"70歳・最年長英会話講師"が教える、「中級のスランプ」を突破する英語勉強法
プレジデントオンライン / 2020年9月29日 11時15分
■20年以上の専業主婦を経て一念発起
20代で結婚して以来、20年以上主婦をやってきた私が、46歳の頃から英語の勉強を始めようと思ったのは、特に大きなきっかけがあったわけではありません。子どもの手がはなれて、親の世話にひと段落し、突然に時間が空いたんです。そのときに、突然、このままじゃいけない、何かやらなきゃ、と思い、大学時代に英語を専攻していたこともあって、じゃあ英語をやってみようかなって。もう一度、英語の勉強を始めることにしました。
まずは大手の英会話学校に週に1回通い始めましたが、毎回レッスンを受けるたびに、自分で調べたり、練習したりしているうちに、話せるようになってきて、コミュニケーションが楽しくなってきたんです。だんだんと欲が出てきて、高校時代に英検2級までとっていたので、じゃあ1級を目指してみようかなと思い始めました。
また家の近所に、たまたま通訳案内士の学校があったので、英検1級の勉強と同時に、通訳案内士の学校にも通いながら、通訳案内士の資格取得にも挑戦してみようと。今思うとずいぶん欲張りですよね。
■最年長講師にもスランプがあった!「中級の壁」とは
20年以上ぶりの英語の勉強でしたが、毎日勉強しているうちに、ある程度読んで話せるようになりました。当時、おそらく英検2級、TOEIC®600点ぐらいのレベルだったと思いますが、そこからはなかなか伸びない。通訳案内士の学校では、2、3カ月に一度、模擬試験がありましたが、点数がとれなくなってしまいました。
何が原因だろうと考えたところ、英語の基礎となる「構造」に即した読み方ができていないことに思い当たりました。つまり簡単な単語なら、つなげればなんとなく内容がわかるけれど、レベルが高くなると、構造がわからなければ内容もわからない。そう気づいてから集中的に構造を分析し始めました。同時に「多読」「過去問」をこなしていくことで、再び点数が伸び始めました。
今思うと、英検2級、TOEIC®600点というのは、大きな分岐点です。ここを突破すれば、このあとぐんと伸びていけるけれど、ここで挫折する人も多い。読者の方も、この壁に悩んでいる方が多いのではないでしょうか。
具体的な勉強方法については、次にご紹介します。
■TOEIC®600点突破に効果的な3つの勉強方法
① 「構造」
『総合英文読解ゼミ』(山口俊治著・語学春秋社)という高校生向けの参考書を使って徹底的に分析しました。200型ある英文構造それぞれに例文と解説が載っているので、苦手なところは切り離して持ち歩き、繰り返し読んでいました。4回ぐらい読むと、難易度の高い英文も読めるようになってきます。
② 「多読」
『TIME』『Newsweek』「The Japan Times ST」(現 The Japan Times Alpha)といった雑誌や新聞のほか、好きな作家の本を何冊も読み、映画もたくさん観ました。私の場合、本については『Matilda(マチルダは小さな大天才)』(ロアルド・ダール)や『The Notebook(きみに読む物語)』(ニコラス・スパークス)が好きで、何度も読みました。『The Notebook(きみに読む物語)』は映画にもなったので、映画と本の両方を教材にしました。映画を観て本、本を読んで映画、と行き来すると理解が深まります。
![日高由紀さん](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/e/8/300/img_e8c2b9da1aa0297c7bfd694501d12dc1112057.jpg)
映画は、①字幕なしで観る、②日本語字幕で観る、③英語字幕で観る、と3段階で観るのがおすすめ。そうすると自分のわからないところがわかり、最後には英語をチェックできます。わからないフレーズは、書き留めて調べることも大切です。
また、よいフレーズが出てきたら、それも見逃さずに書き留めておきましょう。自分で見つけたフレーズを使えるようになると上達も早くなります。ディズニー映画には、よいフレーズがたくさん出てきますよ。
本はネイティブのスピードで読んでいくことも大事ですので、ネイティブ音声が聞けるオーディオブックを活用するとよいでしょう。Amazonオーディオブック「Audible(オーディブル)」は、速読を身に付けるのに最適。合わせて音読やシャドーイングなど口に出す練習もしましょう。
③ 「過去問」
英検1級も通訳案内士も、スピードが要求されるので、過去問で徹底的にトレーニングしました。時間内に解けるようになるには、過去問に当たるのは必須です。
■日高流「続く英語学習」3つのポイント
私が考える英語学習の大切なポイントは、次の3点です。
① 1日5分を習慣にする
毎日5分でもいいので、勉強を習慣にすること。5分といっても、TOEIC®のパート7を1問題1分で解くとすれば、5分で5問解けます。ですから、まずは毎日5分することを目標にしましょう。続けるうちに、それが負担でなくなり、もうちょっとやろうというふうになっていきますから。週に何度かまとめて勉強するのでなく、毎日短時間でもコツコツ続ける。加えて週末にまとまった時間がとれるなら、そこで集中して勉強する。映画や本など、好きなことから始めると、習慣が身に付きやすいでしょう。
② 学校を利用する
英会話などのスクールでは、「会話ができる」「間違いをチェックしてもらえる」「仲間ができる」といったメリットがあります。特に伸び悩んだときは、自分だけで考えてもなかなかわからないので、プロのアドバイスが必要になります。英文の構造が理解できていないという私の弱点に気づかせてくれたのも、英会話学校の先生でした。会話ができれば、スピーキング力だけでなくリスニング力も伸びます。仲間ができると情報も共有できますし、お互いに励まし合うこともできるでしょう。学校をうまく活用するには、週一回のレッスンにただ参加するのではなく、その前後にしっかりと勉強して、レッスンは自分の発表の場と考えるのが正解です。
③ 英検から始める
試験は、勉強を続けるモチベーションを維持するための目標として最適です。英検はリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングといった4技能が身に付くのが最大のメリット。単語もさまざまな分野のものを学べます。それに対してTOEIC®はメインがリスニングとリーディング。しかも内容がビジネスよりなので、英検2級がとれてから受け始めるので十分です。また英検を受けるときは、下のレベルから始めるのがおすすめ。そこで満点をとることができれば、その後の勉強のモチベーションも上がること間違いなしです。
語学は継続が力なり。始める年齢は関係ありません。毎日コツコツ取り組んでいきましょう。
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英会話イーオン 非常勤講師
1950年生まれ。大学を出たあと、20代から20年以上専業主婦として過ごし、40代半ばから英語を本格的に学び始める。2001年、51歳で英検1級、03年、53歳で通訳案内士の資格を取得。フリーの通訳案内士や専門学校の講師として活躍。06年、56歳の頃から英会話イーオン勤務。現在は吉祥寺校、高田馬場校にて週6日勤務している。
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(英会話イーオン 非常勤講師 日高 由記 構成=池田純子)
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