衝撃事実! テレワーク中にウーバーイーツで副業してもクビになりません!
プレジデントオンライン / 2020年10月14日 9時15分
■やりたい放題の給料泥棒社員、ヨシハラ君はクビになるのか?
テレワーク生活も5カ月目に突入した大手システム開発会社勤務のヨシハラ君(仮名・30代)。勤務時間中の飲酒やサウナ、そして会社PCの稼働状態を偽装して残業代を生み出すのが日課だという。最近は行動も大胆になってきて、勤務時間中のウーバーイーツ、ユーチューバー活動も始めた。今回はそんなヨシハラ君に、弁護士の事務所へ相談に向かってもらった。
ヨシハラです。働いているふりをして給料を貰うことは犯罪に問われるのでしょうか。そんな不安に苛まれ、心穏やかに偽装テレワーク生活を送れなくなることがあります。そこで、企業法務に詳しい末啓一郎弁護士に相談してみました。
「まず、刑事事件で立件されることは考えにくいです。刑事上の詐欺罪は、欺罔(きもう)行為(人を騙すこと)、錯誤に基づく財産の交付という一連の構成要件を満たすことで成立します。PCの稼働状態を偽装することは欺罔行為になりえますが、偽装されたPCの稼働状態に騙されて給料の計算をしている個人がいるのでないのなら、詐欺罪が成立するとは言い難いでしょう」(末氏、以下同)
■キーボードに灰皿を載せてPCの稼働時間を偽装
私の会社は、2020年の4月までは時間管理で残業代が発生していたため、キーボードに灰皿を載せてPCの稼働時間を偽装していましたが、今は固定残業代の裁量労働制に移行しました。
「このような電子機器を利用した不正行為については、電子計算機使用詐欺罪もあります。この場合、人を騙す行為がなくても詐欺罪になるのですが、何がしかの意味がある“電磁的な記録”を作り出すのではなく、灰皿を置いてコンピューターが“稼働している状態”を作り出すだけであれば、電子計算機使用詐欺罪にも該当しないと考えられます。また仮に、何らかの刑事犯罪に該当すると考えられる場合でも、告訴するメリットとデメリットを考えれば、このような事案で企業が告訴することは考えがたいところです」
前科者になる可能性はまずないということで安心しました。しかし、民事で会社から賠償を請求されることは十分にあるのではないでしょうか。万が一、私の悪行がバレてしまったら、どうなってしまうのでしょうか。
「民法上の不法行為や忠実義務・職務専念義務違反などの債務不履行行為により、会社に損害を与えたとして、その賠償請求がされることが考えられます。また、服務規律違反として、出勤停止、諭旨退職、懲戒解雇など懲戒処分の適用や、退職金が減額・不支給とされることも考えられます。ただし、それらは、会社の諸規程のもとに、種々の事情を踏まえて慎重に行う必要があります。なお損害賠償については、退職金との合意相殺が考えられるのか、それとも退職金も払われないとして別途賠償請求がされるのか、そして賠償の有無をどの程度懲戒に反映させるかなど、会社としてもいろいろな事情を慎重に考慮するのが通常です」
たしかに私の行為は業務外の行動であることは明白。でも一応、ウーバーイーツなどをやりながらでも、チャットで会議に参加しているのですが……。
「WEB会議に参加しながらであれば、会社として違反行為を正確に把握するのは容易ではないかもしれません。その場合、仮に解雇処分を考えるにしても、一方的な懲戒解雇ではなく、退職勧奨による自己都合退職や諭旨解雇(退職)にすることが考えられます。争いを避けるために、会社側が一定の金銭を払って、退職に同意させるという場合もあります」
■問答無用で解雇するのは難しい
発覚しても、問答無用で解雇するのは難しいみたいです。それなら、シラを切り通せばなんとかなるかも。すると心配すべきは、ウーバーイーツ中の怪我で労災申請して、副業がばれることくらいでしょうか。
「そのような労災については、労災申請しても、業務起因性の観点から認定される可能性は限りなくゼロに近いです。そもそも、発覚内容や会社の姿勢にもよりますが、勤務偽装の発覚後、最悪の場合は、退職金なしの懲戒解雇のうえに、最大限度額の賠償請求までされるという結末もありえます。また、運よく処分を免れても、出世に影響したり、経営環境が厳しくなる中で、30代でリストラ要員となることもありうるでしょう」
幼い頃からの競争を勝ち抜いて得た今のポジションを、ウーバーイーツと引き換えに失うのはわりに合わないことくらい私でもわかります。筋トレはテレワークのメリットを生かして昼休憩に、ウーバーイーツとユーチューブは土日に趣味の範囲でやろうと思います。
「いやいや、“悪行”と自覚しているのなら、根本から生活を立て直したほうがいいでしょう」
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弁護士
1982年、東京大学法学部卒業。経済産業省勤務などを経て、ブレークモア法律事務所パートナー。近著に、『テレワーク導入の法的アプローチ』(経団連出版)。
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(ダイスヨシハラ)
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