橋下徹「日本学術会議問題、菅首相はどうするべきか」
プレジデントオンライン / 2020年10月7日 11時15分
■野党もメディアも菅政権追求モードだが
学術の立場から政策を提言する機関「日本学術会議」が推薦した新会員候補のうち、6人の任命を菅義偉首相が見送ったとして大騒動になっている。加藤勝信官房長官は、見送りの理由を明らかにせず、その上で「首相の下の行政機関である学術会議において、政府側が責任を持って(人事を)行うのは当然だ」と述べ、学問の自由の侵害には当たらないとの認識を示した。
これに対して、会員になれなかった当事者たちが反発しているほか、このほど学術会議の会長に就任したノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章・東京大学教授も、「極めて重要で、対処していく必要がある」というコメントを発している。
そして野党もメディアもここぞとばかりに、菅政権追及モードに入った。
ここでの議論は、日本の民主国家としての力量が試されるものである。以下、気合いを入れて論じていきたいと思う。
■改革には熱烈な「国民の後押し」が絶対に必要
僕は菅政権の規制改革に大きな期待を寄せているが、大改革をやるには国民の後押しが絶対的に必要となる。改革と口で言うのは簡単だが、本気で改革をやろうと思えば、現状のままでいたい勢力、すなわち既得権益勢力との戦いは激しさを増し、それに打ち勝つためにはどうしても国民からの強烈な支持が必要になる。
ちょっと前なら、既得権益勢力との戦いは、それこそ「字」のごとく「戦い」で、殺し合いによって決着してたけど、今の日本ではそれは採り得ない。あくまでも、民主的な国民の支持の力で戦うのである。
この意味で、今回の菅政権の対応いかんによっては国民からの支持の力が弱まり、改革の力が落ちてしまうのではないかと心配だ。
菅政権の関係者にはこれから論じるロジックを確認してもらい、もし、これはまずいなと感じたなら、対応方針を早急に変更して欲しい。ここで対応を間違えてしまうと、森友・加計学園問題や桜を見る会問題、検察庁法改正問題によって安倍晋三政権に対してジワジワと国民の不信感が溜まったのと同じような状況に陥り、菅政権の改革の力が弱まりかねない。
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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.218(10月6日配信)の「本論」から冒頭部分を抜粋したものです。もっと読みたい方は、メールマガジン購読をご検討ください。今号は《【いよいよ発進!菅義偉政権(2)】改革の“障害”にしてはならない!日本学術会議「任命拒否」問題の事態収拾法》特集です。
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元大阪市長・元大阪府知事
1969年東京都生まれ。大阪府立北野高校、早稲田大学政治経済学部卒業。弁護士。2008年から大阪府知事、大阪市長として府市政の改革に尽力。15年12月、政界引退。
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(元大阪市長・元大阪府知事 橋下 徹)
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