人気ユーチューバー和尚が「イケメンは意外に損」と言う納得の理由
プレジデントオンライン / 2020年10月16日 9時15分
※本稿は、大愚元勝『人生が確実に変わる 大愚和尚の答え 一問一答公式』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
■美しさ、賢さ。長所は短所にもなる
コンプレックスや欠点に悩んでいる人は多いと思います。人生がうまくいかないのはそのせいだと、嘆くこともあるでしょう。
しかし、完璧に見える人でも、その長所のために苦労していたりするのです。
その代表がお釈迦様の十大弟子の一人、アーナンダさんです。お釈迦様の説法をいつも間近で聴ける従者という絶好のポジションにいたにもかかわらず、アーナンダさんはなかなか覚(さと)りを開くことができなかった。
その理由は、あまりにもイケメンだったからだと言われています。
あまりにモテすぎるので、修行に集中できない。人から見れば長所であるはずのイケメンが、修行の妨げになったという例です。
私たちは、自分に何かが「ない」ことや「できない」ことが不利だと思い込んでいます。顔の美しさがなければ不利、頭が良くなければ不利……。
でも、美しさだろうと賢さだろうと、視点が変わることで長所にもなりうるし短所にもなりうるんです。アーナンダさんにとって「イケメンであること」は、修行の邪魔になる短所でした。
目標を達成するには、コツコツと地道な努力が必要です。でも人気者だと誘いも多かったりして、時間を取られて夢がかなわないこともあるでしょう。
■耳が遠くなれば、悪口も聞こえない
私は「ない」「できない」を恵みに変えたすごい人を何人も知っています。
その一人は、私のお寺の檀家さんだったおじいちゃん。80代半ばを超えてもおしゃれで、帽子が大好き。いつもニコニコしていて腰が低く、何か用事があると、お年を召しているのに杖をついてお寺までわざわざ来てくださいました。
私なんて孫みたいな年齢ですから、「こちらから伺います!」と申し上げても、「お坊様を呼びつけるなんてとんでもない」と微笑むのです。
そのおじいちゃんは、だんだん耳が遠くなりました。補聴器をつけてもよく聞こえないのです。でも、私にこう言って微笑みました。
「耳があんまり聞こえすぎると、聞きたくないことも聞こえてきます。でもね、今は悪口も何も聞こえない。これは本当に幸せですよ」
その後もおじいちゃんはどんどん衰えていき、胃の手術をなさいました。でも、私にこう言って微笑みました。
「私はずっと口が卑(いや)しくて、際限なく食べて太ってしまい、しょうがありませんでした。でも、手術をしたら多くの食べものを必要としなくなった。この老いぼれにはかえってちょうど良いんですよ」
■欠点を恵みにできるかは自分次第
最初は我慢か強がりかと思っていましたが、違いました。おじいちゃんは本当にそう思っていました。
足が不自由になったときは、「孫が優しくなった」と喜んでいましたし、自分の衰えを受け入れ、良い面だけを見ながら九一歳で亡くなりました。年を重ねるごとに仏様に近づいていったお方だったと、私は思うんです。
耳が聞こえなくても、足腰が立たなくても、人はそれを心で補うことができます。
心で補えれば、それは恵みに変わります。耳がよく聞こえなくても、そのぶん一所懸命に聞けば、相手は「こんなに真剣に聞いてくれる」と感動するものです。
嘆くのは、もうおやめなさい。
「ない」「できない」を恵みに変えられるかどうかは、自分次第なのです。
■ひどいアトピーだからこそ、成功した男の話
私は以前、整体師をしていました。
ある日、よく来ていた大学生の患者さんの顔が気の毒なことになっていました。アトピーで顔が真っ赤に腫れ、粉をふいているような状態だったのです。
アトピーはつらいですよね。夜、寝ているとき、かゆみに耐えられずにかきむしるので皮膚が傷だらけになり、そこからまた炎症が起きます。
「先生の治療でなんとかなりませんか?」
当時の彼は就活中の大学三年生。アトピーを言い訳にして、いろんなことから逃げている自分が嫌だと悩んでいました。
そこで、こう提案したんです。
「アトピーに向けていた強力なエネルギーを、あなたと同じような苦しみを抱えている人を救う方向に向けてみませんか?」
彼は「はい!」と即答し、大学を卒業してから私の整体院で働き始めました。彼は狂ったように働き、異常なまでに勉強をしていました。私が患者さんに説明をしていると、カーテンの奥からカタカタ音がするんです。彼がキーボードを叩く音でした。
私がどのような単語を使い、どういう順番でどう説明を組み立てるのか、どんな気配りをしているかまで、克明にメモを取っていたのです。
施術家になってからは、アトピーである自分の体と心の状態を観察しながらあらゆる治療法を自ら試し、同じ悩みを持つ者として患者さんに寄り添いました。
彼の施術家としてのキャリアが通算一万人に達した頃には、不思議なことに彼自身のアトピーの症状も驚くほど治まっていました。そして、整体院グループの総院長にまで上りつめたのです。
■ネガティブなエネルギーをポジティブ変換
私のいる福厳寺では、毎年一二月に秋葉大祭という祭りを通じて「三毒を三徳に変える」という教えを伝えています。三毒とは「貪(とん)・瞋(じん)・痴(ち)」という心の猛毒で、それぞれ「欲・怒り・迷い」のことです。三徳とは、「智徳・断徳・恩徳」の三つ。真実を見る智恵徳、知恵によって執着を断つ徳、利他の精神を忘れない徳という意味です。
つまり、貪瞋痴という自己の内側に渦巻くネガティブなエネルギーを、他者に役立てるポジティブなエネルギーに変えていこうという修行なんです。
アトピーに悩んだことがある人ならおわかりだと思いますが、そのかゆみや痛みと戦って消耗するエネルギーは膨大です。
そのエネルギーは三毒でいうところの瞋、つまり怒りのエネルギー。そのエネルギーを、他人を助け喜ばせるために使ったらどうなるか?
あたかも劣勢だったオセロゲームが、ほんの一手で、黒が白に一斉にひっくり返っていく。そんな鮮やかな快進撃を私は目の当たりにしたのです。
あらためて人間の可能性を思い知らされた出来事でした。
■悩む人には素質がある
歴史を振り返ると、氷河期や大地震、火山の噴火や飢饉などうんとつらいこと、苦しいことがあったとき、それを乗り越えようとして人類は進化してきました。
苦しみが大きければ大きいほど、エネルギーが大量に蓄積されているのです。それをポジティブな方向に向け直して一点突破すれば、必ず前進できる。ですから、安心してください。悩む人には素質があります。
悩むエネルギーすらないというのが、一番困るのです。
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佛心宗大叢山福厳寺住職、(株)慈光グループ代表
空手家、セラピスト、社長、作家など複数の顔を持ち「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。僧名は大愚(大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意)。YouTube「大愚和尚の一問一答」はチャンネル登録者数29万人、5400万回再生された超人気番組。著書に『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社)、『最後にあなたを救う禅語』(扶桑社)、最新刊としてYouTube「大愚和尚の一問一答」のベスト版として書籍化した『人生が確実に変わる 大愚和尚の答え 一問一答公式』(飛鳥新社)がある。
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(佛心宗大叢山福厳寺住職、(株)慈光グループ代表 大愚 元勝)
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