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コロナ禍、なぜ10代の妊娠相談件数が2倍近くになったか

プレジデントオンライン / 2020年10月21日 9時15分

ユーチューバーで助産師のシオリーヌさん。日本における性教育の不十分さを語る。(2020年8月、筆者撮影)

■コロナ禍、なぜ10代の妊娠相談件数が2倍近くになったか

新型コロナウイルスによる休校措置期間に「にんしんSOS東京」に寄せられた10代からの相談件数は前年と比べ1.8倍にも増えたという。外出自粛になり避妊具を買いに行けない、家でのデートが増えたなどさまざまな要因がある。だが、問題はもっと根本的な部分にあるのではないだろうか。

生理日管理などのサービスを提供するルナルナが7640人の女性に避妊についての調査を行った結果「これまで避妊に失敗したと不安になった経験がある」と答えたのは全体の6割で、その中で不安を抱えながらも何も動けずにいた女性は約3割に及んだ。そして10代は5割以上が「何をすべきかわからず何もできなかった」と回答した。日本では性行為について理解し、同意が取れる性的同意年齢が13歳と諸外国に比べ低く定められているのに、なぜ「何もできなかった」と答える10代がここまでいるのだろう。

YouTubeで全世代にわかりやすく性について伝えている助産師のシオリーヌさんはこれまで全国の学校や団体などでも性教育について語ってきた。

■性教育は遅くても5歳から始めるべき

「国際的なスタンダードでは、性教育は遅くても5歳から始めるべきだと言われています。性教育は自分の体の権利や命についての大切な教育なんです」

シオリーヌさんはあるとき、産後の女性から避妊についての質問を受けたという。大人でさえ妊娠の前に必要なはずの知識が曖昧な人が多いことに気づいたという。「日本の教育では、受精、妊娠、出産は教えるのですが、妊娠までの経過は取り扱わないものとされているのです」。妊娠までの過程、すなわちセックスについて、文科省が定めた学習指導要領では取り扱わないと記載されているのだ。

「自分の体の権利、同意、セックスそして妊娠についてしっかり学ばなければ、正しい避妊への理解にも繋がりません。教えてもらっていないのに、13歳になったらこれらを知り、判断できると一方的に定められているのは無責任ですよね」。学校でも教えてくれない。なかなか子どもたちと性の話をする機会は少ないかもしれない、そんなときはシオリーヌさんのYouTube動画をそっと渡してみたらどうだろう。

*ユネスコの「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」

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伊藤 詩織(いとう・しおり)
ジャーナリスト
1989年生まれ。フリーランスとして、エコノミスト、アルジャジーラ、ロイターなど、主に海外メディアで映像ニュースやドキュメンタリーを発信し、国際的な賞を複数受賞。著者『BlackBox』(文藝春秋)が第7回自由報道協会賞大賞を受賞した。

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(ジャーナリスト 伊藤 詩織)

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