コロナより怖い"老後大格差地獄"が襲来…定年後6割が再就職できない惨劇
プレジデントオンライン / 2020年10月23日 11時15分
■多くのシニアが再就職できない根本的原因
人生100年時代といわれる昨今、定年退職後も働き続けたいという気運が高まっている。しかし、どれだけ優秀な人材だとしても年齢がネックになり、再就職が叶わないケースが6割近くあるという。一体どういうことなのだろうか。
「まず、優秀なスキルや経歴がある2割の人たちは、問題なく働き続けられます。また別の2割の人たちは『働けるなら』と、仕事内容や活かせるスキルに拘らず働き口を見つけます。問題は残りの6割の人たち。この層は大企業の看板に頼って仕事をしてきてスキルがなく、一方で仕事内容への拘りがあり、仕事を見つけづらい。しかもこれまでの経験が邪魔して変われない、これが多くのシニアがなかなか再就職できない問題の根源だと考えています」
そう話すのは、経験やスキルが豊富なプロ人材と呼ばれるミドルシニア層と、課題を抱えた企業を結ぶ人材マッチングサービス「プロドア」の生みの親である、東京海上日動キャリアサービスの市原大和さんだ。市原さんがプロドア事業開始に向けて各所に行ったヒアリングから、働きたいシニアが抱える問題がさらに詳しく見えてきたという。
■シニアの再就職は業務委託が主流になる
「企業側は仮にフルタイムで働ける優秀な人だったとしても高齢の社員を入れたがらないんです。65歳まであと数年しかない人材を積極的に採ろうとは思わない。逆に、大企業で勤めたシニアの人材だった場合、中小企業での仕事のスケールが小さいことにモチベーションが上がらないこともある。お互いの考えがミスマッチを起こしており、高齢者はなかなかフルタイムでの再就職に結びつかないということがわかりました」
市原さんによれば、今後のシニアの再就職市場は社員となってのフルタイム勤務ではなく、スキルを活かした業務委託契約が主流になっていくと予想しているという。プロドアも企業と人材を業務委託契約で結びつけているというが、その根拠はどこにあるのだろうか。
「業務委託契約だと月一回や週一回、企業側は知識やスキルが必要な分だけ経験やスキルが豊富なシニア層の力を借りられます。一方、働くシニア側もフルタイムより体力的に働きやすいうえに、複数の企業で働けるのでスキル次第で収入アップに繋げられます。業務委託契約がお互いの需要と供給がマッチした形だと言えます」
■早くからマインドセットを変えることが重要
2割の優秀な人は何もしなくても仕事にありつけるし、残り2割の人はプライドを捨ててでも働くことができる。しかし、残り6割という大部分の人たちは業務委託契約でも働けない。6割の人が働くためには、どのような解決策があるだろうか。
「早い段階から『マインドセット』を変えることが何より重要です。マインドセットとは無意識の思考の癖や思い込みのこと。定年退職した方だと40年近く組織の中で働いてきたので、大企業に勤めていたのならなおさら仕事は与えられるものという感覚が強いかもしれません。これからは、仕事を持ってきてくれる会社に属しているわけでもないので、自ら仕事を得るために能動的に動くことが必要とされます。
先述のようにフルタイムで取りたがらない企業の心情もありますから、使えるスキル、経験は何かを棚卸しして、いろんな人材サービスやビジネスマッチングサービスに登録するなど積極的に仕事を取りにいく。時間をかけてでもマインドセットを変えないと働けない時代が来ると思います」
シニアになってからも働き続けるために、現役世代がやっておくべきことはあるのだろうか。
「年齢のハンディを覆すに必要なのはやはりスキル。プロボノや友人の会社で副業させてもらうなど、プロとして働く経験を現役時代から積んでおくことが大切です。早い内から自己研鑽を続けていけば退職後も働くチャンスがより得られると思います」
老後、働きたくても仕事がない。そうならないために、スキルや知識を磨き続けることが重要だ。
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フリーライター
兵庫県神戸市生まれ。貧困問題、老後問題、生きづらさ、体験・潜入取材などを、紙・ウェブ問わず多数のメディアで執筆中。「執筆するジャンルも内容も媒体も幅広く」がモットー。Twitter:@matsushima36
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(フリーライター 松嶋 三郎 図版作成=大橋昭一)
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