「マスク生活で紫外線を防げる」は、なぜ科学的に大間違いなのか
プレジデントオンライン / 2020年8月21日 17時15分
■外出自粛とマスク着用で、メイクをしない人が急増
新型コロナウイルスの影響で、人々のライフスタイルは大きく変化した。
美容面でも、リモートワークが増えて、メイクアップする機会は激減、マスクに隠れてしまうか、マスクが汚れるからと、口紅をつけなくなった人も多い。
さらに夏の肌の最重要課題である「紫外線対策」においても、大きな意識の変化が起きていることが、今回第一三共ヘルスケアの調査で判明した。
例年の夏であれば、日焼け止めとファンデーションのダブル使いで紫外線をブロックし、サングラスや日傘で直射日光から身を守るのが常識。今年は特に梅雨明けから異常な暑さが続いている。いつも以上の対策を講じなければいけないはずなのだが……。
20代〜50代の女性800名を対象にした全国調査で、なんと47.3%も「今年は紫外線対策を忘れがち」と回答したのだ。
68.7%の人が「外出が少ないので紫外線対策をするのが億劫」と答え、さらに38.9%もの女性はファンデーションも日焼け止めも塗らずに外出をしていることがわかった。
■「マスクで紫外線対策」の勘違いが招くのは……
遠出をするわけではないし、近所のスーパーに行くだけだから。そんな気持ちで、筆者も何度ノーメイクで炎天下を歩いたことだろう……。マスクの存在も大きい。目元しか露出していないし、顔の大部分は直射日光に触れないのだから、紫外線の影響も少ないだろう、とつい思ってしまうのだ。
考えることはみな同じ。調査でも49.3%の人がマスクは顔の紫外線対策になると思うと回答している。
だが、「UVカット機能のあるマスクは別ですが、一般的なマスクには紫外線を防ぐ機能はほとんどありません」というのは、銀座スキンクリニック院長の坪内利江子先生だ。
今回の調査では24.8%の人が「マスクをしていても日焼けをしたと感じている」と回答。さらに今年の肌悩みとして69.1%が「シミがある・目立つ」、66.9%が「透明感が失われる」と、紫外線の影響による肌の変化を気にしていることがわかった。
肌の炎症や日焼けを引き起こすUV-B以上に注意したいのが、生活紫外線と呼ばれるUV-A。曇り空でも、窓ガラス越しでも降り注ぐため、今日は外出しないからと安心はできない。
「UV-Aは真皮に届き、活性酸素を発生させます。その影響が積み重なると、シワやたるみとなって表面化し始めるのです。今見えないシミがこれから先、現れるかもしれません」(坪内先生)
つまり、外出をしても、しなくてもUVケアは欠かせないということ。
「日焼け止めを塗っているという方でも、しっかり塗れていない、塗ったつもりになっているケースもとても多いですね」(坪内先生)
「日焼け止めを塗るのは外出前の1回」と答えた人は70.9%にのぼり、「パッケージの記載よりも日焼け止めを薄めに顔に塗る」ことが習慣化されている人も47.6%いることも今回の調査で明らかになった。
■マスク内のムレで、肌トラブルも増加中!
夏もマスクを着用しなくてはいけない生活では、マスク内がムレて化粧がくずれるのも気になるところ。
「化粧をしてマスクをすると、ニキビなどの肌トラブルにつながる可能性があります。マスク周りの化粧は控えめに、化粧下地やファンデーションではなく、日焼け止めをしっかりと塗りましょう。汗を多くかくのでこまめに塗り直したり、ウォータープルーフやスプレー、UVカット効果のあるパウダーを活用するのも良いと思います」(坪内先生)
ちなみに、ストレスもシミを悪化させる要因になる。
外出自粛やテレワークなど、慣れない生活でストレスを感じている人も多く、マスクの摩擦による皮膚の炎症などのトラブルも報告されるなど、今年は肌にとってはかなり過酷な環境といえる。
また、紫外線量のピークである7〜8月を過ぎ、9月に入ると紫外線対策をしている人が1割減ることも例年の調査でわかっている。けれども、決して紫外線量が少ないわけではない。涼しくなってくるこれからの季節でも、油断は大敵。
「ホワイトニングの有効成分を含んだ化粧品を選ぶだけではなく、トラネキサム酸やビタミンCを配合したサプリメントを摂取するなど、体の内外からのアクティブケアがおすすめです」(坪内先生)
透明感のある美しい肌を手にするためには、ウィズコロナ時代の正しい紫外線対策を身につけることが必要なのだ。
(林田 順子 写真=iStock.com)
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