朝のたった1時間で高度な情報収集ができる「最強のSNSメモ術」とは
プレジデントオンライン / 2020年10月3日 11時15分
※本稿は徳力基彦『自分の名前で仕事がひろがる「普通」の人のためのSNSの教科書』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
■SNS発信に肩書は必要ない
ネットサーフィンをしていると、自分に役立つ発信をしてくれている人は必ずしも著名な作家やジャーナリストばかりではないと気づきます。みなさんも、誰が書いたかわからないブログやSNSの投稿から刺激を受けたり、感動したり、勉強になったりした経験はあるでしょう。しかも、その文章は必ずしも美文や名文ではないはず。
ネットの世界では、業界のピラミッドの頂点にいる経営者や第一人者の情報だけが求められているわけではありません。
少数ではあってももっと細かなニーズをもつ人がネット上の情報を日々検索し、自分の求めている情報を探しています。
ためになると思えば、頻繁に読みにきてくれます。
どんな立場の人であっても、その人のもつ情報を求めている人は世の中にいるのです。
たとえば、大学生に向けた就職活動のアドバイスなら、就活の専門家よりも新入社員の発信のほうが役に立つ場合があります。大学受験指導のプロフェッショナルより、この春に大学に合格したばかりの大学1年生が受験勉強のコツを語ったほうが参考になるかもしれません。
だから、「自分には発信するようなネタはない」「発信に値する人間じゃない」と卑下する必要はまったくありません。自分と同じ立場の人、似た悩みをもっている人、同じ趣味や興味関心をもつ人……。あなたの発信が誰かの助けになり、問題解決のヒントになることは十分あり得るのです。それがSNS発信のおもしろさです。
■ビジネス×SNSを成功させる鍵、“徳力メソッド”
ぼくのブログの書き方は「徳力メソッド」と呼ばれています。名付け親であるビデオブロガーのジェット☆ダイスケさんによると、ぼくのブログには次のような特徴があるそうです。
2.本文は単に思い付いたことをつらつらと
3.締まらない締め方、何もまとめずに終わる」
(gajetdaisuke.comより「徳力メソッドというブログの書き方」)
要するにからかわれているのですが(笑)、これを聞いたとき、的を射ているな、おっしゃる通りだなと思いました。結局のところ、組織の看板を背負ったビジネスパーソンはこのように結論をあいまいにしてしか書けないのです。
ビジネスについて何か書こうとすると、自分はそのつもりがなくても他社批判と受け取られる可能性があります。
また、ビジネスに正解はないので、一概に正しい・間違っているといえない場合も少なくありません。
■インフルエンサーの真似は炎上のもと!
知名度のあるインフルエンサーやバズをねらうTwitter芸人であれば、「こんなのはダメだ!」とバッサリ斬って捨てたほうが「あの人はかっこいい」と思われ、フォロワーが増えるでしょう。しかし、「普通」のビジネスパーソンがこれをやってしまうと、確実に敵を増やしてしまいます。
ぼくらは仕事に役立てるのが目的なのですから、インフルエンサーの真似はしないようにしてください。彼らのなかにはSNS発信のノウハウ本で、自分の成功体験をもとにバズるための近道を教えてくれている人がいます。しかし、いわゆるバズをねらう発信方法は、ビジネスパーソンには危険がありすぎます。
徳力メソッドでは、インプットした情報を紹介し、それに対して自分はこう思う、なぜならこうだから、でもそうじゃない考え方もできますよね、と書くのが基本型になります。組織人の発信はこの程度でいいのです。
過激なことや鋭い意見を言おうとする必要はありません。そのほうが「炎上」しにくいですし、読んだ人が情報を補足してくれたり、背景を教えてくれたりして、結果的にコミュニケーションが活性化します。
■実は“初心者っぽい”と得をする説
ジェット☆ダイスケさんは、先の徳力メソッドの説明に続けて、こんなこともおっしゃっています。
「以前、ある学生起業家さんが『ネットでは、知らないフリをしていると、求めていたこと以上の情報が勝手に入って来るんですよ』と仰ってました。
●おっさんは本質的に無駄な議論と説教するのが大好き。
●ヲタやギークは専門分野の知識をひけらかしたがる。
●コミュニティには一定割合で揚げ足取りの好きな連中がいる。
という事を上手く利用してやれば良いのです。徳力メソッドでブログを書くと、上記のような方々が大勢寄って来て、はてブ(著者注:はてなブックマークのこと)でコメントしたり言及トラックバックしてきたりで、アッという間に多数のツッコミが入り、あらゆる間違いは訂正され、足りない知識は必要以上に補われます。
そして、被リンクも沢山得られてウマーなのです」(gajetdaisuke.comより「徳力メソッドというブログの書き方」)
ジェット☆ダイスケさんが分析してくれた「徳力メソッド」は(自分で言うのもなんですが)ビジネスパーソンに適した方法なのです。
■SNSを「自分のためのメモ」として使うのも面白い
最後に、ぼくなりの「自分のためのメモ」の書き方を紹介します。ビジネス系のメディアのメールマガジンに登録しておけば、毎日のようにメールマガジン(日本経済新聞、日経ビジネス、東洋経済オンライン、ダイヤモンド・オンラインなど)が届きます。まずは、それを見て、ニュースのタイトルだけをチェックし、そのなかから興味のあるニュースを数本読みます。自分にとっていちばんおもしろかった記事を選んでメモをまとめ、ブログにアップするようにしています。同じ内容をFacebookやTwitterやNewsPicksのコメント欄にもアップします。
このニュースチェックからブログに書くところまでを、ぼくは朝、電車の通勤時間の1時間ほどで終わらせるようにしています。
ニュースメモを発信すると、同じニュースが気になっていた人がコメントをしてくれたり、ニュースに関係のある業界の人が情報を教えてくれたりします。「背景にはこういう問題もあって」「いや、じつはそれは違うんですよ」など、その道の人が教えてくれることはひじょうに勉強になります。単にニュースをインプットするより、はるかに記憶に残りやすくなりますし、理解が深まります。
ぼくにとってのニュースメモは、毎朝、「ミニ異業種交流会」をくりかえしているようなもので、気軽に意見交換、情報交換ができるのです。
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noteプロデューサー、ブロガー
1995年よりNTTにて法人営業やIR活動に従事した後、IT系コンサルティングファームや、アリエル・ネットワークでのブログを活用したマーケティング、PR業務に従事。2006年、アジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。代表取締役社長や取締役CMOを歴任し、2019年6月の取締役退任後もアンバサダープログラムのアンバサダーとして、ソーシャルメディアの企業活用についての啓発活動を担当。note株式会社では、noteプロデューサーとして、ビジネスパーソンや企業におけるnoteやブログ、ソーシャルメディアの活用についてのサポートを行っている。
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(noteプロデューサー、ブロガー 徳力 基彦 写真=iStock.com)
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