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菅首相の人生相談「金銭感覚が違うからと結婚を諦めるのはもったいない」

プレジデントオンライン / 2020年11月6日 11時15分

臨時国会召集に当たり記者団の取材に応じる菅義偉首相=2020年10月26日、首相官邸 - 写真=時事通信フォト

自分とあまりにも金銭感覚が違う相手との結婚はあきらめるべきなのか。菅義偉首相は、「結婚生活という人生の長期戦略について、忌憚なく話し合うことができるかどうかがポイントだ」という――。

※本稿は、別冊プレジデントムック『第99代総理大臣 菅義偉の人生相談』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■「結婚後に切り替えができるか」の見極めが大事

菅義偉です。さて、今回のお悩みです。

彼女と金銭感覚が合いません。僕はデートのときでも食事は手軽に済ませたいのですが、彼女は「せっかくのデートなんだからもっといいお店に行きたい」と言います。僕だって誕生日やクリスマスはそれなりにいい店を予約しており、デートでも「日常」の食事は簡単でいいじゃないかと思うのですが……。
彼女とは結婚も考えているのですが、金遣いに関しては不安だらけ。「結婚したらお金を自由に使えないんだから、今は好きにやりたい」というのが彼女の考えです。でも僕は今から貯金すべきだと思っています。これでは結婚生活は難しいでしょうか。(20代男性・学生・静岡県)

金銭感覚は人生観を反映するといいます。「ここまで金銭感覚が違うのなら、人生観もきっと違うのだろう。まだ学生なのだし、今後いろいろな出会いもあるだろうから、今の彼女にこだわる必要はないのでは」という答えが一番シンプルかもしれません。

しかし、あなたは彼女との結婚を真剣に考えているからこそ、こうして相談してこられている。それだけ彼女を大事に思い、ともに歩んでいきたいとお考えなのでしょう。お悩みをどう乗り越えていけばいいか、一緒に考えてみましょう。

確かに現時点では、金銭感覚にやや隔たりがあるようです。お金にルーズな人は、たいていの場合いつまでもルーズなままです。ただ彼女の場合、「結婚後はそれまでのように自由にお金を使えない」との考えはお持ちとのこと。彼女が結婚後に、その言葉通りの切り替えができるかどうか。その見極めが重要です。

■人生という「共同事業」の長期戦略を話し合ってみる

現時点で、趣味などへの投資は惜しまなくても、それ以外の無駄な出費は抑えているというようなメリハリがつけられているのであれば、結婚後の切り替えもできると判断していいはずです。

カップル
写真=iStock.com/kohei_hara
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kohei_hara

そもそも、結婚を「めでたくゴールイン」と表現する人がいますが、私は結婚自体はゴールでも最終目的地でもないと思っています。二人にとっては、結婚に至るプロセスも、また結婚後の人生設計も、どちらも同じくらい大事なものです。これらの時間も含め、今後の二人の長い人生という「共同事業」の長期戦略を話し合ってみることが大事なのではないでしょうか。

長期戦略というからには、家族計画、趣味、仕事などあらゆる要素をいったん議論のテーブルに載せて、忌憚なく話し合う必要があります。その過程で、お互いの人生観についても理解が深まるでしょうし、あなたが気になっている金銭感覚についても彼女の真意を見極めて、二人が納得できる形で解決できるかもしれません。

結婚が具体的に近づいてきた段階になれば、家賃などの固定費、食費や交際費、趣味への出費などを具体的にあげて、結婚生活の資金を可視化していくことも、金銭感覚の「すり合わせ」をするうえで有益かもしれません。

例えば携帯電話料金。結婚すれば、家庭内で最低でも2台の携帯電話を持つことになりますが、このような生活のうえで絶対に必要になるコストについてのお互いの価値観もある程度すり合わせておく必要があるでしょう。家族割引を活用するのか、格安スマホに乗り換えるのかなど、携帯電話一つとってもそれぞれの考え方は違うはずです。

■政治の要諦は「国民から見て当たり前のこと」を実行していくこと

ちなみに、日本では家計の支出に占める通信費の割合が、海外の主要各国と比べても高く、OECD加盟国37カ国中でもかなり上位の水準との統計もあります。

私は2018年8月に「日本の携帯電話料金は高い。今より4割下げられる」と表明して以来、大手3社の合計シェア9割という寡占状態が続く携帯電話の料金の見直しに取り組んできました。政府の役割は、事業者間で競争がしっかり働く仕組みを整備することだと考え、19年の通常国会で電気通信事業法を改正しました。

この改正により、利用者を「囲い込む」ための通信サービスと携帯端末のセット販売、いわゆる「4年縛り」や「2年縛り」を禁止しました。また、他社に乗り換える際に支払わされていた約1万円の違約金を1000円以下にするよう義務付けました。これらの措置により、携帯の端末料金と通話料・通信料の完全分離を徹底し、わかりづらい料金体系を透明化しました。

政治の要諦は「国民から見て当たり前のこと」を実行していくことだと常々考えてきました。世の中には当たり前ではない状態のまま放置されていることがたくさんあり、携帯電話料金もその中の一つです。

今や国民生活のライフラインである携帯電話は、ウィズコロナの生活様式においてさらに重要性を増すでしょう。利用者にとってわかりやすく納得できる料金・サービスの速やかな実現に引き続き取り組んでいきます。

■結婚後の「財政」をどう管理していくかも重要なテーマになる

少し話が脱線してしまいました。本題に戻ると、結婚を考えているお二人の長期戦略においては、金銭感覚のすり合わせは大事なステップですが、それにとどまらず、結婚後の夫婦の「財政」をどう管理していくかも重要なテーマになるでしょう。それぞれの財布から家計をきっちり折半するもよし。あなたが家計を管理することを提案してもいい。お互いが納得いくまで話し合うことが大事です。

別冊プレジデントムック『第99代総理大臣 菅義偉の人生相談』(プレジデント社)
別冊プレジデントムック『第99代総理大臣 菅義偉の人生相談』(プレジデント社)

ちなみに我が家の「財政」は女房が管理しており、きっちりと財布のひもを締めてくれています。もっとも、特に官房長官在任中の7年半は、数少ない趣味である渓流釣りに行く時間もまったくつくれず、私の趣味への出費はほとんどゼロの生活が続いていますが。

ともあれ、二人の長期戦略のための忌憚のない話し合いの過程で、あなた自身の発見もあり、現在の貯金一辺倒の考え方から、学生のうちの今しかできないことに少しお金をかけてみようという考えに傾くかもしれません。

大切なのは、そうした人生の長期戦略を二人で練り上げ、共有できるかどうかです。もし共有できるのであれば、あなたは彼女とともに歩んでいけると思います。

そして、その歩みは、あとで振り返って「結婚も一つの通過地点にすぎなかった」と思えるくらい、長く充実したものになるかもしれませんよ。

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菅 義偉(すが・よしひで)
内閣総理大臣
1948年、秋田県生まれ。高校卒業後に上京し就職。法政大学卒。代議士秘書、横浜市議を経て、1996年衆議院選挙で初当選すると、以後、8期連続小選挙区当選。第一次安倍内閣で総務大臣に就任し、「ふるさと納税」制度などを創設した。その後、自民党選挙対策総局長、党組織運動本部長などを歴任。2012年に第二次安倍政権の発足にあわせて官房長官に就任、7年8カ月にわたって政権を支えた。2020年9月、第99代内閣総理大臣に就任。

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(内閣総理大臣 菅 義偉)

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