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「菅政権のコロナ対応は安倍政権より全然マシ」マスコミが報じない国民の本音

プレジデントオンライン / 2020年11月2日 15時15分

参院本会議での答弁中に、水差しの栓を外さずにグラスに水を注ごうとして苦笑する菅義偉首相=2020年10月30日、国会内 - 写真=時事通信フォト

■「政権への逆風が吹き始めた」という分析はポイントを外している

菅政権が誕生して1カ月半あまり経過した。報道各社が行う世論調査も発足直後の1回目に続いて2度目の調査が出そろった。その結果、日本学術会議の任命除外問題などで政権への逆風が吹き始めたような論調が多いのだが、この分析はポイントを外しているのではないだろうか。

テレビ東京・日経新聞は10月25日夜、定例の世論調査結果を発表した。それによると菅内閣の支持率は63%。前回9月中旬に行った調査と比較して11ポイント下がっている。「支持しない」は9ポイント上がって26%となった。

各社の調査も同様の傾向が見られる。共同通信は60.5%(9月調査は66.4%)、読売新聞の10月調査は67%(同74%)、朝日新聞は53%(同65%)、NHKが55%(同62%)。だいたい10ポイント前後下落している。

この数字をもとに、テレビの人気コメンテーターたちは「菅内閣、早くも暗転」「危険水域に近づいてきた」というような発言を口にし始めた。そして、下落の原因は、学術会議の任命除外問題での不誠実な対応をあげる。

朝日新聞は10月20日の朝刊で「政権失速 任命除外の影」という見出しの記事を掲載した。同社の調査では、任命除外問題での菅首相の説明を「十分ではない」という回答が63%だった。他社の調査でも、この問題については政府の対応に不満を持つ声が過半数を占める結果が多かった。

しかしちょっと待ってほしい。この評価、論評は、正当なのだろうか。

■突然電話がくれば、大半の人は「不十分だ」と回答する

まず「十分ではない」が過半数を占めた件。この問題のように、やや入り組んだ案件の場合、国民の大部分は問題の詳細まで理解しているわけではない。ましてや、世論調査は、ある日突然電話がかかってくるのだから、考えの整理がついていないことも多い。

そういった人たちは、調査の質問に対し「説明不足」と答える傾向がある。特定秘密保護法案の扱い、安保法制、憲法問題、「桜を見る会」……。だいたいどのテーマについても、政府の対応を問うと「不十分だ」が多数を決める。分かりやすく言えば「聞かなくても分かる設問」「ためにする設問」ということになる。

今回、学術会議の問題で聞けば、「不十分」が過半数になるのは明白だった。それをもって「学術会議の問題で国民は怒っている」と断じるのは少しあおりすぎではないか。

60%前後で推移する今の支持率は、客観的にみれば決して低いとはいえない。確かに前月と比べて10ポイント近く下がったのは政権にとって好ましい話ではない。しかし1回目の調査は日本国民の「新しい物好き」気質に伴うご祝儀相場として高く出ることはこれまでの調査で証明されている。

■今の菅内閣の支持を下支えしているのは「コロナ対応」である

1回目と2回目の間に10ポイントぐらいの落差があるのは、想定の範囲内だし、それで60%程度を維持しているのは「非常に高い」といえる。実際、2000年以降の政権で、2カ月目に支持が目に見えて下落しなかったのは小泉純一郎氏ぐらいだ。

永田町では「内閣支持率は支持率が4割を切れば危険水域」と言われる。それより20ポイントあまり高い現状は、余裕で「安全圏」だ。

今の菅内閣の支持を下支えしているのは何か。ずばり「コロナ対応」といえるだろう。意外に思えるかもしれないが、国民は菅政権のコロナ対策を高く評価している。

例えば読売新聞の調査では、政府の新型コロナ対応を「評価する」と答えた人は56%。8月、つまり安倍内閣末期の同様の調査では27%だったから、ほぼ倍増したことになる。

大災害などの有事が起きた時、国民の政権への評価は低くなることが多い。国民が厳しい生活環境に置かれるのだから当然といえば当然だ。阪神大震災の時の村山政権、東日本大震災の時の菅政権に対する評価は、その典型だった。今回の新型コロナ対応でも、安倍政権への評価は厳しいものが多かった。だから、今の菅政権への評価は非常に珍しい。

■感染拡大と経済刺激策という二兎を追って一定の成果

今、国民は、政府が経済刺激策として全面展開を始めた「GoTo」キャンペーンの恩恵を受けている。一方で新型コロナの感染拡大は、ぎりぎりのところで食い止めている。少なくとも、再び感染爆発の兆しがみえる欧州や米国とは違い、医療崩壊も起きていない。感染拡大と経済刺激策という二兎を追い、一定の成果をあげていることを国民は評価しているのだ。

世論調査でのこのデータは、学術会議の任命除外についての設問よりも、はるかに興味深いし、重要な情報だ。

この件に関しては読売新聞が19日付で「政府コロナ対応『評価』56%」などと報じているはいるものの、総じて扱いは控えめだ。テレビの情報番組でも、政権のコロナ対応への国民の評価が上がっているという話題はあまり取り上げられていない。

■コロナ対応への評価を意図的に小さく扱っているのではないか

どうして、このような報道になっているのか。数カ月前まで多くの報道機関が「GoTo」に対して徹底的に批判してきたことが最大の原因ではないか。政府が「GoTo」を打ち出して以来、メディアは「感染拡大を進めるだけだ」「今やることではない」などと一斉にたたいてきた。これは朝日新聞、毎日新聞、東京新聞など、政権に批判的なメディアだけでなく、比較的政権に近いメディアも同じだった。

しかし政府は計画通り「GoTo」を実施。現状では新型コロナウイルスの拡大は恐れていたようには進まず、国民は高い評価をしている。メディアとしては数カ月前に批判してきただけに、「不都合な真実」との整合性がとれず、意図的に小さく扱っているのではないか。だとしたら、それは「隠蔽」といわれてもしかたがない。

10月29日、菅義偉首相は衆院本会議の代表質問で日本維新の会の馬場伸幸氏の質問に対し「国民の皆さんの政権への期待も、そこそこあると思う」と答え、苦笑した。

常に「国民は新型コロナ対策と経済再生を最優先してほしいと期待している」としてコロナ対応に全力をあげると言い続けている菅氏。「そこそこ」という言葉からは、一定の達成感が感じ取れたが、それとともに、自らの仕事ぶりを正当に評価しないマスコミへの皮肉も込められていたのかもしれない。

(永田町コンフィデンシャル)

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