日本を腐らせた"立憲民主"はもう不要…玉木雄一郎、今こそ「みんなの党」復興だ!
プレジデントオンライン / 2020年8月21日 15時15分
■保身のみの立憲は不要な存在
立憲民主党と国民民主党の合流協議の結果として、玉木雄一郎代表が記者会見で「分党」するに至った旨を発表した。そのうえで、玉木氏自身は立憲民主党には合流しないと言う。
筆者は玉木氏の判断は正しいと思う。消費税減税という政策の一丁目一番地、そもそも「税金」という民主主義の基本的な理念の部分で一致しない野合など存在するべきではない。
旧民主党の支持基盤である連合が立憲支持の総評系と国民支持の同盟系に分かれて久しく、総選挙の噂が駆け巡る中、選挙のことしか頭にない政治屋集団が合流に急いだことは、政治家の本能としては理解できる。そして、自民党長期政権から政権交代を求めるだけの支持者がそれを是とするのも分からないでもない。最後まで消費税減税に拘った玉木氏が実質的に政治屋の所属国会議員に梯子を外されることもある程度は予測できたことだった。
しかし、そのような単なる権力亡者の集団が日本をダメにしてきたのだ。自民党に反対するだけで、建設的な対案をろくに示すこともなく、日本の政治を腐らせてきたのは、野党第一党の立憲民主党だ。国民生活が疲弊する中、支持基盤である公務員労組におもねり、新型コロナウイルス問題からの日本経済の回復プロセスに必要な消費税減税に後ろ向きな立憲民主党は日本国民にとって必要がない政党だ。その政党に選挙のために合流する政治家は、日本国民の生活・経済よりも己の保身を重視する政治屋だと言って良いだろう。
■国民民主の支持率はほぼ0という現実
ただし、このままでは玉木氏の前途が困難であることも間違いない。そもそも国民民主党は支持率が限りなく0%に近い政党であり、同盟系労組の組織力と政党助成金の残金の魅力だけで存在してきた頼りない存在だ。政策提言内容の中には一部には評価できるものもあった。ただし、それらの政策提言は立憲民主党との合流話や支持基盤の労働組合の影響を受けつつも、どこか歯に衣を着せた「インパクト」と「本気度」が欠けたものであった。したがって、玉木氏が主導して野党として独自の政策提言しようが、国民民主党の支持率はピクリとも動くことはなかった。
玉木氏と国民民主党には国民に示すビジョンがなかったように思う。しかも、政策提言や発言内容は立憲と合流することで常に雲散霧消する可能性が強かった。
今回、玉木氏が消費税減税の意見の相違を理由の1つとし、立憲民主党と合流せずに分党の覚悟を示したことは、玉木氏と玉木氏側に付いた国会議員の決意を示すうえで意義深いものであった。玉木氏が税金に関する主張が異なる立憲民主党との野合という民主主義を愚弄した行為に賛同しない強い信念を持った人物であることは確認された。
だが、残念であるが、このままでは彼らの多くは確実に落選することになるだろう。今回の決断は、おそらく旧同盟系の労組の少なくない離反を招くことになり、現状よりも小党化することによって比例復活を望むことが困難となる。そして、彼らの売りが中道の政策提言型政党というだけでは「何を政策提言したい政党なのか」ということがサッパリ不明だからだ。
■玉木雄一郎は「みんなの党」を復興せよ
そこで、筆者は玉木氏に「みんなの党を復興すること」を求めたい。
現在でも「みんなの党」は、渡辺喜美・元みんなの党代表とN国党の浜田聡議員からなる院内会派として存在している。国会議員は議会において院内会派を組んで委員会活動などでのポストや発言時間の交渉を他会派に対して行うルールとなっている。したがって、政策的に一致点が存在した渡辺氏と浜田氏が委員会ポストなどを得るために「みんなの党」という名称の院内会派を結成しただけであり、渡辺氏はN国党に入党したわけではなく無所属のままとなっている。
つまり、2020年8月時点において、国政政党としての「みんなの党」は存在していない。そして、重要なポイントは、かつての「みんなの党」支持者は、同党が解党されて以来、自らが満足できる投票先を国政選挙において得ていない状態が続いているということだ。みんなの党が2013年参議院議員選挙全国比例で獲得した約475万票の有権者は、現状の不十分な選択肢に強い憤りを持っていることが想定される。
しかし、仮に渡辺氏がみんなの党を復興しようとしても、参議院議員1名の状態から国政政党「みんなの党」を復興することはさすがに不可能だ。一方、みんなの党が目指した中道右派の自由主義的な政策の方向性を記憶している有権者は確実に存在している。このもどかしい政局状況を変えることができるのは、玉木雄一郎を除いて他に存在していない。
■玉木氏とみんなの党の政策的な一致点
今こそ、旧民主党系の支持基盤と袂を分かち、消費税減税に賛成する中道派の政党として、「みんなの党」を名乗り、かつての「アジェンダ」を継承する政党を復興させるのだ。玉木氏と行動をともにする議員が何名になるのか分からないが、結成当初のみんなの党も国会議員5名の政党でしかなく、そこから参議院のキャスティングボードを握る政党に育ったのだ。その復活は決して不可能な話ではないはずだ。
筆者の見立てでは、玉木氏とみんなの党の政策的な方向性も実は極めて近いしいものと思う。旧民主系の支持基盤の大半が離反することで、左派系のおかしなバイアスがかかることなく、みんなの党の政策を引き継ぐための体制が整っている。あとは玉木氏が渡辺氏と早急に会談を行って、看板と政策を受け継ぐ合意をまとめあげるだけで良い。
具体的な形としては、玉木氏が代表を務め、渡辺氏には最高顧問として合流してもらう。そうすることで、みんなの党の正式な後継政党であることを主張することが望ましい。N国との関係もあくまでも院内会派として協力する別政党として併存できるために問題ない。両党の間でNHKスクランブル放送化などの共通政策について政策協定を結ぶことで選挙協力をすることも良いだろう。
■維新に身売りしている場合ではない
玉木氏がこの選択肢を選ばなかった場合、彼らが中途半端に維新に身売りをするだけの存在となる未来が見える。玉木氏らの手元に残る政党助成金の一部は維新への持参金ということになるだろうが、それは国民の税金で維新の公認権を事実上買うというだけの話であり、立憲民主党と合流することよりは幾らかマシな振る舞いであるが、やはり望ましいものとは言えない。
玉木氏は「みんなの党」支持者の心にポッカリと空いた穴を埋める、みんなの党の中興の祖として、その復興を行う方向で政治的に決断するべきだ。そして、そこから自らが思う中道の政策提言型の政党を新たに創り上げていったら良い。それができるのは、今、このタイミングしかない。
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早稲田大学招聘研究員
国内外のヘッジファンド・金融機関に対するトランプ政権分析のアドバイザー。
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(早稲田大学招聘研究員 渡瀬 裕哉)
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