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2020年動画時代の幕開けに、TikTokが広告ビジネスを大激変させる理由

プレジデントオンライン / 2020年10月14日 11時15分

Natee 小島領剣社長

動画の時代と言われる2020年。企業だけでなく、政府までTikTokに注目し始めた。大きなうねりに乗れる会社と乗り遅れる会社の決定的違いとは――。

■ハイブランドも注目、企業でのTikTok2大活用法

【原田】ダンスだけではなくて、さまざまなジャンルで利用されるようになっているTikTokですが、企業で利用するなら、どんな使い方がありますか?

【小島】使い方には二つのパターンがあると思います。まず一つは、若者へアプローチをしたいときのプロモーションとしての使い方です。ゲームやコスメなどでなくても、たとえば50代がメインユーザーの商品を持つ会社なんかも若者にリーチしたいというニーズがあります。

【原田】若者というのは女子高生くらいを指しているのですか?

【小島】いえ、もう少し上の世代にも効果はあります。某フィットネスアプリの広告動画は20代後半から30代前半の女性に向けて発信してヒットしました。

【原田】どういう商材の時に成功しやすいですか?

【小島】相性がいいのは10代から20代なので、ターゲットをそこに設定すると効果が出やすいです。業種を選ぶとするとまずは消費財が挙げられます。コスメやファッション、飲料、消費財など分かりやすいもの。事例もたくさんありますし、今後大きな市場があると思います。

もう一つはアプリやウェブサービスでのインストールや会員登録を促すようなものは効果が出やすいようです。

チャレンジングな取り組みとしては、ハイブランドによるTikTokへの参入です。クリスチャン・ディオールなどハイブランドの出稿もありました。

■「広告」が激変する可能性

【原田】そうなんですね。でも、どんな広告が出せるのですか?

マーケティングアナリスト 原田曜平さん
マーケティングアナリスト 原田曜平さん

【小島】TikTokの看板メニューといえば「ハッシュタグチャレンジ」(TikTok内でユーザーに企業コンテンツの作成・投稿を促す広告のこと。ハッシュタグをつけて投稿を促すためこう呼ばれる)があります。専用動画と音声があり、使って遊んでもらうようなフォーマットのものです。これはTikTokをジャックするという手法ですね。

もう一つは、いわゆるダイレクトコンバージョン(直接購買させる)形の広告で、たとえばアプリのストア画面に飛ばしてアプリのインストールを促したり、アプリだけでなく、通販サイトやスキンケアブランド、あるいはWi-Fi事業者の申し込みページなどで会員登録を促す広告などにも使えます。

【原田】「あんなので効果があるのかな? と思っている人は多いと思うんですよ。実際にTikTokで広告効果はあるのでしょうか。

■ポッキーの動画が1日で2万3600本投稿される

【小島】ハッシュタグチャレンジに関して言うと、当たるものとそうでないもので差が出ます。

たとえば、「ポッキーの日」のキャンペーンで、「ポッキーチャレンジ」というものがありまして、たった1日で約2万3600本の動画が投稿されました。広告なのに、特定の商品に関して自ら進んで投稿してしまうといった事例は今までなかったと思います。インフルエンサーだけでなく、友達など自分に近い人が投稿することで連鎖が起きる。消費者自らが投稿したくなるようなフォーマットを作ったという点で、TikTokは革命的な広告手法を見いだしたといえるでしょう。

一般の人が「自分も乗っかりたい」と思えるような音声や動画を意図的に作り出すのは難しいと思うんです。当たれば他の媒体では獲得できないような広がり方になりますし、外れればお寒いキャンペーンになってしまいます。

■TikTokを使いこなせないのは◯◯がない会社

【原田】TikTokの活用がうまくいかない会社に共通点はありますか。

【小島】社内に動画に対する知見がない会社です。そして現時点ではそういう会社のほうが圧倒的に多い状況です。

2020年代は「動画の時代」と言われています。これから5Gが拡大し、動画は重要な発信源になっていきます。ただ、SNSにはそれぞれ特殊な“文法”があるので、それに沿った発信が必要です。テレビCMのようにブランドを前面に出すよりも、TikTokのユーザーにウケるコンテンツの中身にブランドを寄せて発信していくことが大きなポイントです。

【原田】TikTokの場合、その“文法”というのは、たとえばどういうものがありますか。

【小島】TikTokは短い動画という性質上、「開始1秒」が勝負どころです。親指をスクロールして次々と新しい動画が出てくる中で、脳が一瞬で「この動画を見るべきかそうでないか」を判断するからです。「サムストップ」と言いますが、どうやってユーザーの親指を止められるかが最初の1秒にかかっているわけです。最初の1秒で、ターゲットがその動画を見るべきと判断する作り方をしなくてはなりません。15秒を最後まで見てもらえるという前提のテレビCMを作っている企業では、苦戦することも多いかと思います。

また、15秒間に起承転結を付けるのもTikTokの動画で大切なポイントです。最後に「オチ」をつけるのは鉄則。くすっと笑えるようなオチがつくと再生数が伸びるんです。これもTikTokの「文法」です。

【原田】ハッシュタグチャレンジではなく、インストールや会員登録を促すようなプロモーションの場合の広告効果はいかがでしょうか。

【小島】実は、そういう広告の方こそ、ちょうど今狙い目だと思っています。コロナの影響もあってユーザーは伸びていて枠が広がっている一方で、まだ広告出稿をする側のクライアントはそこまで増えていません。そういう時期は広告効果が出やすいので、「お買い得な時期」と言えます。

■政府や自治体がTikTokに注目するワケ

【原田】企業側の視点では、公式TikTokアカウントの運営ということも考えていくべきでしょうか。

【小島】はい、企業だけでなく、政府や行政もTikTokでの発信に積極的です。最近だとTikTokが防災啓発を目的として「防災TikTok」というキャンペーンを始めましたが、ここでは気象庁や、厚生労働省、スポーツ庁と連携しています。

【原田】若い人に情報を拡散したいという意図でしょうか。

【小島】もちろんそれもありますが、それに加えて、動画のほうが情報効率が高いことがあります。ただYouTubeだと、動画を作っても誰も見てくれない可能性も大きい。一方、TikTokは情報の質さえよければ、10万でも100万でも拡散されていきます。

広告効果の点でも、情報伝達の点でも今後TikTokが注目され続けることは間違いないでしょう。

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原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平若者研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。

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小島 領剣(こじま・りょうけん)
Natee 代表取締役
早稲田大学国際教養学部卒。2016年にビズリーチに新卒入社し、新規事業のプロダクト開発にエンジニアとして携わる。ショートムービーの勃興と、個がメディアになり活躍する未来を強く信じNateeを創業。

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(マーケティングアナリスト 原田 曜平、Natee 代表取締役 小島 領剣 構成=藍羽笑生)

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