日本はアメリカと中国のどちらにつくべきなのか?
プレジデントオンライン / 2020年8月30日 11時15分
■全体主義との価値観戦争で勝ち残るために
新型コロナで明けた2020年、威圧的な言動であちこちで摩擦を起こし、米国中心の民主主義国家群との本格的な“戦争”に突入した習近平・中国。その行動原理を把握するうえで、屈指の中国ウオッチャーが著した本書は、前著『習近平の敗北』とともに必読といっていい。香港デモに多くのページを割き、新型コロナの感染拡大は中国に責任アリと明言、これが習政権の致命傷になると指摘する。
「歴史上、共産主義は民主主義より先に終わりが来ると思っています。産経新聞時代の先輩が目撃していた1991年の旧ソ連崩壊のような場に憧れていたというか。隠していた内部情報が一気にワッと出て、世界中からジャーナリストが集まって切磋琢磨するときが今に来るぞ、来るぞと待ちつつはや10年、20年(笑)。トランプと習近平が同時に出てきた今は、とにかく動きが速いけれど、民主主義という普遍的価値観と共産主義の全体主義的価値観とが激突する大きな節目。ギリギリ間に合ったと思っています」
89年の天安門事件、97年の鄧小平死去等々、「中国崩壊か?」と思わせる出来事を、中国は乗り切ってきた。
■中国の台頭を許さないという決意
「最大の原因は、米国と日本が中国を助けていたこと。天安門事件後、日本が世界に先駆けて中国への経済制裁を解除したのは、米国からの要請だったことを、先輩方と一緒に取材しました。今回は違う。米国が中国の台頭を許さないという決意を見せています」
決定打は香港だったという。
「かねて、香港か台湾を契機に米国と中国の対立が先鋭化すると考えていました。先に香港がハジけましたが、次は米国と命運を共にする覚悟を決めた台湾。米国は、米中どちらにつくのかを各国に迫っています。中国とベッタリだった豪州も袂を分かつ決断を下し、中国からカネを貰っているような議員を暴き、法律も変えた。日本はまだ『両方とうまくやりたい』とか、『2国間を取り持つのが役目』などと立場を明確にしない」
間を取り持つつもりなら、それこそ立ち位置を明確にすべきだと福島氏は言う。
「どっちつかずのコウモリでは、調整なんて無理なんですよ。対立解消は、どちらかに『変わってもらう』ことが必須。であれば、日本は米国側について、中国に変わってもらうしかないでしょう」
日本の企業もそういう決断を下すときが来る、という。
「政府首脳の1人が、ある人に出した手紙の中で『安倍政権は、米国と価値観を共にして、同じ道を歩んでいくことをすでに決めている』と記しています」――多くの日本人もそう欲しているだろう。
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ジャーナリスト
文筆家。1967年、奈良市生まれ。大阪大学文学部卒業。91年産経新聞入社。香港支局長、中国総局駐在記者などを経て2009年退社しフリーに。著書多数。
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プレジデント編集部
1966年、神奈川県生まれ。中央大学法学部卒業。生命保険会社勤務、週刊誌・業界紙記者を経てプレジデント編集部に。
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(プレジデント編集部 西川 修一 撮影=永井 浩)
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