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「ちょっといいかな」リストラ面談の崖っぷちで大逆転する8つの裏ワザ

プレジデントオンライン / 2020年10月5日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

三菱自動車、ジェットスター、東芝など、9月に入って大手企業が次々に人員整理を発表している。自分の会社でリストラが始まったとき、生き残るにはどうすればいいのか。リストラ評論家の砂山擴三郎氏が「リストラ面談に呼ばれたときの8つの裏ワザ」をアドバイスする――。

※本稿は、砂山擴三郎『今どきサラリーマンのためのリストラされずに会社にぶら下がる方法』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。

■会社のペースに乗せられるな

早期退職・希望退職を会社側が募集し、個別に社員に退職勧奨(いわゆる肩たたき)する場合に必ずつきものなのが、会社側による対象者への「面談」だ。一方的に会社都合で退職させたり解雇することの難しさを知っている会社の狙いは、「面談」を通じて本人を説得し、納得させて退職させることなのだ。

会社側は戦力外社員とみなせば、退職してもらうためにあらゆる手を尽くす。普通のやり方ではなかなか本人が「承知」しない。中には「連日のように面談、休憩なしの長時間拘束、大声・威嚇・暴力・嫌がらせなどを伴う面談、多人数による面談」で強引に明らかな法違反の退職強要がなされることもある。

それだけに会社ペースでの面談になって、退職に追い込まれることのないように自衛手段を講じる必要が出てくるのだ。以下、会社側を押し返すための8つの裏ワザをお教えしよう。

■裏ワザ1 想定問答のロールプレーイングする

ある程度の規模のリストラをする企業は、専門企業から手ほどきを受けるのが普通だ。その場合、リストラ対象者との面談のやり方のスキル・テクニックを二日間ほどの研修で面談者に徹底的に覚え込ませるときに使われるのが「リストラマニュアル」(別名「辞めさせマニュアル」)である。新聞や週刊誌の特ダネ記事とかスクープとして報じられることがしばしばあるが、今はネット上で容易に入手できる(「リストラマニュアル」で検索)。

このマニュアルは何種類もあるが、ほとんど内容は変わらないのでどの会社のケースにも使えるだろう。これを見れば、面談者の心構え・注意事項・面談のやり方・問答内容が詳細に記述されている。読めば相手の手のうちがよくわかるので「百戦危うからず」だ。

特に問答内容はビックリするくらい同じ。こう言われたらこちらもこう切り返そうと事前の準備が完璧にできる。あまりにも想定どおりに対応できるので、不謹慎だがゲーム感覚で対応できる。そのため、ある人が思わず「笑み」をもらしたため面談者から叱責された、と聞かされたことがある。

問答のポイントについては、拙著『仕事のできるあなたが、なぜリストラされるのか』に詳しくある。

なお、会社側がリストラマニュアルを使っているかどうかを確かめる方法は簡単だ。面談室で面談者が自席の斜め前に座っていれば(もう一人いる場合は自席の横手)、このマニュアルを使っていると判断できる。試しに座る場所を変えると、面談者も変えてくるはずだ。「真向かいに座る」ことは対立関係になるからと、マニュアルでは禁じているからだ。

■裏ワザ2 面談記録をマメにとる

突然の場合でも、「リストラ宣告だな」とピンときたら、とにかく記録をとり始めなければならない。そのために日ごろから、少なくともメモ帳と筆記用具は携行しておきたい。それにICレコーダーも必須ツールだ。

これによって相手は気勢をそがれ、これは一筋縄ではいかないと思うだろう。脅かし半分の下手な発言もしてこなくなるのが普通だ。記録はいろいろなところで相談に乗ってもらう場合も利用でき、何よりも裁判などになったときは力強い武器になる。やれば導入から圧倒的優位に事を進められる。

この辺は相手もよく知っているので、そういったものの使用を止めさせたり牽制したりする。これは100%近くあると考えたほうがよいだろう。

「なにそれは。そんなんじゃあ、話せる事も話せないでしょうが。そういうことされるとお互いの信頼関係も崩れてしまうので遠慮してよ」

何を言われても、その場でノートを広げ、「2020年10月5日、月曜日、今10時11分。第一会議室、面談者は山本和夫部長。部長が『それは遠慮してください』と発言」とドンドン大きな字で書けばよい。ICレコーダーも前に置いて「録音スタート」とスイッチオンすればよい。使うことはなんの問題もない。

激しく抗議されることも、その場の雰囲気もあるだろう。難しければICレコーダーは無理に使わなくてもよい。とり上げられたり、机の上にオフして置かされたりすることに備えて2台持ちが今や常識になっている。

馬の耳に念仏でほうっておけば、苦笑しながら黙認される場合も多い。こうなれば、まず初戦は大勝利でのスタートとなる。さらにノートパソコンを持ち込んで発言をいちいちインプットする輩も出てきている、と嘆く人事担当者もいるくらいだ。

「そうですよ、部長のおっしゃるとおりですよ。これはあくまで言った言わないの話になった場合の確認用です。駄目なら私はこれから一切無言で通します」

「金持ち喧嘩せず」の対応で既成事実を作ればよい。できるだけ細かく、要約しないでありのままの発言と様子を書く。相手側に、「こうですよね」と確認をとるのも高等戦術だ。

ある人は、録音された一部始終をそのつど聞いて「こんな事言われて、絶対負けない」と励みにしていると聞いたことがある。さまざまな使い方があるものだ。

ノートとICレコーダー
写真=iStock.com/hjroy
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/hjroy

■裏ワザ3 とにかく時間を稼ぐ

各部署や人事にはリストラ目標人員があり、いつまでにという時期も決まっている。よって、トラブルが起きそうだとか時間がかかりそうな人は後回しになりがちだ。ここが狙い目で、そうこうする内に台風一過。あれはなんだったのかということがしばしばある。景気が回復して急にリストラが中止になったり、希望退職の応募人員が募集枠を超えたり、上司の異動でリストラ候補から外されたり……。だからとにかく時間を稼ぐのだ。

普通、面談で設けている「週1回以内」「1回が長くて1時間」の基準をこの際活用するのだ。そのやり方として、

★2回目以降の面談では、メモや録音したものを基に前回の詳細な問答記録を作って面談者に渡す。そして一つ一つ読み上げて確認。違っていれば修正し、最後にサインさせる。

イチャモンをつけられたら、「大事な打ち合わせだから、キチンと議事録を作り、互いに確認するのが当然でしょう」と涼しい顔で受け流せばよい。

★家族と示し合わせて面談中に携帯電話をかけさせる。電話応答したあと、溜息をつきながら「女房がうつになって」「子どもが不登校で」「母親が徘徊して」と家族のマイナス情報を面談者に伝える。面談中に何回も電話があれば、時間がかかるだけでなく本人の不安定さを印象付けられる。

★「お水いただけますか、薬飲む時間なので。ちょっと心臓の調子が悪くて医者からは早く手術するように勧められていまして。発作がいつ起きるかわからないのです」と語る。面談が中断し、面談者も勢いがそがれ、また無理押しできないという印象を与える。

★面談者の説明や説得の内容を細かく確認して質問する。また持論をとうとうと述べる。

「会社が収益悪化した原因なんですが、私が思うに……」

★事前の想定問答に基づき、ああ言えばこう言うスタイルで自分の考えに引き込んでいく。

★面談者が答えにくい質問をする。

「それは就業規則の何条何項に規定されているのか、今まで適用された事例はどうか」
「社長の経営責任について聞きたい。そもそも会社がこんな危機に陥ったのは○○事業に新規進出したせいではないか。どんな成算があったのか聞きたい」

■裏ワザ4 無言で貫き通す

沈黙は「金」というが、無言で腕組みして一切何も答えないのだ。そのときに「じっとにらみつける」「顔面を引きつらせる」といったことを併せてやるとより効果的になる。

実は人事が面談でおそれているものの一つが「無言」で、「のれんに腕押し」状態はベテラン人事もどうしたらいいのかわからなくなるのである。わかったのか、わからないのか、何を考えているのか、まったくわからないので対処できず、音を上げてしまう。

本人が黙り込めば黙り込むほど相手は話しかけてくるものだ。そうせざるをえないのだ。なぜなら、本人は黙っていても何も困らないが、なんとか説得し了解を取りつけようとする相手(会社側)は焦りまくる。「何か言ってくださいよ。頼みますよ」と懇願するまでになる。

本人にとって一秒一秒が苦しく辛い。無限とも思える魔の時間だが、相手はそれ以上に苦しい。辛抱し我慢し耐え抜きたい。リストラされたときの大変さに比べれば、これしきはどうってこともないはずだ。この方法は「誰でも・簡単に・いつでもできる、失敗しない」方法だ。

ビジネスマンオフィスで働く口のファスナーを秘密
写真=iStock.com/PeskyMonkey
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PeskyMonkey

■裏ワザ5 常套句ですべて切り返す

事前にさんざん問答を練習していても雰囲気にのまれたり、相手に気後れしたりするので十分に返答できないことがある。それに備えて「常套句」をいくつか準備し、相手の問いかけに対して的外れでもなんでも構わないのでそれで答えよう。無表情で答えるとより有効だ。

「私は辞めません」
「それはなぜですか?」(どんな返事に対しても3回繰り返す)
「それはどういうことですか?」(どんな返事に対しても3回繰り返す)

何を言われても、単純にして明快なこれら3つの言葉ですませる。繰り返し繰り返しこの言葉を呪文のように唱えるのだ。私はこの言葉を「魔法の文句」と称している。ぜひ、ご活用を。この威力のほどを実地に試してください。

相手は付け込む隙を見つけようと、例えば「なぜ辞めないのですか?」と反応してくるが、そのときでも「辞めません」でOKなのだ。そして黙って相手の目を見るといい。

3つでも多いという人は、「私は辞めません」一つだけでも大丈夫。忘れないようにと、手のひらにマジックで書いた人もいます(笑)。

「辞めたくない、絶対に。辞められないんです。だから、何をされても何を言われても辞めません」。まさに「踏まれても蹴られてもついていきます下駄の雪」の心境だ。家族の顔を思い浮かべながら、ひたすら耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んでいくのだ。

■裏ワザ6 体全体を使って相手に自分の意志を表現すること

例えば、こうだ。

「目を大きくむきながら、両手に力こぶしを作り、椅子から立ち上がって大声で声を震わせながら、『私は絶対辞めません』の言葉を3回繰り返す」

動作、アクションでは、

「溜め息をつく」「頭を抱える」「頭をかきむしる」「突然奇声を発する」「手を震わす」「手を振り回す」「声を震わす」「泣きそうな目」「荒い吐息」「握り拳を作る」「急に立ち上がる」「とろんとした目」「机をこぶしで叩く」「あらぬ方向に目を向ける」……

自分の気持ちや心情を体で表現する効果的な方法を考え出して、自分で自分を演じる役者になることだ。

デスクで座っているビジネスマンが頭を抱える
写真=iStock.com/Paul Bradbury
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Paul Bradbury

■裏ワザ7 面談者の失言を徹底的に追求すること

面談者も速成教育を受けたばかりの管理職であったり、他部署からの応援人事だったりする。落とさなければならない気持ちが先行してついつい口にしてはいけないことを言ってしまうというミスをしがち。これが狙い目なのだ。

激昂して、「この馬鹿者が」「だから君は駄目なんだ」とか、「もうクビだ」「僕も本当はリストラなんかしたくないんだけどね」などと絶対使ってはならない言葉を使ったりする。

「部長、今、私をクビだと言いましたよね、整理解雇ということですか。このあとすぐ労働組合に相談します。説明と発言が違うじゃないですか、どうしましょう」

レコーダーにもバッチリ入っている、もう面談者は逃げられない。ここで攻守所を変えることになる。すぐその場で言うのが効果的だが、次回に発言メモを見せたり、テープを聞かせたりしてもいいだろう。次から対応がはっきり変わってくるはずだ。

■裏ワザ8 面談者への個人対応をする

面談者にとって避けたいのは、前述した「記録をとられること」「対象者の無言」と、もう一つあるのが「自分への個人対応」だ。

面談前に面談者の個人情報を集めるようにする。フェイスブックで検索したりして、社内人脈・住所・家族構成・学歴・趣味など幅広く知りたい。これが武器になるのだ。そのうえで機を見て「会社じゃあ、時間もないし、立場上言えないこともあるでしょう。部長の自宅の最寄り駅は、確かJRの○○でしたよね。一度夜にでもお邪魔しますよ」と、これでいい。

砂山擴三郎『今どきサラリーマンのためのリストラされずに会社にぶら下がる方法』(主婦の友社)
砂山擴三郎『今どきサラリーマンのためのリストラされずに会社にぶら下がる方法』(主婦の友社)

リストラマニュアルによると、「会社は……と考えている」「会社は……を決して許しません」などの言い方を面談者に推奨する。要は、「こんなことをしたりやったりするのはすべて会社で私個人ではない。私はこういう立場にあるから仕方なくやっているのだ」と心のやましさを覆い隠すと同時に個人攻撃に待ったをかけている。面談者個人に矛先が向けられることは会社として困る、やめてほしいということだ。これが狙い目になる。

この個人対応に耐えられる人はほとんどいないだろう。しかしこれは乱用してはならない。必ず「素振り」だけにしておくことだ。要は、「私に退職を強く求めるとあなた自身も返り血を浴びますよ」という印象を与えておくことが必要なのだ。一番やられたくないことなので、扱いがガラッと変わる可能性がある。

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砂山 擴三郎(すなやま・こうざぶろう)
キャリアコンサルタント
1943年生まれ。大阪大学卒。大手企業で人事・総務畑を歩き、人材会社を経て独立、企業のリストラを手伝う。

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(キャリアコンサルタント 砂山 擴三郎)

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