普通の人が、SNSで「ワンランク上の人」とつながるための仕掛けとは
プレジデントオンライン / 2020年10月4日 11時15分
※本稿は徳力基彦『自分の名前で仕事がひろがる「普通」の人のためのSNSの教科書』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
■“背伸び”してできた新たな出会い
インターネットのおかげで、個人がSNS発信によって有名になれるケースが増えています。
今は「自分にとって少々高い目標かな」と思っても、それに向かって動くと、長期的には実現できる可能性がある時代です。ちょっと背伸びした野望を腹にもちつつ、それに向かって一段一段、階段を登っていくような気持ちで発信をしていきましょう。
「自分はこの程度の人間だ」と決めつけてしまうと、それを超える「ハプニング」はなかなかやってきません。
日々の行動でちょっと背伸びをする意識をもってみてください。
自分の現状より少し上をいっている人とつながる、ふつうに暮らしていたら会うことのできない専門家との企画を考えるなど、意外とできることはあるものです。
ぼくは2017年から「メディアミートアップ」というイベントを企画・開催しています。
これはアメリカのフェイクニュース騒動や日本のWELQ問題をきっかけに個人的な問題意識から企画した、「メディア」がテーマの勉強会です。
登壇者としてお招きしてきたのは、ニュースメディアの編集長クラスの方や著名なライター、ブロガーなど、メディアの第一線で活躍する方ばかりです。
メディア系でも何でもないぼくが「メディア勉強会をしましょう」と言っても、人はほとんど集まらないかもしれません。
ただ、メディアの現場で奮闘する登壇者の話を聞きたいと思っている人は多いはず、と考えました。
そこでぼくは思いきって背伸びをしてメディアの勉強会を企画しているというわけです。
ここで「自分はメディアの人間じゃないし」と思ってしまうと、登壇者の方々のお話を聞くことはできませんし、登壇者や参加者のみなさんとつながる機会もなくなってしまいます。
無理のない範囲で背伸びをしてみれば意外と願いはかなうのです。
■横のつながりに目を向けるとさらに可能性はひろがる
一人でコツコツと発信するのもいいですが、横のつながりに目を向ければ、さらにコミュニケーションを増やすことができます。
はじめは個人の発信としてはじめたとしても、周りの人をもっと巻き込めないか、リアルとネットでコミュニケーションの総量を増やすにはどうすればいいかを考えてみてください。
ぼくはブログをはじめたころ、7、8人で共同運営のウェブサイトを立ち上げ、そのまとめ役をしていました。
当時、すでに有名ブロガーが何人もいて、後発のぼく一人ではその人たちに引けを取らない発信ができる見込みはないと感じていました。
でも、せっかくブログをやるならちゃんと続けて、少しは名前を知られるようになりたい。そう考えて、共同運営者それぞれの個人ブログがまとまって表示されるサイトをつくってみたのです。
自分は毎日発信できなくても、共同運営するメンバーの誰かしらがしてくれれば、ウェブサイトでは日々新しい情報が発信されている体裁をつくることができます。
そうすると、定期的にきてくれる読者を増やすことができます。
■同じ興味を持つ人とつながり、一緒に何かをするのも手
一人で発信するのと、数人でコミュニケーションをとっているようすが発信されるのとでは、読む側からの見え方が違います。
後者はディスカッションが活発におこなわれている場に見えるので、他との差別化にもなり、目立つことができます。
これはマーケティングの事例になりますが、2018年に肉メニューを提供する外食産業5社による「外食戦隊ニクレンジャー」という企画が話題になりました。
1社で宣伝をするより、関連の企業といっしょにやるからこそ盛り上がる。
このようなしかけを考えてみてはいかがでしょうか。
■SNS発信を続けるコツ
ブログやSNSにはPV数、リーチ数、フォロワー数といった「数字」が表示されます。それが日々増えたり減ったりすると気になってしまい、ついつい何度も見てしまいます。「1カ月以内に2000フォロワーを獲得する」とか「月間10万PVをめざそう」などと高い目標を掲げても、たいてい思うようには増えません。
![徳力基彦『「普通」の人のためのSNSの教科書』(朝日新聞出版)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/5/d/200/img_5da401ccae8ea32d5d48bee2272ad4d8308516.jpg)
そうするとおもしろくなくなり、発信をやめてしまう人がいます。
ビジネスパーソンにとってのSNSの基本は「自分のためのメモ」です。数字に関心を寄せすぎないようにしましょう。
数字に一喜一憂するよりも、コミュニケーションできる同じ業界の仲間がいるかどうか、日々ウォッチして勉強をさせてくれる師匠を見つけられたかどうかといった点に着目したほうが、よほど仕事のためになります。
仲間や師匠を得るためには、自分の価値観や興味、意見を積極的に出すような発信をしましょう。
すると自分と似た立場にある人、同じ業界や近い業界の人、同じ価値観の人が集まってきてくれます。それはほんの数人であっても、リアルのつながりと変わらない、大きな価値のある人たちです。
■量より質、数より熱量を重視しよう
コミュニケーションのないフォロワーがたくさんいるよりも、はるかに質のよい、熱量のある価値です。交流ゼロの無言のフォロワーより、自分に興味をもってくれてコミュニケーションができる仲間を増やす意識で発信していきましょう。ときには思いがけず発信がバズって、PV数が激増する経験をする人もいるかもしれません。たくさんの人に読まれるとコミュニケーションが増える可能性があり、それはいいことなのですが、こわいのはその後です。同じPV数が得られないと満足できなくなってしまうのです。
でも、ぼくらビジネスパーソンが発信する目的は、PV数ではなかったはず。そのことを思い出し、発信の原点に戻ってきてください。
「自分はなんのために発信をはじめたんだったっけ?」とキャッチコピーや決意表明を思い出しましょう。
そしてあなたの発信を読んでくれた1PV、1フォロワーを、単なる数字と思わず、「一人」と出会ったと認識するようにしましょう。リアルで一人、友人が増えたらそれは大きな出来事だと思います。ネットも同じです。一人でも数人でも、自分のおしゃべりを聞いてくれて、コミュニケーションをとれる人がいるのは、それだけですばらしいことではないでしょうか。
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noteプロデューサー、ブロガー
1995年よりNTTにて法人営業やIR活動に従事した後、IT系コンサルティングファームや、アリエル・ネットワークでのブログを活用したマーケティング、PR業務に従事。2006年、アジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。代表取締役社長や取締役CMOを歴任し、2019年6月の取締役退任後もアンバサダープログラムのアンバサダーとして、ソーシャルメディアの企業活用についての啓発活動を担当。note株式会社では、noteプロデューサーとして、ビジネスパーソンや企業におけるnoteやブログ、ソーシャルメディアの活用についてのサポートを行っている。
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(noteプロデューサー、ブロガー 徳力 基彦 写真=iStock.com)
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