心理学者直伝「ささいなことで傷つく」イマドキ男性部下を、一瞬で元気にする方法2つ

プレジデントオンライン / 2020年8月5日 6時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/taa22)

失敗を引きずっていつまでもグズグズしている。傷つきやすい。モチベーションが低空飛行……。そんな手のかかる男性部下を持ったら、どうしたらいいのでしょう。心理学者の内藤誼人さんが解説します。

■男性は、姿勢の影響を受けやすい

私たちの心理状態というものは、自分がどんな姿勢をとっているかによって影響を受けています。

まったく悲しいことなどなくとも、下を向いてうつむきながらしばらく歩いてみてください。なんだかどんどん気分がネガティブになっていく感じがするのではないでしょうか。

「意気消沈しているから、下を向いてうつむく」ということもあるのですが、その逆もまた真なりで、「下を向いてうつむいていると、意気消沈していく」ということもあるのです。

「楽しいから、笑う」ということもあるのですが、「インチキでも笑顔を作っていると、なんだか気分が陽気になってくる」ということも、現実にあるのです。

しかも、この姿勢の効果に関しては、女性よりも、男性のほうが影響を受けやすい、ということがわかっています。

■姿勢を正して受けたテストは好成績に

コロラド大学のトミー・ロバーツは、23名の男子大学生と、47名の女子大学生に、数学のテストを受けてもらいました。ただし半数のグループは、「背筋を伸ばして椅子に座る」ように求められ、もう片方のグループは、「肩を落として、うなだれて座る」ように求められました。

その結果、どちらの姿勢をとっていても、女性のほうはテストの成績には影響がなかったのに、男性の場合には、「背筋を伸ばす」グループでは好成績だったのですが、「肩を落として、うなだれる」グループでは成績が悪くなっていたのです。

肩を落として、うなだれていると、「どうせ僕なんか、つまらない人間だし、試験もできるわけがない……」というネガティブな気持ちが引き出されてしまうわけです。女性はそうでもないのですが、男性は姿勢の影響を受けやすいので、どうもそういう気持ちになってしまうようなのです。

■「元気出しなよ~」という慰めよりも効果的な声かけ

たいてい、どんな業種の仕事もそうだと思うのですが、仕事というものは基本的にそんなにうまくいきません。成功より、失敗のほうが、はるかに多いものなのです。

したがって、仕事で失敗をして、しょんぼりと落ち込んでしまっている男性を見かけたら、「ほらっ! もっと背筋を伸ばして!」といってあげるとよいでしょう。ちょっと強引なくらいに、背筋を伸ばさせるといいと思います。

そうやって背筋を伸ばしてあげると、男性のほうも気持ちを立て直すことができ、「ありがとう、もう1回頑張ってみるよ!」という意欲を取り戻してくれるかもしれません。もちろん、背筋を伸ばすように促してくれたあなたにも感謝するはずです。落ち込んだ男性を見かけたら、自分の株をあげるチャンスだと思ってください。

失敗して落ち込んでいる人に、「元気出しなよ~」とか、「だれだって失敗するんだから」と慰めても、うまくいきません。相手を余計に落ち込ませるだけです。そうではなく、「ほら! 背筋を伸ばして、もっとシャンとして!!」と、まずは姿勢を変えさせるのです。姿勢を変えさせれば、それに引きずられるようにして、気持ちのほうもしっかりしてくるのですから。

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(参考)
Roberts, T. A., & Arefi-Afshar, Y. 2007 Not all who stand tall are proud:Gender differences in the proprioceptive effects of upright posture. Cognition and Emotion ,21, 714-727.

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■落ち込んだ人には、ムリに笑顔を作らせてみる

もう一つ、これは男性のみならず、多くの人に効き目のある方法をご紹介しておきましょう。私たちの心は、自分がどんな姿勢なのかの影響も受けますが、冒頭で触れたように、表情の影響も受けます。自分がどんな表情を作るかで、どんな感情や気持ちが引き出されるのかが変わってきてしまうのです。

面白いことなど何もなくとも、笑顔を作っていると、どうなるのでしょうか。私たちの脳みそは、「きっと面白いことがあったに違いない」と錯覚するのです。そして、ドーパミンやエンドルフィンなどの快楽物質をどんどん分泌し始めるのです。そのため、インチキでも笑顔を作っていると、本当に愉快な気持ちになってきてしまうのですね。

これを心理学では、「フェイシャル・フィードバック効果」と呼んでいます。笑っていれば楽しくなれますし、怒っていると、不愉快な気持ちになってしまうのです。

米国イリノイ大学のマヤ・タミールは、「人間が、ポスター(自然の風景や滝など)を見ているときの生理反応を調べたい」という嘘をついて、顔に2つの電極をつけさせてもらいながら、ポスターを評価してもらうという実験をしたことがあります。

ただし、実際には、生理反応など調べていません。あるグループには、両頬に電極をつけて、筋肉に力を入れてもらったのです。こうすると、口角が上がって気づかないうちに笑顔になるのです。こちらのグループは笑顔グループです。

もうひとつのグループでは、両眉に2つの電極をつけて、眉周辺の筋肉の力をいれてもらいました。すると眉間にシワが寄って、しかめっ面になるのです。こちらのグループはしかめっ面グループです。

それからまったく同じポスターを見せて感想を言ってもらったのですが、笑顔グループからはポジティブな感想ばかりが出されました。逆に、しかめっ面グループからは、悪い点ばかりが挙げられました。

私たちは、たとえインチキな笑顔でも、とにかく笑顔を作っていれば、気持ちもポジティブになっていき、ポジティブなことばかり口に出すことをこの実験は示しています。

■陰気な性格の人にも効果的

落ち込んでネガティブな気持ちになっている男性には、とにかく笑顔を作らせましょう。「ほら、眉間にシワなんか寄せているから、気分が悪くなっちゃうのよ。とにかく1分間、笑いなさい! はい、スタート!!」と言ってみてください。こうすれば、男性はポジティブな気分になれるはずです。

性格的に陰気な男性にも、このテクニックは効果的です。とにかくいろいろな理由をデッチあげて、笑顔を作らせましょう。面白いお笑い番組の話題を振って見せるのもいいでしょう。それをくり返していれば、もともと陰気な男性でも、少しは陽気になってくれるかもしれません。

どうせ仕事をするのなら、陽気に、楽しく仕事に取り組んだほうがいいに決まっています。そのためには、笑顔を作らせることです。だいたい男性にはネガティブ思考の人が多い傾向にあるので(眉間にシワを寄せている人も多い)、笑う機会をつくってあげることをお勧めします。

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(参考)
Tamir, M., Robinson, M. D., Clore, G. L., Martin, L. L., & Whitaker, D. J. 2004 Are we puppets on a string? The contextual meaning of unconscious expressive cues. Personality and Social Psychology Bulletin ,30, 237-249.

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内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者
立正大学客員教授。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。『世界最先端の研究が教えるもっとすごい心理学』(総合法令)など、心理学を応用したビジネススキルに関する著書多数。

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(心理学者 内藤 誼人 写真=iStock.com)

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