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小池百合子語録…都知事選圧勝!「なぜ女性は応援したくなるのか」

プレジデントオンライン / 2020年9月5日 11時15分

東京都知事 小池百合子氏(時事通信フォト=写真)

■「女性が応援したくなる」魔法の言葉

一連の新型コロナウイルス対策では、政治家のパフォーマンスの巧拙が浮き彫りとなったが、そのなかでも抜群の情報発信力を発揮することで2020年7月5日の東京都知事選挙で再選を果たし、改めてその存在感を強く示したのが小池百合子知事だ。

小池知事の情報発信力は、なにゆえ優れているのか? その疑問を解くカギの1つが「マスコミ出身者だけに、キャッチフレーズ作りが巧妙なところ」とハリウッド大学院大学教授の佐藤さんは説明する。

「コロナショックでの“小池語録”を振り返ると、『ステイホーム』『ロックダウン』『東京アラート』といったワードが印象に残っていて、いずれもカタカナ言葉なんです。ステイホームは『おうちにいましょう』と自分で訳してまで、横文字に言い換えています。耳慣れないカタカナ言葉なら、国民の関心を引きやすいうえに、国際派政治家としての自分の存在も、アピールできるからなのです」

もう1つのカギが、スピーチで「連辞」を多用している点である。連辞とは、同じ響きを持つ言葉を重ねていく修辞法の1つ。詩などで韻を踏む技法や、音楽の「ラップ」などにも似ている。小池知事はステイホームを都民に要請する際、「皆さんのために、ご家族のために、ご自身のために」といった言い回しを使った。もうおわかりのように、すべての言葉に、「のために」という共通部分がある。

「同じ響きが続くと、聴いていて耳ざわりがよく、印象に残りやすくなります。とりわけ小池さんの場合、連辞でも、ワードを3つに揃えるように心がけています。3つまでの言葉なら、ワンセットで覚えやすいことも、彼女は熟知しているのでしょう」(佐藤さん)

■老練な技巧が両刃の剣にも

そして、小池知事はスピーチをするとき、言葉と言葉の間隔を空けたり、発音に抑揚をつけたりして、声の調子やリズムを整える。「それも、話に耳を傾けさせる工夫の1つなのです」と、佐藤さんは指摘する。また、小池知事はスピーチの安定感にも定評があるが、佐藤さんは、「TVキャスター時代からの経験の積み重ねが、ものをいっているのでしょう」と話す。

「たとえば、生放送の現場では、刻一刻と変化する状況に合わせて、言葉遣いや話しぶりも変えなければなりません。小池さんは、そうした場数を踏んでいるので、どんな場面になっても、動じずに対応できます。それが、彼女の強みの1つになっていますね」(同)

小池知事の表情や仕草についてデジタルハリウッド大学教授の匠さんは、「TVキャスター出身のベテランの政治家だけに、常に人に見られていることに対して非常に慣れています」と評する。

「記者会見などでの小池さんのデフォルトモードは、体の前で両手を組むクローズスタイルなんですが、若い大阪府知事の吉村洋文さんと違って落ち着いて見えるので、貫禄を感じさせ、相手に安心感を与えるわけです」

小池知事は記者会見で、よく会場を左右に広く見渡しながら説明を行う。そのことについて匠さんは「目配りのバランスがいいので、会場全体をつぶさに観察して場内の状況を詳しく把握できて、マスコミにも自分のことを強く印象づけられます」と説明する。また、匠さんは「ファッションも、シックで落ち着きがあり、女性の魅力をアピールしたりしません。女性有権者の反感を買わないように、配慮しているのでしょう」と評する。

しかし、老練なそうした技巧が、「両刃の剣」となるかもしれない。「人によっては、計算ずくのパフォーマンスが鼻につくかもしれません。小池さんは、ファンが多い半面、アンチも相当数いるように思われます」と、佐藤さんは指摘する。どうやら小池知事のスキルを自分のコミュニケーションにそっくり活かすには、注意が必要なのかもしれない。

(ジャーナリスト 野澤 正毅 写真=時事通信フォト)

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