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"土下座野郎"安倍とは正反対…コロナに倍返しするのは「吉村イソジン総理」一択だ!

プレジデントオンライン / 2020年8月14日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

■「ポスト安倍」候補は一長一短

新型コロナウイルスの感染再拡大が止まらぬ中、日本列島はお盆や夏休み期間に突入した。自治体には帰省の自粛を求めたところもあるが、安倍晋三総理は「一律の自粛は必要ない」とのアナウンスを繰り返し、国民はその混乱と不安を抱きながら「特別な夏」を迎えている。

例年と比べれば人出は減っているものの、帰省や旅行に向かう人々を後押ししているのは、再拡大期にもかかわらず国が強行した観光需要喚起策「Go To トラベルキャンペーン」だろう。専門家の懸念通り人気観光地での感染者数は急増し、医療提供体制は逼迫。逆に予約キャンセルが相次ぐという笑えない状態だ。国が無策なだけならば「このバカチンが!」と怒られるので済むが、このタイミングに逆行するような愚策を展開するのだから不安は増幅し、日本経済も国民の心理も冷え込む「負のスパイラル」に陥っている。このようなダメダメな時、人々は「救世主」の登場を期待する。ただ、「ポスト安倍」候補といわれる面々は「帯に短し襷に長し」で、その像に当てはまるとは言い難い。でも、そう悲観する必要はない。なぜならば、我々には一世を風靡した「あの男」がいるではないか――。

■自民党内での“疑似”政権交代には限界

「春よ、来い。早く、来い」

史上初の緊急事態宣言の発出とともに迎えた2020年の春から「巣ごもり生活」を余儀なくされてきた国民の中には、松任谷由実氏の人気曲をしみじみと感じている人もいるだろう。WHO(世界保健機関)が長期化を示すコロナ禍に人々は焦り、未曽有の危機を突破してくれる力強いリーダーを渇望している。だが、現実はどうだろう。読売新聞とNNNが8月7~9日に実施した世論調査によると、安倍政権のコロナ対応を「評価しない」との回答は前月より18ポイント上昇し、66%に達している。安倍総理が指導力を発揮しているかについては「そうは思わない」が78%に上っており、7年半もの長期政権を築いてきた安倍政権に対する国民の失望はあまりに大きい。

はっきり言えば、「自民党1強」時代に安倍総理に代わるリーダーが登場することは容易ではない。よほどのことがない限り、自民党総裁任期が満了を迎える来年9月までは付き合わざるを得ない可能性が高く、無策が続く現況から悲嘆に暮れる人もいる。「ポスト安倍」候補としては、自民党の石破茂元幹事長や岸田文雄政調会長、菅義偉官房長官らの名があがるものの、いずれも国難を突破できるほどの突破力と求心力を持っているかは疑わしい。何より、石破氏を除いて安倍政権と二人三脚で歩んできた人物が宰相に就きさえすれば、国民の共感を得られるようになるかといえば、大いに疑問がある。もう自民党内の「疑似政権交代」だけでは限界があるようにも感じる。

■安倍とは対照的な吉村

しかし、そう悲観することはない。わが国には、かつてコロナ対応で人気急上昇した人物がいるからである。その男の名は、今や「イソジン吉村」「ウソジン吉村」の異名を持つ大阪府の吉村洋文知事だ。別の名として「ポピドン吉村」というのもある。歯に衣着せぬ発言と行動力、韓流スターと見まがう甘いルックスで人気を呼び、毎日新聞と社会調査研究センターが5月に実施した全国世論調査では、コロナ対応で「最も評価している政治家」のトップとなった。それは「もう3カ月も前のことだよ」と言われるかもしれないが、連日のように出演したテレビ番組ではキャスターや評論家が賞賛し、一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだった過去を持つのは事実だ。

6月下旬から全国各地で感染再拡大が見られていたにもかかわらず、記者会見を開いて国民にメッセージを送ることもなく、ただ存在感を消していた「大宰相」と、露出を好む吉村氏のスタンスはあまりに対照的といえる。安倍総理は8月6日、広島市で49日ぶりの会見に臨んだが、その時間はわずか15分間。同9日の長崎市での会見も18分間で打ち切り、「まだ質問があります!」との呼びかけにも応じることはなかった。ちなみに2つの会見は平和記念式典に参列した際に開かれたもので、コロナ対応を自ら呼び掛けるために開催されたものではないことも付記しておく。

■伝説となった吉村「イソジン会見」

では、吉村氏の場合はどうだろう。まず、その会見時間は1時間を超える。あらかじめ用意・通告した質問を記者が読み上げ、事前準備された回答の書面を読み上げる安倍総理の「会見ショー」とは大きく異なる。小泉純一郎総理の「ガリレオ解散会見」と並ぶといっても過言ではない「イソジン会見」に衝撃を受けた方々も多いのではないか。もはや後世に残るだろう「伝説の記者会見」ともいえる。

念のため、その会見に少し触れておきたい。8月4日、居並ぶ記者たちの前に日本維新の会代表である大阪市の松井一郎市長とともに現れた吉村氏は、おもむろにこう切り出した。「ウソみたいな本当の話をさせていただきたい」。机上にずらりと並べた各社のうがい薬を手に「うがいをすることで、コロナの陽性者が減っていく」などと熱く語りかけたシーンは、まるでテレビ通販番組で「今なら、もう1個ついて3980円!」という声が聞こえてきそうな雰囲気だ。今すぐにでも、うがい薬を購入したくなってしまうほどの説得力がある。

府立病院機構「大阪はびきの医療センター」(大阪府羽曳野市)とともに、コロナ感染者に口内の殺菌や消毒をする成分である「ポピドンヨード」成分を含むうがい薬でうがいをしてもらったところ、唾液検査で陽性割合が減少したとの研究結果をわかりやすく説明した。41人に調査して具体的にデータをあげていくところは、府独自のコロナ対策基準「大阪モデル」を公表した時と変わらない。

■吉村にも確かに軽率な面はあったかもしれない

「府民の皆様に、この目の前にあるポピドンヨード、こういったうがい薬を8月20日まで集中的にぜひうがいを励行してもらいたい」「このコロナにある意味打ち勝てるのではないかとすら思っている」

国のトップからのメッセージがほとんどない中で、ここまで言い切る首長に「救世主」像を重ねた人もいるはずだ。吉村氏への信頼があるからこそ、会見直後からうがい薬の購入に走る人が続出し、全国各地の店頭から消えていったのである。専門家は「吉村氏が発表したものは科学的根拠が薄い」と指摘し、大阪府歯科保険医協会は「医療現場と府民に混乱をもたらし、治療にも支障をきたしている。瞬く間に『うがい薬』が市場から消えてしまい、最も多く使用している歯科医療機関でさえ手に入らなくなっている」と批判する声明を出したが、もう少し温かく見守りたくなる存在ともいえる。

たしかに数百~数千の事例を集めた分析ではなく、国が効果を確認していない段階での発表は「軽率だ」との誹りは免れない。人気急上昇中の際は「マウントをとって、政府や他の首長に批判的なコメントを続けていたが、大阪府も感染者数は実はかなり多い」(大阪市の40代男性経営者)との批判もあがる。実際、この会見を機に吉村氏は「フルボッコ」状態に遭い、一時は「タップ寸前」とまで言われるようになった。ただ、8月5日の記者会見では「予防効果があるということは一切ないし、そういうことも言っていない」などと釈明しているではないか。

■行動するニューリーダーを見守りたい

誤解を恐れずに言えば「何もしない国」よりも、よほど立派である。指導者への信頼が失われ、それ自体がもはや危機といえる中で、失敗を恐れずチャレンジしていく姿勢は全否定されるべきものではないだろう。前出の毎日新聞などの調査で吉村氏と並んで高い評価を受けた東京都の小池百合子知事は、このタイミングでの「Go To トラベルキャンペーン」開始について「冷房と暖房を両方かけることにどう対応していけば良いのか」と見直しを要請。さらにお盆シーズンに関しても「この夏はコロナに打ち勝つことが最優先」と帰省を控えるよう求めた。

だが、今や「東京問題」「沖縄問題」などと自治体批判を仕掛け、政権に厳しい批判が向かわないよう躍起になっている安倍官邸は今回の「大阪問題」についても、ほくそ笑んでいるようだ。ちなみに、読売新聞などの世論調査によると、国がキャンペーンを強行したことは「適切ではなかった」との回答は85%に達し、お盆期間中の帰省については「自粛すべきだ」が76%に上っている。国と小池氏のどちらが国民の皮膚感覚に近いか一目瞭然だろう。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は8月7日の記者会見で、政府による情報発信について「不十分、改善の余地がある」と苦言を呈した。

もっとも、吉村氏が副代表を務める日本維新の会は「イソジン会見」への批判に加えて、東京維新の会メンバーでもある赤坂大輔・東京都港区議会議員が8月6日に公然わいせつの疑いで逮捕されるなど、厳しい局面を迎えているのも事実だ。普段、維新メンバーは「情報公開を!」と声高に言っているものの、こうした事態にほとんど沈黙する姿を見せられ、辟易とする人々もいる。実際、全国紙の政治部記者からは「維新の政党支持率が上昇したのは『吉村人気』があったから。そのバブルが弾けてしまった今、維新は終わった」と冷めた見方も広がる。だが、それらも含めて日本を背負って立つ「ニューリーダー」を温かく育てていく必要があるのではないか。

■「吉村総理」もありえる

年内実施が見込まれる次期衆議院選挙で、仮に自民党の議席が大幅に減少するようなことがあれば、同党は維新に連立政権を組むよう求めるだろう。そのような局面では、維新の議席数がたとえ少なくても「てこの原理」が働き、維新の主張を受け入れなければ内閣が瓦解する局面を迎えることもある。「維新=吉村氏」が唱える改革を一気に進めるチャンスが到来するかもしれないのである。場合によっては近い将来、維新から「首班」というケースも出てくる可能性すらあるだろう。今は府知事として活躍している身ではあるが、今年11月に「大阪都構想」の是非を問う住民投票で悲願が成就すれば、「それ以降はいつ国政復帰してもおかしくない」(全国紙社会部記者)。

持ち上げては落とすメディアの洗礼を浴びる吉村氏が、真の「ニューリーダー」になれるか否かの判断をするにはまだ早い。人気ドラマ『半沢直樹』で伊佐山部長にののしられた大和田常務のような「土下座野郎」になるのか。それとも「倍返し」で国の舵取りを担うまでに成長するのか。先が見通せないコロナ禍にあっても、ただ1つ言えることは、吉村氏がこのまま勢いを失ってしまうようならば、所詮はそれだけのつまらない男であったということだけだろう。

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麹町 文子(こうじまち・あやこ)
政経ジャーナリスト
1987年岩手県生まれ。早稲田大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーランスとして独立。プレジデントオンライン(プレジデント社)、現代ビジネス(講談社)などに寄稿。婚活中。

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(政経ジャーナリスト 麹町 文子)

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