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「知らなきゃ丸損」新型コロナで働けなくなった時にもらえる6つのお金

プレジデントオンライン / 2020年8月27日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

コロナ禍で収入が急減した人のために、国は給付制度の要件緩和や対象拡大を実施している。つまり「申請すればもらえるお金」が増えているのだ。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんが、勤務先の事情で働けなくなった場合に使える6つの制度を紹介する——。

■コロナ禍の失業給付は最大60日分増える

コロナ禍で休業を余儀なくされた、仕事を失ったという場合について、失業給付の制度が拡充されています。

まず、失業したケースについて見ていきましょう。

会社員だった人が失業すると、雇用保険から「失業給付」が受けられます。これは従来ある、おなじみの給付ですが、コロナ禍では特例が設けられています。

その1つが、基本手当の給付日数の延長です。

基本手当が給付される日数は年齢や働いていた年数などで決まります。例えば35歳以上45歳未満の人が10年以上20年未満働いた会社を退職した場合、失業給付が受けられるのは180日です。しかし要件を満たす場合は、給付が60日または30日、延長されます。

延長の対象となるのは、以下に該当する人です。

①~令和2年4月7日(緊急事態宣言発令以前)に離職した全受給者
②令和2年4月8日~令和2年5月25日まで(緊急事態宣言発令期間中)に離職した、特定受給資格者(倒産や解雇などで離職を余儀なくされた)、特定理由離職者(期間の定めのある労働契約で更新を希望したにもかかわらず更新されずに離職した人、転居や婚姻などにより自己都合で離職した人)
③令和2年5月26日以降(緊急事態宣言全国解除後)に新型コロナウイルス感染症の営業で離職を余儀なくされた特定受給資格者または特定理由離職者(雇止めの場合のみ)

緊急事態宣言発令前に離職した人も対象になっているため、コロナの影響で就職活動が滞った人なども対象になります。

なお、失業給付はもともと、働く意思といつでも就職できる能力があることが給付の条件であり、この延長でも、現実的ではない求職条件に固執する人などは対象外となります。

延長されるのは原則60日。ただし、35歳以上45歳未満で所定の給付日数が270日の人と、45歳以上60歳未満で所定の給付日数が330日の人は、30日です。

■3カ月を待たずに失業給付される特例も

自己都合による離職の場合、失業給付には3カ月(2020年10月1日からは2カ月)の給付制限があり、給付されるのはそのあと(会社都合の離職は4週間後から給付)ですが、これについても特例が設けられています。

コロナに関係する一定の理由で、令和2年2月25日以降に離職した人、すでに給付制限期間中の人は、3カ月を待たずに給付される、という特例です。

対象になるのは、同居の家族が新型コロナウイルス感染症に感染して看護や介護が必要となったという理由で自己都合離職した場合や、職場で感染者が発生した、本人や同居の家族に基礎疾患がある、妊娠している、高齢であるなどの理由で感染拡大防止や重症化防止のために自己都合離職した場合などです。

一斉休校になった時期もありましたが、コロナにより子(小学校、高校までの特別支援学校、幼稚園、保育所などに通学、通園する子)の養育のために自己都合離職した場合も対象になります。

■再就職のための職業訓練が無料

仕事を探している。今の仕事を続けるのが難しい(先が見通せない)という場合は、雇用保険を受給しながら無料の職業訓練を受け、スキルや知識を身につけて転職する、という選択肢もあるでしょう。そのような人に知ってほしいのが、「公共職業訓練(離職者訓練)」です。

ハローワークに求職の申し込みをしている、失業給付を受給しているなどの条件を満たす人が対象で、就職に必要なスキルや知識を習得するため、3カ月~2年程度の訓練が無料で受けられます(テキスト代など、1~2万円程度の実費のみ負担)。

雇用保険を受給できない求職者の方でも、ハローワークに求職の申し込みをしているなどの条件を満たせば、「求職者支援訓練」が受けられます。

訓練期間は2~6カ月で、自己負担はテキスト代など、1~2万円程度の実費のみです。社会人としての基礎的能力や短時間で習得できる技能を習得する「基礎コース」と、就職を希望する職種における実践的な技能を習得する「実践コース」があります。

本人の収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月25万円以下などの要件を満たす場合には、職業訓練受講手当として月額10万円の給付や通所手当などの支給もあります。

■働いている人も将来不安を感じたら…

「現状ではこれまでどおりの給与が得られているものの、この先が不安」という人もいるでしょう。

雇用保険には、資格取得やスキルアップのための費用が最大10万円給付される「一般教育訓練給付金」や、40万~168万円(上限)が給付される「専門実践教育訓練給付金」という給付もあります。

この2つの給付は、在職中の人も対象になりますから、先々のために、スキルアップを図る、というのもよさそうです。転職だけでなく、スキルを身につけてダブルワークということを考えてみるのもいいでしょう。

■休業手当がない中小企業勤務者に月額最大33万円

新型コロナウイルス感染症により、休業を余儀なくされた方もいます。

中小企業に勤務し、休業中の賃金(休業手当)の支払いを受けることができなかった人には、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」が支給されます。

雇用保険に加入していないパートやアルバイト従業員も対象なので、該当する場合はしっかり申請しましょう。

支給額は、休業前の平均賃金の8割で、休業した日数分です。

具体的には、休業前の平均賃金を1日あたりに換算した金額を、休業した日数分(自分自身の事情により休んだ日は除く)もらえます。1日あたりの支給額の上限は1万1000円で、1カ月の上限支給額は33万円です。

申請には休業手当が支払われていないことを証明する「支給要件確認書」が必要です。作成には事業主の協力が必要ですが、協力が得られない場合には、その旨と、その事情を記載することで手続きできます。ただし支給までに時間がかかります

この申請によって、事業主から解雇や雇い止め、シフトの減少などをされそうになった場合などは、最寄りの労働局や労働基準監督署に相談してみましょう。各都道府県労働局に設置された「特別労働相談窓口」などでも新型コロナウイルス感染症の影響に伴う解雇・雇止め、休業手当などの労働相談に対応しています。「労働条件相談ほっとライン」(0120‐811‐610)なども利用できます。

■勤務先が倒産しても未払いの賃金は受け取れる

このほか、勤務先が倒産し、未払い賃金がある場合には、「未払賃金立替制度」が利用できます。

倒産する半年前から倒産後1年半以内に離職した人のうち、2万円以上の未払い賃金がある人が対象となり、未払い賃金の最高で80%が受け取れます。

井戸美枝『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)
井戸美枝『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)

この制度は、コロナとは関係なく、従来ある制度です。

コロナ禍において、多くの制度が創設されたり、従来ある制度が拡充されたりと、さまざまな支援制度があります。

そのほとんどは、「申請することでもらえるお金」であり、知らない、申請しないでは、利用することができません。

失業、収入ダウン、将来不安などから、思考停止に陥りがちですが、使える制度を探し、しっかり手続きしてください。「なにかしらの制度があるはず」ということを念頭におき、情報収集することが大切です。

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井戸 美枝(いど・みえ)
ファイナンシャルプランナー
経済エッセイスト。関西大学卒業。厚生労働省社会保障審議会企業年金、個人年金部会委員。『大図解 届け出だけでもらえるお金』など著書多数。

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(ファイナンシャルプランナー 井戸 美枝 構成=高橋晴美)

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