「1万人分の後悔を分析」いまどき会社人間を続ける人が迎える"拷問のような定年後"
プレジデントオンライン / 2020年10月30日 11時15分
※本稿は、大塚 寿『できる40代は、「これ」しかやらない 1万人の体験談から見えてきた「正しい頑張り方」』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
■「会社人間」の老後はまるで拷問
「定年後に趣味がないとツラい」とは、しばしば聞く話です。しかし、実は「趣味の有無」が、今の仕事にも大いに影響を与えるとしたらどうでしょう?
現在の60代以上は、いわゆる「会社に人生を捧げてきた世代」です。朝から晩まで、場合によっては週末すら仕事にあててきました。しかし、そうして「会社にしか居場所がない人」になってしまった人の老後ほど、寂しいものはありません。
先日、若い頃にお世話になった、今年75歳になる某商社の元人事部長にお会いした際、「何か40代、50代にアドバイスはありますか?」と尋ねたところ、迷わず「仕事以外の時間の過ごし方を準備しておくように」とおっしゃいました。定年後、「やることがない」「予定がない」のは、まるで拷問のようにつらいそうです。
仕事人間のまま定年を迎えて初めて「定年後も人生が続くこと」を自覚したという人は多いものです。そうなる前に「会社以外の自分の居場所」「定年後もできる趣味」を見つけておきたいところです。
とはいえ、言うは易し、行うは難し。忙しい40代が仕事以外の居場所を見つけたり、趣味に時間を割くのはそう簡単ではありません。
ここは、発想を変えましょう。「会社以外の居場所を作らないと、結局、仕事もうまくいかなくなる」と考えるのです。
■心を病みやすい3大職業とは
仕事にメンタルの状態が大きな影響を与えるということは、40代の人なら皆さん納得してくれるでしょう。精神的に疲弊してしまえば、仕事の能率は落ち、いくら時間をかけても成果は上がらなくなってしまいます。
以前、心理学者の植木理恵さんと対談した際、「心の健康を保つためには、1人の人間が五つくらいのペルソナを持つことが大切」だと教えてくれました。ペルソナとは心理学では「自己の外的側面」として用いられますが、語源は古典劇に用いられた「仮面」です。ここでは「キャラ」と考えるとわかりやすいと思います。
つまり、「ビジネスパーソン」というキャラの他に、複数のキャラを持つべきだということです。
ある調査によると、心を病みやすい代表的な職業は「教師」「専業主婦」「宗教家」なのだそうです。どれも、「一つのキャラを演じ続けなければならない」という共通点があります。植木さんによれば、「専業主婦でも、子供にはお母さんというペルソナで接し、夫には妻、外に出かけたときは女になるほうが、心の健康を保てる」ということでした。
■「会社以外のキャラ」を持ってみよう
ただ、「五つのペルソナ」となると、仕事と家庭だけでは足りません。
一番手っ取り早いのは「趣味」でしょう。スポーツや楽器など、なんでもいいので「仕事以外のペルソナ」を今すぐ作るべきです。その際、できれば一人でやるのではなく、コミュニティに参加するといいでしょう。例えば『釣りバカ日誌』のハマちゃんは、普段はうだつの上がらない人物ですが、釣りになると「社長の指南役の釣りの達人」というペルソナをまとうのです。
私も似た人を知っています。Aさんは卓越した技術を持つエンジニアなのですが、とにかく口数が少ない。なのに、趣味のカラオケの集まりでは、美声を披露するだけでなく、司会まで買って出て場を盛り上げる「カラオケマスター」というペルソナに豹変するのです。社長は「そのキャラの10分の1でいいから仕事で発揮してくれたら」とぼやいていますが、Aさんにとっては「カラオケマスター」というペルソナがあるからこそ、心の健康が保たれ、周囲からも一目置かれているのです。
さて、あなたには、いくつのペルソナがあるでしょうか。「会社員」「夫」「父」だけではまだ足りません。「ギタリスト」「ブロガー」「週末講師」「熱狂的なアイドルオタク」
なんでも結構です。ぜひ「五つのペルソナを持つ」ことを目指してほしいと思います。
ちなみに先ほどの元人事部長はゴルフが趣味だったのですが、10年ほど前に病気になり「ゴルファー」というペルソナを失ってしまったとのこと。そう考えると、ペルソナは多ければ多いほどいいでしょう。
「仕事以外の居場所作りは、仕事のためにも重要なのだ」。そう割り切って、ぜひ今から探してみてほしいと思います。
■できる人ほど老化に抗う
「疲れやすくなった」「太りやすくなった」「集中力がすぐに切れる」……。
40代は「年齢」を強く感じる時期でもあります。
私もまさにそうで、代謝が落ちたのかこの時期に体重が一気に10キロ以上アップ。スーツもワイシャツもすべて買い替えました。さらに、アフリカの先住民並みだった視力も、その反動からか一気に老眼が進んでしまいました。加えて、歯ぎしりが原因で毎晩マウスピースを装着することに。髪の毛の後退も始まり、効果も不確かな育毛剤を毎日使っている始末です。
それでも、加齢に抗おうと必死に努力しています。それは、これまでお会いしてきた「できる人」はほぼ全員、年齢よりもずっと若く見えるから。そして、その外見を保つために相応の努力をしていることを知っているからです。
■1日2万歩で若さを手に入れた社長
その代表ともいえるのが、創業したメーカーを一代で一部上場企業にまで育て上げたK社長です。先日、久しぶりにランチをご一緒したのですが、74歳とは思えぬその若さに驚いてしまいました。どう見ても50代にしか見えないのです。
その際、アンチエイジングの話になりました。K社長は40代の頃、どんなに忙しくても1日2万歩を歩くというノルマを自分に課しており、「それがあったから、今でも若く見えるのかもしれない」とのことでした。
50代からはさすがに1日1万歩に落としましたが、現在でも毎日歩き続けているそうです。
この例からもわかるように、「歩く習慣」はアンチエイジングの王道です。
2万歩は極端かもしれませんが、リクルートの後輩で、しばしば一緒に仕事もするマラソンのメダリストの有森裕子さんによれば、通勤中や日常でエスカレーターやエレベーターを使わないだけでも十分効果があるとのことでした。また、ウォーキングの際、最後の100メートルだけ走る、あるいは速足にして負荷を高め、徐々にその負荷を増やしていくというトレーニング法も効果的だそうです。
■多くの日本人がアンチエイジングの意識が低いワケ
では、なぜ「できる人」は年齢に抗うのでしょうか。答えは簡単です。外見は確実にビジネスに影響を与えるからです。
あなただって、誰かから物を買うとしたら、年齢よりも老けて見える元気のない人よりも、生き生きとして若く見える人から買いたいと思うはずです。欧米のエリートビジネスパーソンは、時間があればジムに通ったり、歯のホワイトニングをしたりといったアンチエイジングの努力を欠かしません。外見とビジネスとの関係を理解しているからこそです。
それに比べて、日本人はそのあたりの意識がどうも低いように思えてなりません。
「内面こそが大事」という教育のためかもしれませんが、同じような内面を持つ人なら、外面がいい人が選ばれるのもまた、事実です。
「自分には今さら無理だ」と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
そもそもこの数十年で、日本人は大いに若返ってきました。
私の祖母は61歳で亡くなったのですが、遺影を見る限り、どこから見ても「おばあちゃん」です。一方、この年代の女優さんとしては、大竹しのぶさんや榊原郁恵さん、かたせ梨乃さんなどがいますが、「おばあちゃん」と呼ぶのは失礼にあたるほど、皆さん若く見えます。
一方で、今でもやはり、「おじいちゃん、おばあちゃんと呼ばざるを得ない60歳」がいることも事実です。
「もう年だから」とあきらめるのか、「いや、まだまだ若くいたい」と抗うのか。
40代はまさにターニングポイントです。「年甲斐もなく」なんて言葉に惑わされてはいけません。
最後に、ある方にうかがったアンチエイジングのコツを紹介しましょう。食事と運動が大事なのは言うまでもありませんが、食事については、脂質と塩分を減らすことがキモなのだそうです。ダイエットで糖質制限をする人もいますが、糖質は脳をはじめ全身のエネルギー源となるので、取らなさすぎるのもダメなのだそうです。
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営業コンサルタント
1962年群馬県生まれ。株式会社リクルートを経て、サンダーバード国際経営大学院でMBA取得。現在、オーダーメイド型企業研修を展開するエマメイコーポレーション代表取締役。オンライン研修「営業サプリ」を運営する株式会社サプリCKO。著書にシリーズ28万部のベストセラー『40代を後悔しない50のリスト』(ダイヤモンド社)など20数冊がある。
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(営業コンサルタント 大塚 寿)
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