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100年で人口は半減…そう遠くない未来、中国で出稼ぎ日本人が爆増する

プレジデントオンライン / 2020年7月28日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/LanceB

■世界人口は増え、日本の人口が減る

地球の人口はどこまで増加し続けるのか? 地球の資源は人口増加にどこまで耐えられるのか?」。この漠然とした不安に対して、意外な予想を米国のCNNが報じました。

世界人口は2064年の97億人をピークとし、減少に転じることで21世紀の終わりまでには約88億人に縮小するというのです。この予測は米ワシントン大学医学校の保健指標評価研究所(IHME)によって発表されました。

また、日本の人口は2008年の1億2808万人がピーク(国土交通省)であり、前出の予測では2100年には約6000万人に減少するとありますから、約100年間かけて「半減」するという見通しです。

人口が減ることで日本の未来はどうなるのでしょうか?

■人口が多い日本が享受するメリット

世界には人口の多い国と少ない国があります。日本は人口の多い国であり、数多くのメリットを享受しているのです。

人口が多い国での主たるメリットは、旺盛な消費に支えられる「内需主導型経済」の構造になることです。国連の調査によると、日本の人口は234カ国中世界11位ですから、「日本は人口の多い国」といえます。日本における輸出依存度は15%程度であり、海外諸国に商品・サービスを販売して外貨を稼ぐ国ではなく、国内の巨大な人口で経済が成り立つ国なのです。その規模は、OECD(経済協力開発機構)に加盟している各国の輸出依存度の低さでいえば米国に次ぐ世界第2位というものなのです(2018年ベース)。

内需が小さく、輸出依存度が高ければ、輸出相手国の経済状況に大きく影響を受けることになります。今や何か商品1つの製造をとっても、網の目のようにサプライチェーンが張り巡らされている超グローバル社会ですから、世界経済の影響を受けない国は存在しません。しかし、旺盛な国内消費があることで、他国の影響を受けにくくなり国の経済はより盤石になります。

■日本でガラパゴス化が進んだのはなぜ

日本文化はとかく「ガラパゴス化」と言われます。これは巨大な国内市場があるため、日本人相手のみに受容されるビジネスでも、十分すぎるほどの富を享受できるからです。製造業においては、技術力や機能の高さはあるのに、世界のビジネス市場で苦戦する様子が報道されます。ビジネスのガラパゴス化の象徴といえば、ガラパゴスケータイです。

筆者はかつて「メガピクセル携帯」を持って米国旅行に行ったことがあります。その際、写真を撮っていると、レストランのスタッフがあまりの高解像度、コンパクトさに驚いて筆者のガラケーを手に持って大騒ぎ、厨房スタッフにまで店に行き「日本のテクノロジーはとっても進んでいる」と言われて誇らしく思った経験があります。

ガラパゴス化は分厚い人口の層がなければ実現できません。日本独自の文化は人口の多さに支えられているのです。

■日本人の英語力の低さは内需主導型経済によるもの

また、経済基盤が内需主導型だと、労働人口の多くは母国のビジネスに従事することになり、海外取引のビジネスに携わる人員の数も限定的になります。

これが日本人の英語力の必要性を低下させており、日本人の英語力が低い根本的原因となっているのです。EFエデュケーション・ファースト(スイス)の2019年調査によると、日本人の英語力は非英語圏で53位、5段階中4番目の「低い能力レベル」と評されています。これは英語力格差が経済格差になるような国と比較すると、内需主導経済の何よりの証明なのです。

これから日本の人口減少が顕在化することで、さまざまなリスクが懸念されています。

先に述べた国内マーケットの縮小や、国外からの脅威に対する自国の防衛力低下も懸念されます。国内消費者の少子高齢化を懸念し、国内の大手メーカーは平均年齢が若く、さらなる人口増加が見込まれる国へのグローバル展開が続きます。国内の大手メーカー24社の決算発表によると、海外売上比率の増加傾向が見られることがその事実を証明しているのです。

■人口が減ることは悪いことか?

確かに国の経済成長という全体論で考えると、人口減少することでGDPとしてのトータルの値は減少するでしょう。これまでの内需主導型経済からの転換も余儀なくされます。しかし、同時に人口増加社会の悩みのタネの解消されることもまた、事実なのです。

その1つは「過密の解消」です。日本の国土は急峻で国土の67%が森林で、可住地面積は約10万3500平方キロメートルとなり、国土面積で見た場合の「北海道+鹿児島県+岐阜県」くらいのサイズです。このサイズの島に人口増加が続けば、人口過密の問題は物理的に深刻化します。一人あたりが持てるパーソナルスペースは極小化が続くことで、ストレスもかなりのものです。この過密の解消が人口減少で自然解消します。

また、人口減少で日本全体的な経済成長が低下しても、国民一人あたりの労働生産性はむしろ高まる可能性があります。そしてこの傾向は人工知能が単純労働を代替し、よりクリエーティビティや高い労働生産性が求められる、これからの新たな時代で迎合されるべき傾向と見る専門家もいるのです。

■日本がこれから受ける“痛み”

なぜ、人口減少が労働生産性を高めるかというと、強制的に構造の改革を迫られるからです。エコノミストの原田泰氏の論文によると、労働力人口増加率の低い国もしくは減少している国ほど、労働生産性の伸び率が高いとあります。限られた労働力のリソースを節約するための技術革新やノウハウが促進されることで、より付加価値の高いビジネスへと誘引されるからです。

現在は人口を多く抱える内需主導型経済を前提として、ビジネス取引が行われています。ここから大きく構造転換が起こる「痛み」はあるでしょう。しかしながら、人口減少の問題は日本に限った話ではありませんから、見方を変えればいち早くこの少子高齢化、人口減少における有効なデータを蓄積し、対応を行うことでビジネスチャンスにつなげられる可能性もあります。

■日本人が中国へ出稼ぎにいく未来

しかし、お隣中国の存在を加味すると、日本の人口減少の本格化が懸念事項の可能性を帯びてきます。

現在は日本で多くの「外国人」がコンビニ店員などの労働力になっています。とりわけ、中国人は全体の3割を占めます。経済学者の野口悠紀雄氏によると、今後一人あたりの豊かさが日中逆転することで、人の流れも逆転する可能性があるというのです。

現在のところ、日本に来ている労働を目的として来日する外国人は、自国より豊かな経済力、労働市場における就労機会にメリット感じて来日をしていると推測されます。しかしながら、このまま日本が少子高齢化を続けて、大きな労働生産性の高まりが実現できず、一方で中国の経済成長が続いて一人あたりの豊かさで追い抜かれたとき、今とは逆に日本人が中国へ出稼ぎにいくという未来が来る可能性があるというのです。

■中国のIT大手初任給の高さと消える有能人材

中国のIT大手・ファーウェイやテンセントの初任給は、すでに日本の大卒初任給を超えています。日本国内より魅力的な企業が中国に登場し、ビジネスチャンスが増えることで日本の有能な人材が中国へ就労機会を求めるトレンドが本格化すると、優秀な人材が国外に流出する懸念が高まります。そうなると、今以上に中国という国の政治や経済状況の一挙手一投足に振り回されることになります。

人口減少を利用して、労働生産性を高め一人あたりの豊かさを高めるか? それとも優秀な人材が海外に流出するリスクにさられるか? 日本人の真価が問われます。

(ビジネスジャーナリスト 黒坂 岳央)

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