甘えるな安倍晋三! 対コロナ戦争中に指揮官が健康不安…もう国民は限界です
プレジデントオンライン / 2020年8月21日 9時15分
■安倍は自らの延命だけを望んでいる
夏の風物詩である甲子園の通常開催も、花火大会や夏祭りも中止となった「特別な夏」。新型コロナウイルスの感染再拡大に伴い、お盆や夏休み期間中の帰省・旅行を自粛している人々は多いだろう。新幹線や飛行機はガラガラで、移動するにしてもマイカーを利用する家族連れの姿が目立つ。このような自粛に頼る生活はいつまで続ければ良いのか。国民の多くは不安といら立ちを抱えながら、その解をひたすら待っている状態だ。
しかし、安倍晋三政権から飛び出すのは国民感情とは遠い絵空事や奇策ばかりで、いたずらにその時間を浪費している。それもそのはず、安倍政権にはそもそも「やる気」がないのである。社会・経済活動との両立を目指すというのが建前だが、感染拡大を抑えた今春のように緊急事態宣言の再発出を出し渋る理由は何かと言えば、安倍総理の延命策にあるのだから怒りを通り越して呆れてしまう。「コロナ? そんなの関係ねえ」というわけだ。そんな中で飛び込んだ安倍首相の慶応大病院で検査の情報。一部メディアによると、もともと1泊2日の検査入院の予定していたが、いろいろな憶測をうむことから急遽日帰りに変更したという。各国首脳がコロナとの闘いは「戦争である」という見解を示すなか、日本の指揮官はコロナより先にダウンしてしまった。残されたわれわれ日本国民はいったいどうしたらいいというのだ。なんでこうなる前に辞めてくれなかったのか……。
■メディアを巻き込んだ「安倍隠し」「失策隠し」
「安倍総理は今、ゆっくり寝ておけばいいんだよ」
新型コロナウイルスの感染再拡大が止まらず、全国各地で過去最多の新規感染者数を記録していた7月下旬、安倍政権の政府高官は旧知の記者にこう漏らした。たしかに6月17日の通常国会閉幕後、あれだけ「私が決断しました!」とドヤ顔を見せることを好む安倍総理の姿はほとんど見られなくなった。8月6日には原爆忌の式典に出席した広島市で49日ぶりとなる記者会見を行ったが、それもわずか約15分間。
この間の宰相の動きとしては、巨額の税金を投入して国民に配布した布マスクから大きめのサイズに変えたとか、7カ月ぶりにフィットネスジムで汗を流したとか、コロナ禍の国民生活においてどうでも良いニュースばかりだ。総理の代わりに菅義偉官房長官が相次いでメディアに出てきたかと思ったら、「コロナ対応が悪いのは政府のせいではない。自治体が悪い」と首長たちに責任転嫁する始末で、メディアを巻き込んだ「安倍隠し」「失策隠し」はなおも続いている。
国会閉会中に行われる閉会中審査はあるものの、野党が要求している臨時国会の開会は拒否。あまりにも長すぎる「夏休み」をエンジョイしているのかと疑ってしまう。総理ご自慢の山梨県にある別荘への訪問計画があったというが、東京都の小池百合子知事が不要不急の移動自粛を要請したことから立ち消えになったようだ。やはり、「夏休み中」だったんかい!
■社会・経済活動との両立を図るのは当然
ちなみに、総理の夏のボーナスは約400万円、閣僚は約340万円。公職選挙法違反の罪で起訴された河井克行前法相、案里参議院議員ら国会議員にもそれぞれ約320万円が支給されたというから、職を失ったり収入が減ったりしている国民の気持ちなんて分かるまい。「上級国民」の皆さんは、さぞぜいたくな生活を満喫していることだろう。念のため触れておくが、これはトップの動静が一時途絶えていた北朝鮮の話ではない。
勘の鋭い方はもう気づいていると思うが、前出の「政府高官」は安倍総理に極めて近い人物である。全国紙政治部記者はこう解説する。「コロナ対応での失策の数々が国民の目にも明らかとなり、内閣支持率はガタ落ち。得意の外交もコロナ禍でつかえず、再浮揚させるカードがない。憲法改正もできず、任期満了を迎える来年9月まではレームダック(死に体)状態となる。国の緊急事態宣言の再発出なんて安倍官邸は考えていない。そんなことをしたら自らの手足を縛ってしまうのだから」。
たしかに緊急事態宣言を発出すれば感染抑制に効果が見込める一方で、経済面での影響も大きい。安倍総理は8月9日の記者会見で、今年4~6月期の国内総生産(GDP)が「年率換算で20%を超えるマイナス成長が予想されている」と説明し、リーマン・ショックを上回る影響が見込まれると懸念した。「雇用や暮らしに与える影響を考えれば、できる限り(再発出を)避けるための取り組みを進めなければならない」(安倍総理)というわけだ。社会・経済活動との両立を図りつつ、再発出回避への取り組みに総力を挙げることには異論はない。
■無策すぎる再発出回避の取り組み
だが、政府が取り組む再発出回避の取り組みって何? それと国の観光需要喚起策「Go To トラベルキャンペーン」はどうリンクしていくのか。安倍政権が「旅行しましょう! 観光しましょう!」と旗を振った結果、沖縄県などの人気観光地では感染が蔓延し、医療提供体制が逼迫。もはや「陽性者数が少なく見える自治体はPCR検査数そのものが少ないだけで、沖縄県や大阪府、神奈川県などは検査数を増やしていけば陽性者数も増えるはず。医療提供体制が整っていない地方はかなり危機的といえる」(全国紙社会部記者)状態となった。最近は多くの自治体で新規感染者数が過去最多を記録し、政府が目安とする重症者数や死者数も増加傾向にある。1日あたりの新規感染者数が全国で1000人を超える日もザラで、「何? この無策ぶり」と憤る人は少なくない。
さすがに、そろそろ感染拡大を防ぐために手を打つのかと期待すれば、安倍政権は「現時点で緊急事態宣言を再び発出する状況ではない」と壊れたスピーカーのように繰り返し、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が懸念する「感染爆発してからでは遅すぎる」との見解をまたしても無視する考えのようだ。しかし、分科会がまとめた感染状況の指標すらも「数値に当てはまれば直ちに緊急事態宣言をやるかどうか、それはその時の状況次第」(西村康捻コロナ担当相)というのでは、国民は何を目安にどれだけ耐えていけば良いのか分からず、不安や不満が蓄積していく。
■衆議院解散・総選挙のカードを温存
さて、本題に入ろう。なぜ安倍政権が専門家の見解を無視してまで「政治判断」の余地を残したのかと言えば、単に経済的な打撃を考慮してのものではない。その最大の理由は、安倍総理の延命につながる衆議院解散・総選挙のカードを温存する必要があるからである。
総理官邸を担当する政治部記者は「巷間言われているように、安倍官邸は今秋の解散総選挙を画策している。しかし、緊急事態宣言を再発出してしまうと、『そんな大変な時に選挙なんてけしからん』との大ブーイングが起きる。だから、どんなに感染爆発しようが総理が『延命=解散』を断念しない限り再発出はない」と見る。実際、総理の盟友である麻生太郎副総理兼財務相は「今秋解散」を進言し、連立を組む公明党などに根回しを進めている。それは麻生氏が自らの政権発足直後にリーマン・ショックに直面し、解散を見送った結果、「麻生おろし→下野」に追い込まれた苦い経験に基づくものだ。
ただでさえ、コロナ対応で国民を愚弄し続けて内閣支持率が低空飛行を続ける中、仮に来年夏に延期された東京五輪・パラリンピックの「中止」を国際オリンピック委員会(IOC)が判断すれば、安倍政権へのダメージは甚大なものとなる。レームダック化した政権に国民はいよいよ「NO」を突き付けるだろう。
■緊急事態宣言を絶対に出さない理由
そのリミットが刻々と近づく中で、安倍総理は「その前」に解散総選挙を何としても断行し、失われた求心力を回復させたいというわけだ。野党が要求する臨時国会の開会を10月以降に予定するのは「秋解散」に備えてのものだろう。国民民主党が「分裂」し、日本維新の会の勢いも減退するなど野党が頼りなさすぎる中で総選挙に臨めば、「言われているほど議席は減らず、自民、公明両党だけで連立政権を維持できる」(全国紙政治部記者)との見方も広がる。
7年半もの長期政権を築くことを可能にした「国政選挙6連勝」という金バッジにさらに追加できれば、もしも「五輪中止」となろうが、これまで忠誠を尽くしてきた米国のドナルド・トランプ大統領が交代しようが、政権維持は可能との思惑が透けて見える。だから「年内解散」はどうしても譲れない一線であり、そのためには緊急事態宣言の再発出なんてしてはいられないというのである。
■安倍総理、あなたは国民を舐めていますか
もはや、多くの人々は気づいているのではないか。安倍総理、あなたはひょっとして国民を舐めているのですか、と。国民がこれだけ困窮している時に自らの延命や政争のことばかり頭にある安倍政権の高官も同じ穴のムジナで、恥を知るべきだ。大体、各国のリーダーたちがコロナ対策の陣頭指揮をとる中、宰相の顔が見えず、この国はすべて自己責任。国家の役割も責任もそこにはない。もはや狂気に満ちていると言っても過言ではないだろう。もし、そうではないと言うならば「年内解散はなし」と公言して国民を安心させたらどうか。
さて、検査が終わり、休養を経て公務に復帰した安倍首相だが、ある自民党幹部は「病状は相当重いそうだ」と話す。この状態でも「総理続行」を決め込んだ安倍政権は「果報は寝て待て」という心境なのかもしれないが、それは国民のためにコロナ対応でやるべきことをやったうえでの話だろう。なにもせず寝ているだけの政権ではなく、国民にこそ良い果報があることを祈らずにはいられない。
■甘えるな安倍晋三、甘えるな安倍晋三、甘えるな安倍晋三
それにしても、なぜ安倍首相は日帰り検査したことを公にしたのだろうか。国のリーダーの健康状態などトップシークレットであり、それこそ"敵国"が喉から手がでるほど知りたい情報であろう。これについて政府関係者は「加熱する政府への批判を和らげる狙いもある」と明かす。たしかに、いくら首相とはいえ、「血を吐いてでも仕事しろ!」とはなかなか言いにくい。国全体に「安倍さん仕事しすぎだよ!」というムードが漂ってしまった。しかし仮に安倍首相が入院を公表した意図の中に、1ミリでも自分への批判をかわしたいという狙いがあるのであれば、それは安倍晋三坊ちゃんの甘えだ。甘すぎる。今、日本はコロナとの戦争状態にあるのだ。いい加減気づいてくれ。
しかし、そんなわれらの残念過ぎる総理大臣・安倍晋三よりももっと残念な人たちがいる。立憲民主党の枝野幸男党首をはじめとする野党の面々だ。枝野氏は「検査ならしっかりと国会に出てきて、健康状態を含めて説明していただく必要がある」などと呑気なことをぬかしているが、前述のとおり、その国のリーダーの健康状態は超超超トップシークレットだ。なぜあえてこの国のピンチの時に、他国に弱点を教える必要があるのか。本当にお前らは……。
----------
政経ジャーナリスト
1987年岩手県生まれ。早稲田大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーランスとして独立。プレジデントオンライン(プレジデント社)、現代ビジネス(講談社)などに寄稿。婚活中。
----------
(政経ジャーナリスト 麹町 文子)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
官房長官も気持ち折れそう?香典疑惑に防衛省不祥事…政府・与党はガバナンス崩壊状態
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年7月20日 5時0分
-
「頼りないと言われても権力は健全じゃないといけねぇんだ」 何が岸田首相を派閥解散に駆り立てたか【裏金政治の舞台裏】
47NEWS / 2024年7月17日 10時0分
-
【政界】新経済対策で起死回生を狙う岸田首相 次期衆院選にらむ与野党の「熱い夏」
財界オンライン / 2024年7月16日 15時0分
-
安倍晋三元首相 三回忌 野田佳彦元首相、安倍氏には「自他共栄」の精神があった もう一回勝負できないことが無念 今の政界、嘆かわしい思いで見ているのでは
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月10日 6時30分
-
「捜査を回避するためには選挙するしかない」 事件化前に自民幹部が進言した「幻の衆院解散」とは【裏金政治の舞台裏】
47NEWS / 2024年6月30日 10時0分
ランキング
-
1立民・野田氏、代表選出馬に慎重=「保守系」望ましい
時事通信 / 2024年7月22日 16時19分
-
2東海道新幹線の復旧遅れ 「衝突した保守車両、破損ひどく」
毎日新聞 / 2024年7月22日 20時54分
-
35歳娘と52歳父親の遺体見つかる 父親はダムに浮かんだ状態、娘は橋の付け根の土台に横たわる
MBSニュース / 2024年7月22日 19時15分
-
4「金を出せ」郵便局に強盗 “刃物”を持った30代くらいの男が現金約150万円を奪って逃走 奈良・下市町
MBSニュース / 2024年7月22日 21時40分
-
5「妨害するつもりはなかった」“ひょっこり”運転の男 初公判で起訴内容を否認
チバテレ+プラス / 2024年7月22日 18時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)