、世界各国でロックダウン(都市封鎖)が相次ぎ、世界経済が一気に鈍化しました。リストラや倒産で仕事を失う人が大幅に増加するリスクが高まっています。

それなりの貯金があれば、経済の回復を待ちつつなんとかしのげるかもしれませんが、もともと非正規で働いていた場合などは、十分な蓄えがあることのほうがまれ。

家計が破綻するのは「収入が少ないから」がいちばんの理由であって、どれだけ家計改善にやる気になっても限界があります。そこが不況型の難しいところです。しかも、挽回が容易ではないところも不況型の困った点です。

手元に現金がないために、クレジットカードでの買い物が多くなったり、中には普段なら手を出さない消費者金融で生活費を借りたりする人が出てきます。目先の支払いは乗り切ることができても、やがて返済に追われて、最終的に“転落人生”を歩んでしまうこともないとはいえません。

不況型の貯められない家計が破綻すると、元の生活に戻すのは本当に大変です。そうならないために、働き方や収入について改善を考え、その中で生活ができる方法を見つけることが必要です。

■「家計改善の基本」に立ち返ろう

だからといって、特別なことをしなければならないわけではありません。むしろ、将来が不安だからと、いきなりハイリスクな個別株への投資を始めたり、FX(外国為替証拠金取引)に手を出してしまうのはNG。

私はむしろ、いまは「特別なことは何もしない」ほうが大切だと考えています。難しいことは考えず、無理せずにできる「家計改善の基本」を愚直にやり続けるのがいちばんでしょう。

「家計改善の基本」とは何か。それは、毎月の収入の中できちんと支出を管理して、少しでもお金が残ったら、それをきちんと貯金する。そのために無駄遣いを極力抑えて、シンプルな暮らし方をする。これがすべての基本です。

「当たり前」だと思ったあなた。でも、残念なことにそれができていないから、いま貯金がないのです。まずは、この点を再認識することからスタートしましょう。

■お金を増やす方法は「3つ」だけ

どうすれば資産を少しでも増やせるのでしょうか。いろいろな方法を語る人がいますが、実はいつの時代も次の3つしか方法はありません。

①働いて収入を増やす
②節約によって「支出」をコントロールする
③「資産運用」で増やす

このうち、これまでの時代に多くの人がやってきたのは2番目の「節約」です。

「働いて収入を増やす」といっても、日本社会ではずっと会社員の副業が禁止されていました。また、「運用で増やす」といっても、たとえば株式を買うにはそれなりの資金がないと始められませんでしたし、失敗すれば短期間のうちに大きな損失が出るため、「怖くて手を出せない」という人がほとんどでした。結果、多くの人が「節約」をするしかなかったのです。

しかし、これからの時代は、この3つの方法をバランスよく、すべて実行するべきです。

■資産110万円が8年で1230万円に!

相談者に、家計の見直しを始めた段階で110万円だった資産が、①節約、②貯金生活、③投資生活を組み合わせることで、わずか8年で1230万円にまで増やした方がいました。

タッチスクリーンのビジネスグラフ
写真=iStock.com/fatido
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fatido

仮に田中さん一家とします。家族構成は4人。40代の会社員の夫と自営業を営む妻、小学5年生と3年生の女の子が2人です。

世帯収入は790万円(夫・年収730万円/妻・年収60万円)と比較的高めでしたが、若い頃、収入が不安定で家族に我慢をさせてきたという思いの強かった田中さん。家計に少し余裕ができたことで、家族が喜ぶと思えば高いものでも迷わず購入し、旅行にもお金を使うようになっていました。

そのため貯金はなかなか増えませんでしたが、田中さんは「ボーナスもあるし、なんとかなるだろう」と思っていました。

一方、妻は、夫から受け取る生活費の中でやりくりしていました。体に優しい食材にこだわって高級スーパーを利用するなど、いつも「ちょっと良いもの」を購入するため、毎月の生活費を使い切っていました。

「いまのままで本当に大丈夫かな?」との不安はありましたが、うるさく言って夫から生活費を減らされるのも嫌なので、知らぬふりをしてきました。

■子どもの中学受験が家計の転機に

そんなある日、長女から「中学受験をしたい」と言われました。周りの友達が塾に通うようになって、自分も行きたくなったのでしょう。

田中さん夫婦が調べると、小学5~6年時の塾代だけで100万円以上はかかりそうです。受験費用と入学金で約40万円。さらに、合格後の制服・学用品代で30万円以上……。授業料は、学費の安い中学校でも月額約5万円かかります。驚きました。

貯金はすぐに使い切りそうですし、このままでは毎月の学費の捻出もままなりません。

ですが、「子どものために」と夫婦で一念発起。これを機に家計を根本から見直し、資産を増やすための投資も始めることにしたのです。

■「マネー会議」を開催して家族で家計状況を共有

まずは、支出の見直しです。毎月黒字化することを目標に、家族で「マネー会議」を開催。家計の状況を確認し、今後もお金について共有することにしました。

私立中学に進学することがどれだけ大変なことか理解した長女は、しっかり勉強に励むようになりました。次女は、そんなお姉さんを応援しようと、率先して母親の買い物や家事を手伝うようになりました。

妻は、家計をしっかり予算化し始めました。冷蔵庫に毎月の食費予算を張り出し、予算をオーバーしそうなときは、次女がすぐに気づいてアラートを出してくれます。

食材のこだわりも、「これだけは譲れない」と思うもの以外は、近くの格安スーパーで購入するように切り替えました。また夫は、オークションなどを利用して、たまっていた趣味の物品などの整理整頓を始めました。

こうして、かつてはあるだけ使っていたお金も、今では大事に、家族が互いに気遣い、意識して使うように変わっていったそうです。

■「家計再生」+「3000円投資」を実践

それから8年。長女を無事私立中学に進学させるだけでなく、いまでは田中家の総資産は1230万円になりました。

田中家は何をしたのか。私が提案した通り、支出を「消費」「浪費」「投資」に分けてしっかり管理し、お金を3つの口座(「使う(生活費)」「貯める(貯蓄)」「増やす(投資)」)に分けるようにしただけです。毎月の支出は夫の収入でやりくりすることとし、しかも黒字化して毎月貯金ができるようにしました。

同時に、3000円から低コストの投資信託で積立投資をスタート。2年目からは、半年ごとに積立投資の投資金額を増額することにしました。3年目には月収7.5カ月分の貯金ができたので、それ以降は、黒字分をほぼすべて積立投資の原資にしていきました。

このようにして、「家計の再生」と「資産を増やす」ことに同時に取り組むことで、8年たって気がつけば、110万円だった資産が1200万円を超えるまでになったのです。子どもたちの大学の学費も、老後資産も、この調子で資産を増やしていけばなんとかなりそうです。

「子どもの教育費が準備できて、住宅ローンの返済も当初の予定から5年短縮できた」と、田中さん夫妻は喜んでいました。

■「三位一体のバランス」を見つめ直そう

田中さん一家の事例は特別なものではありません。本稿の冒頭で、これまで相談を受けてきた2万人以上のうち、いまでは1000万円以上の資産を作っている人が1万5000人は下らないと書きましたが、最初は貯金がなかなかできず、投資なんてとてもとても……という人ばかりでした。

貯蓄時間
写真=iStock.com/busracavus
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/busracavus

まずは収入/支出両面のバランスをとって家計の見直しに取り組み、「貯金体質」になることを目指しましょう。そのうえで、すぐに使う予定のないお金があるのなら、運用(積立投資)にも挑戦していきましょう。

これからの時代は、何もしなければ貧困に陥ってしまうリスクと向き合う必要があります。そうした事態を避けるために、①働いて収入を増やすことをめざしながらも、②同時に支出をコントロールし、さらには、③余裕資金で運用に挑戦する。

そうやって「三位一体」でバランスよく家計再生に取り組むことが求められるし、それができた人だけが、「何があっても大丈夫な強固な家計」を作れるといえるのです。

■「未来」は変えられる

新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言は解除され、少しずつ日常が戻ってきました。しかし、東京を中心に感染者の再拡大が続き、今後どうなるか予断を許しません。

厚生労働省によれば、新型コロナウイルス感染拡大に関する解雇や雇い止めが見込みを含めて3万2348人になったといいます(7月3日時点)。雇用形態別に集計を始めた5月25日以降のデータでは、解雇・雇い止めに直面した2万436人のうち非正規労働者が1万1798人、じつに58%を占めています。

もし、「貯金生活」を実践して、年収の半分の金額が手元にあったとしたら。「投資生活」を実践して「しっかり増やす」ことができていたら──見える風景はまったくちがっていたはずです。

横山光昭『「逃げ切れない世代」のための黄金のお金設計』(プレジデント社)

いまからでも決して遅くはありません。「ウィズコロナ」時代の生活は厳しさが続くと思います。しかし、「小さな行動」を実践してみて欲しいのです。

ほんの少しだけ考え方を変え、積み重ねるだけで、人生は劇的に変わります。それが、次なる危機に直面したとき、あなたやあなたの家族の暮らしを守る力になってくれるはずです。

起きてしまったことは変えられませんが、未来は変えられます。

そのための小さな行動改革のヒントを、今回、『「逃げ切れない世代」のための黄金のお金設計』(プレジデント社)にまとめました。ぜひこちらも参考にしつつ、「貯金生活」「投資生活」を実践して、新しい人生を切り拓いてください。

※本稿は、横山光昭『「逃げ切れない世代」のための黄金のお金設計』(プレジデント社)の一部を加筆・再編集したものです。

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横山 光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万3000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は60万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)や『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を代表作とし、著作は143冊、累計330万部となる。オンラインサロン「横山光昭のFPコンサル研究所」を主宰。

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(家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭)

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