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コロナで始まった「郊外型チェーン飲食店」の逆襲

プレジデントオンライン / 2020年8月16日 11時15分

好調が続くケンタッキーフライドチキン。2020年5月の既存店の売上高前年比は137.6%、来店客数は106.5%だった。(AFLO=写真)

■外食業界全体の落ち込みが、今後どう戻っていくのか

外食業界は、新型コロナウイルスによるダメージを最も被った業界の1つでしょう。ほとんどの企業が売り上げを大幅に減少させています。

例外的なのは、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどのファストフードです。もともとテイクアウトで3~4割の構成比があり、利用者の意識も定着していたため、「巣ごもり消費」の恩恵を大きく受けました。特にケンタッキーは緊急事態宣言が発令された2020年4月の既存店売上高が、前年同月比で33.1%も増加しています。

ただし外食業界全体の落ち込みが、今後どう戻っていくのかはまだ不透明です。基本的には、コロナの影響が比較的軽微だったところが回復も早いのではないでしょうか。

今後を見通す際のキーワードは3つあります。1つ目は、先にも出た「テイクアウト」。「自宅で食べる」という習慣は、今後も根強く残ることでしょう。となると、やはりテイクアウト戦略が今後の生き残りには欠かせないといえます。

2つ目は「滞在時間」。店内で長い時間飲食をすればするほど、感染リスクは高まります。居酒屋のような長時間滞在することで収益を上げるスタイルの店は厳しく、すぐ食べられてさっと出られるファストフード店はやはり優位です。

■注目は「はま寿司」「すき家」のゼンショー

最後は「立地」。今も“夜の街”での感染拡大が報じられていますが、やはり人が密集する繁華街は避けたいと考える人が多いでしょう。となると、車で行けて、店内も比較的広くてソーシャルディスタンスが取れる郊外やロードサイド店が、消費者心理としては行きやすくなります。

これらを総合すると、厳しいのはやはり居酒屋チェーンです。テイクアウトに向くとはいえず、滞在時間は基本的に長く、繁華街にある店舗が多い。ファミレスも居酒屋ほどではないものの苦しいでしょう。コロナ以前からショッピングモールのフードコートや回転ずしなどにファミリー層のお客さんを取られ、もともとあまりいい状況ではありませんでした。そこにコロナ問題が重なって、弱り目にたたり目というところです。ファミレス大手の一角ジョイフルが直営店の約3割にあたる200店程度を2020年7月以降に閉店すると発表したのは、象徴的な出来事といえるでしょう。

逆に有望なのはゼンショーホールディングスです。ゼンショーの主力は牛丼のすき家と回転ずしのはま寿司ですが、すき家はテイクアウトが伸びて、立地も郊外が多い。はま寿司もテイクアウト対応をしていて、滞在時間も比較的短く、ロードサイド店も多い。ゼンショーグループにはココスやビッグボーイなどの苦しいファミレスチェーンもありますが、全体的に見れば有望なポートフォリオといえるでしょう。

ほかの牛丼チェーンでいえば、吉野家はわりと堅調ですが、繁華街に店舗が多い松屋は苦戦気味です。吉野家やすき家はマーケティング戦略が巧みで、メインの顧客層であった20~30代の男性客だけでなく、女性やファミリー向けの商品やキャンペーンなども打ち出しています。テイクアウトが広がれば、店に入りにくかった女性客の取り込みにもつながるため、ポテンシャルはまだあると見ています。

(三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニアアナリスト 新井 勝己 構成=衣谷 康 写真=AFLO)

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