バリキャリ女医が教える、女のキャリアを壊す「隠れ男尊女卑男」を見抜く4つの質問

プレジデントオンライン / 2020年7月29日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/itakayuki)

理想は、ジェンダーに関係なく、自律したキャリアを築ける社会。とはいえ男女の賃金格差はまだまだ大きく、また女性は妊娠・出産・育児などのライフイベントでキャリアが中断されがち、という現実があります。ともに人生を歩むパートナー選びは、そうした現実に立ち向かうためにも超重要。この意識は、「手に職」の最たるものといえる医師であってもかわりがないようです。都内の病院に勤務する女性医師たちに伺いました。

■チェックポイント1:結婚後の働き方

結婚を考えるときには、相手との相性はもちろんながら、現時点での自分のキャリアプランを明確にしておくことも重要なポイントでしょう。「結婚後も変わらずキャリアアップしていきたい」「出産したら、育児を最優先にしたい」「ライフステージに合わせて、仕事のボリュームを調整したい」など、人それぞれに思い描く未来は違うはず。

都内の病院の産婦人科で働くA子さんも、結婚の際には自身のキャリアビジョンを見つめ直したと語ります。

「医師のキャリアは、専門性を高めていくことで積み上がります。まずは、専門医の資格を取得するのが、最初のステップアップ。産婦人科医の場合であれば、産婦人科専門医のほか、生殖医療専門医、婦人科腫瘍専門医など、それぞれの専門別にめざすサブスペシャリティが分かれます。専門医の認定試験を受けるためには、常勤として働いていた年数などの条件が課されます。アルバイトでは、自身の実績にはなりません。

ただ、常勤の場合は、診療科目にもよりますが夜勤や当直などもあり、体力的にも過酷です。パートナーに勤務体制や仕事内容への理解がない場合、常勤で医師を続けていくのは、なかなかにハード。夫婦間戦争勃発は避けられません」

女性医師同士の会話では、「結婚相手が家庭に対してどんな価値観を持っているのか」は交際中からリサーチする、という声が多く聞かれるそう。それは、結婚が自身のキャリアに影響を与えることをよくわかっているからにほかなりません。医療関係者同士の結婚が多いのは、仕事に対する理解が得やすいからという理由も大きいようです。

A子さんも交際中の彼に「あなたは、妻に働き続けてほしい? それとも専業主婦になってほしい?」と聞いたとか。

「もし専業主婦になってほしいと言われたら、どんなに好きな相手でも結婚は踏みとどまったと思います」(A子さん)

■チェックポイント2:子どもについての考え方

「子どもは欲しいか」「何人くらい希望するか」も、事前にチェックするべきポイントとだと力説するのは、不妊治療専門クリニックに勤務するB子さん。

「ライフプランを立てるとき、また家庭を築くときに、子どもについてどう考えているかは外すことのできないポイントです。夫婦ふたりで暮らしていきたいという人と、絶対に子どもが欲しい人では、結婚当初はよくても、少しずつひずみが大きくなっていくことが予想されます。そして、女性は、年齢を重ねるほどに妊娠しづらくなり、流産や早産などのリスクも上がっていくものです」

日々、不妊治療クリニックで赤ちゃんをのぞむ患者さんと接しているB子さん。「子どもは欲しくない」という考えの男性とは結婚はもちろん、交際も難しい、という考えだったと話します。

これは医師に限った話ではなく、すべての女性に共通するものでしょう。反対に「子どもは産みたくない。仕事や夫婦2人の生活を充実させたい」という考えだって尊重されるべきです。大事な部分だからこそ同じ価値観を持っている人を選ぶことが重要になる、と言えそうです。

■チェックポイント3:家事の外注に抵抗がないか

医師の業務は、夜勤や当直などがあり、時間的にも不規則。そうした背景もあってか、結婚相手の家事に対する考え方も、密かなチェックポイントだと言います。

「帰宅してから『家事は女性の仕事』『家にいるときは、掃除、炊事、洗濯を完璧に』なんて求められたら、もう体が持ちません。夫婦で家事分担し、手が回らないときは家事代行サービスも積極的に活用します。家事の外注に嫌悪感を持つ人とは、結婚生活は無理ですね」と話すのは、小児科医のC子さん。

乳児検診などで多くの働くママに接する機会も多いC子さんは、ワンオペ育児で疲れ切って、精神的にも肉体的にもギリギリの状態で子育てをしている女性の姿を見ています。また自身も6カ月の女の子の母として、仕事と育児の両立に奮闘中。夫婦のあり方について疑問に思ったり、夫婦で議論を交わしたこともあったそう。

「子どもの保育園の送り迎えや、急な発熱などによる呼び出しにどちらが対応するか、などの考え方にも、お互いの価値観が如実にあらわれますね。共働きの場合でも、女性が仕事を切り上げて迎えに行くことが一般的になっていますが、本来、夫と妻、どちらの仕事も優劣なく重要なはずです。男性と女性の特性はあるから、女性が『母として私が迎えにいきたい』と思うなら、それはまったく問題ないと思います。ママ友にも『しっかり家事をしているほうが、自分の気持ちがいい』という方もいます。

大事なのは、それを自分で選んでできる、ということ。そして、大変なとき、つらいときには、「周囲に頼る」「外注する」という選択肢も用意されていることではないかと思います」

「家事のアウトソーシングに抵抗がないか」は、こうした家事・育児に対する考え方をわかりやすくあらわしてくれるもの。見極めに使えるチェックポイントと言えそうです。

■チェックポイント4:ジェンダー問題の捉え方

男女平等と言われながらも、残念ながらまだ社会のあちこちに「女性だから」「男性だから」という偏見で苦労する場面が残っています。

医学部の入試で、女子受験生と多浪受験生には一律減点の不正操作が行われていたニュースはまだ記憶に新しいところです。

この問題は、社会に根深く残っているため、男女ともに「性差別だ」と気づかないこともあり、見極めの難しいところです。

産婦人科医のA子さんは、後輩に起きた「恐ろしいエピソード」を披露。

「後輩は、産婦人科医になることを希望していましたが、結婚直前に交際相手から『皮膚科医になってほしい』と言われたそうです。相手も医師であったために、当直や夜勤が少ない皮膚科医のほうが結婚後、育児などもしやすいという思いがあったよう。ただ、いくら医療現場の事情がわかっているからとはいえ、産婦人科医になりたいと夢見てひたむきに頑張ってきた恋人に『進路を変えろ』とたやすく言える心理を考えると、そこには『女性の仕事は腰掛け』『子どもができたら、女性のほうが仕事をセーブするだろう』という偏見がみてとれますよね。彼女は、一度は彼の意見を受け入れ、皮膚科医となりましたが、やはり医師になったときからの夢をあきらめきれず、産婦人科医に転科しました」

令和になっても、結婚目前になって、あるいは結婚したら、手のひらを返したように豹変して「フルタイムの仕事は辞めて」「管理職なんてとんでもない」と、女性のキャリアを制限しようとする男性もまだまだ生息……。彼が豹変しないかどうか、これは結婚後も働き続けたい女性に共通の懸念かもしれません。

A子さんは、普段からジェンダーについて話すことを意識していたそう。

「女性蔑視的な考えがないかどうかを見極めるためにも、私は、MeToo運動やKuToo運動など、ジェンダー関連のニュースや話題を積極的に話すようにしていました。こうした話題をいっしょに話し、考えられるかどうかは、ひとつのチェックポイントになりうると思います」

今回お話を伺った女性医師たちは、「相手選びのポイントといっても、結婚に至るかどうかは双方の意思あってこそ。一方的に選べるものではありません。でも、絶対に譲れないと思うところははっきりさせておくことが大事」と口をそろえます。4つのポイントを紹介しましたが、すべてチェックすべきということではなく、自分が譲れないポイントをしっかり定めていくことが大切と言えそうです。

(浦上 藍子 写真=iStock.com)

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