石原さとみ結婚で注目「創価学会員の入籍日が年3回に集中する理由」
プレジデントオンライン / 2020年10月9日 15時15分
■結婚報告の翌日も「記念日」だった
10月1日、女優の石原さとみが一般男性と年内に結婚することを発表した。
石原さとみはこれまでSHOWROOM社長の前田裕二や、2019年9月にジャニーズ事務所の副社長に就任した滝沢秀明との交際報道があった。恋愛遍歴を考えると一般男性との結婚報道に驚いた人も少なくないだろう。
一方で、石原さとみは創価学園の卒業生である。創価学園とは東京の小平と大阪の交野にある小中高の一貫校で、面接試験の際に創立者である池田大作のどこを尊敬しているのかを答えさせるなど、宗教色の強い教育機関だ。
また、創価学園の卒業生によると創価学園のなかには仏間として利用されている大きな建物があり、そこで生徒が「勤行(ごんぎょう)」や「唱題(しょうだい)」など創価学会における宗教行為ができるスペースになっている。
これは創価大学が一般入試に合格すれば通える学校であるのとは大きく異なる。創価学園に通っていた石原さとみは、おそらく面接試験で池田大作のどこを尊敬しているかについて答えたはずだ。
10月1日配信のNEWSポストセブン「石原さとみ結婚へ『このタイミングでの発表』に物議」では、10月1日は創価学会の記念日である10月2日の「世界平和の日」に近いため、「“10月2日の、創価学会の『世界平和の日』に合わせたのではないか”という声もあるのです」というキー局ディレクターの声を報じている。
創価学会において重要な記念日は3つある。そして、その3つの記念日のなかに報道にあった10月2日の世界平和の日は含まれていない。もし石原さとみが年内に入籍するならば、11月18日の創立記念日になるのではないかと筆者は考えている。
創価学会の「記念日」は具体的にどのような理由で定められたものなのか。「記念日」は創価学会員にとってどのような位置づけなのか。これらについて複数の創価学会員に聞き取りを行った。本稿はそれらをもとに筆者が考察を加えたものである。
■特に重視されている3大記念日がある
まず、基本的な記念日を確認したい。創価学会の公式サイトであるSOKAnetの「年間の活動」というページのなかに「記念行事」という項目があり、そこには全部で9つの記念日が紹介されている。そのなかでも創価学会員に重視されているのが3月16日・5月3日・11月18日の3つだ。
3月16日は創価学会において「広宣流布記念の日」と呼ばれており、第2代会長である戸田城聖が当時の青年部に対して創価学会の活動を託した日であるとされている。
「青年部」というのは20代~30代の男性からなる「男子部」と、未婚の20代~30代の女性からなる「女子部」を統合した組織である。1958年の3月16日、戸田城聖が亡くなる約2週間前に日蓮正宗の総本山である富士大石寺において「広宣流布の模擬試験」という位置づけで記念の式典が執り行われた。
「広宣流布」というのはSOKAnetによると「仏法が説く生命尊厳の思想を根本に、人類の幸福と社会の繁栄、世界平和の実現を目指す運動のことです」とされている。これは創価学会のメインスローガンであり、さまざまな活動の目的となっている。
1958年3月16日の式典には、全国の青年部、約6000名が集まり戸田城聖から直接の薫陶を受けたという。この式典には当時の総理大臣である岸信介が招待されていたが、参加が急遽取りやめになってしまい、このとき代わりに出席したのが岸信介の娘婿であり前総理大臣である安倍晋三の父、安倍晋太郎であった。
■たくさんの記念日には共通点がある
そのほかにも5月3日は戸田城聖と池田大作が会長に就任した日であり、11月18日は創価学会の創立記念日であるとともに初代会長牧口常三郎の命日でもある。また、「記念行事」の項目にはないものの、1月2日は池田大作の誕生日であることから実質的に記念日として扱われているなど、創価学会にはさまざまな記念日が存在している。
これらの記念日に共通しているのが、初代から三代までの会長に関連する出来事やその功績を淵源(えんげん)としているということだ。例えば「記念行事」として扱われている他の記念日は、戸田城聖の命日である4月2日や、池田大作の入信日である8月24日、戸田城聖が「原水爆禁止宣言」を発表した9月8日など、初代から三代までの会長が創価学会や社会に対して大きな影響を与えたとされる日を記念日として定めている。
先ほど、石原さとみの入籍日は10月2日ではなく11月18日になる可能性が高いと述べたが、それは10月2日よりも11月18日のほうが記念日として重要であるからだ。
10月2日は池田大作が初の海外布教に旅立った日だが、もちろんより重要なのは創立記念日のほうだ。このため10月2日を入籍日にしている創価学会員の夫婦はほとんどいないようである。
■学会員は常に記念日を意識して生活している
また、創価学会員はこうした記念日を人生の“軸”として捉えていることが多い。今回の石原さとみについての報道は、「結婚」と記念日との関係性に注目したものだったが、記念日と創価学会員の関係性はそれだけではない。
例えば、仕事における具体的な目標を特定の記念日までに達成すると決意することや、勧誘している友人が入会する日を記念日に合わせるなど、記念日というものを強く意識しながら創価学会員は日々の生活を営んでいる。
これは記念日というものが一年のスケジュールにおいてある種の“軸”として創価学会内で機能していると言えるだろう。
他にもメインの記念日である3月16日・5月3日・11月18日を記念して、新入会者が参加する大規模なセレモニーが各地域にある創価学会の会館で開催されている。創価学会員はこのセレモニーに向けて友人や同僚に対する勧誘、いわゆる「折伏(しゃくぶく)」に力を入れていく。
その他の記念日に合わせてセレモニーが開催されることもあるようで、このような年に複数回ある記念日を目指して創価学会員は勧誘活動を活発に行っている。
創価学会員は多数の記念日を人生の“軸”として意識しながら生活している。ライフステージの変化や社会での成功と記念日を関連させることで、信仰生活を豊かなものにしていると考えられる。
つまり多くの創価学会員がそうしているように、石原さとみが創価学会員であれば、結婚という自身にとって重要な出来事を、人生の“軸”である記念日と結びつけている可能性は高いといえる。
(文中敬称略)
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ライター
1992年生まれ。出版社勤務を経てライターに。
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(ライター 片山 一樹)
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