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体重40kg減の医療記者が体現「好きにラーメンを食べてもダイエットはできる」

プレジデントオンライン / 2020年11月5日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ahirao_photo

なぜダイエットはなかなか成功しないのか。『医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた』(KADOKAWA)を書いた朽木誠一郎さんは「ダイエットの大敵は『ヘルシーそうなイメージ』に代表される主観と客観のズレだ。これを矯正できればラーメンも決して怖くない」という――。

■逆にラーメンを食べなければダイエットは成功するのか?

私はダイエットをしている。そして、私はラーメンを食べる。

こう聞いて、あなたは「矛盾している」と思っただろうか。

実は、この二つの事実は矛盾していない。実際に私はこの生活をして、体脂肪率10%以下の体をキープしているからだ。

これは「太りにくい体質」のアピールではない。私はかつて体重115kg・体脂肪率33%の高度肥満であり、そこから現在の体重74kg・体脂肪率8.9%まで体を絞った経験の持ち主だ。

例えばラーメンはダイエットの大敵であるように言われる。ハイカロリーであり、栄養バランスが炭水化物と脂質に偏っている、という指摘は正しい。

しかし、逆はどうだろう。つまり、「ラーメンを食べていなければダイエットは成功するか」という命題だ。これは偽である。ラーメンを食べていないからといって、ダイエットが成功するとは限らない。

なぜなら、ラーメンを控えるダイエッターでも、「ヘルシーそうなイメージ」からサンドイッチを食べすぎていたり、清涼飲料水を飲みすぎていたりして、結果的にラーメンよりも太りやすい食事をしていることがあるからだ。

私は医療記者として、これまで「なぜ人は太るのか」「どうすればやせるのか」を取材してきた。

ダイエットの大敵とは、「ヘルシーそうなイメージ」に代表される、主観と客観のズレである。これを矯正できれば、ダイエット中のラーメンも決して怖くはない。そしてそこに必要なのは、正しい知識と無料のアプリ、安価なガジェットだけだ。どういうことなのか、実際の私の生活を例に紹介していく。

■ラーメンよりサンドイッチ+αが太りやすい理由

一般的なラーメンの栄養成分をチェックしてみよう。スープまで飲みきったとして、ある豚骨チャーシュー麺の栄養成分はカロリー約770kcal、炭水化物約90g・たんぱく質約30g・脂質約35gだった。

比較の対象として、あるコンビニのハムたまごサンドを挙げる。これは一包装あたりカロリー約320kcal、炭水化物約20g・たんぱく質約12.5g・脂質約20gだ。これを二袋も食べれば、脂質の量は汁まで飲んだ豚骨チャーシュー麺を超える。

500mlのスポーツドリンクを合わせればカロリー量は+125kcal、炭水化物量は+30gされ、豚骨チャーシュー麺とほぼ同等になってしまうのだ。

大事なことなのでもう一度、繰り返そう。この場合、「豚骨チャーシュー麺」と「ハムたまごサンド2パック&スポーツドリンク500ml」はほぼ同等のカロリーと炭水化物量で、脂質は後者の方がむしろ多く、たんぱく質は少ないのだ。

では、両者はどちらが「ヘルシーそうなイメージ」だろうか。もちろん、正しく認識できている人は問題ない。しかし、そうではない人は後者を選ぶだろう。そして「ダイエットしているのにやせない」と嘆くことになる。

■動いているつもりになっている人たち

ダイエットの原理原則は「摂取カロリー<消費カロリー」だ。簡単に言えば、食べる量を減らすか、動く量を増やせば、人は必ずやせる。

農林水産省の公式サイトによれば、18歳から69歳の男性について、一日の身体活動量がふつう以上の場合に摂取カロリーの目安は2400~3000kcal、少ない場合は2200±200kcalだ(女性は2200±200kcalと1400~2000kcal)。

これはBMIが25未満で脂肪の蓄積がない、医学的に肥満に該当しない人の場合。医学的に肥満に該当する場合は、まず標準体重(※)1kgあたり25kcal以下、高度肥満症で20~25kcal未満が摂取カロリーの基準になる。

※身長(m)×身長(m)×BMI22で算出した値。身長175cmの私なら1.75×1.75×22=約67kgとなり、高度肥満だった当時の摂取カロリーの目安は約1700kcal。

ただし、摂取カロリーについてはバランスも考慮しなくてはならない。摂取エネルギーに占める糖質・たんぱく質・脂質の栄養素の配分は、日本人においては一般的に糖質50~60%、たんぱく質15~20%、脂質20~25%が推奨される。BMI25以上の肥満であれば、たんぱく質は多めに、脂質は少なくすることも必要だ。

また、完全に食べなければいいのかといえば、当然そうではない。「ファスティング(断食)」のような「ダイエット法」は、体の筋肉を分解させ、基礎代謝を低下させることがある。かえってやせにくい体になるばかりか、ボディラインが崩れてしまうことにもつながるからだ。

ダイエットの原理原則、正しい知識とは、つまるところこのようなものだ。「そんなことはわかっている」と思った人も多いことだろう。

にもかかわらず、ダイエットに悩む人が多いのは、ヘルシーそうな食事(その実、ヘルシーというわけでもない)を摂って、運動していると思い込んでいるから。つまり、「食べていないつもり」「動いているつもり」になっているためだと推察できる。これが、私が「主観と客観のズレ」がダイエットの大敵であるとした理由だ。

ダイエット
写真=iStock.com/kazoka30
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazoka30

■アプリとガジェットで「ズレ」を矯正

では、どうすればこの大敵を打ち負かすことができるのか。カギとなるのが「ダイエット管理アプリ」と「アクティビティトラッカー」、そして「体組成計」だ。

「ダイエット管理アプリ」とは、食事のカロリー量を写真から自動で計算してくれたり、メニューから検索できたりする便利なアプリ。無料のものが多く、『カロママ』や『あすけん』などが有名どころだ。

食事をしたら写真を撮影してアプリにアップするか、手動で内容を入力。すると、その食事による摂取カロリーを推計してくれる。こうすれば「食べていないつもり」は起こり得ない。栄養バランスも自動的に分析され、前述したラーメンとサンドイッチの比較も、たちどころにスマホが注意してくれるのだ。

冒頭で私は好きにラーメンを食べていると言ったが、もちろん三食すべてをラーメンにしているわけでも、毎日ラーメンを食べているわけでもない。

週に1~2回、ラーメンを食べては、このようなダイエット管理アプリの力を借りて、残り二食、あるいは翌日に、摂取カロリー量や炭水化物・たんぱく質・脂質のバランスを調整している。

人間は一晩でいきなり太るわけではないのだ。上手に「つじつま」をあわせてやれば、好きなものを食べながら体型を維持することができる。

■つじつまあわせは、疲労度ではなく数値で判断する

そして、この「つじつま」あわせにぴったりなのが運動である。

例えば、目安の摂取カロリーよりも500kcalほど多く食べてしまった日があるとしよう。そんな日は夜か翌日、私は1時間ゆっくり走り、その分のカロリーを消費するようにしている。時間がとれなければ30分ずつ、翌日と翌々日に走るでもよい。

ただし、運動をして「疲れた」と感じても、カロリー消費が多いとは限らない。例えばウエイトトレーニングのような筋トレは、筋肉量を増やすことで長期的に基礎代謝を上げ、消費エネルギーを増やすが、1回の筋トレのエネルギー消費量はジョギングのような有酸素運動と比較するとかなり少ない。筋トレで「やった感」を覚えてラーメンを食べ続けていれば、おのずと太るわけだ。

そこで役に立つのがアクティビティトラッカー、身体活動量計だ。アクティビティトラッカーでは、心拍数やGPSによる走行ペースなどから「その運動でどのくらいのエネルギーを消費したか」がわかる。

それだけでなく、運動以外の生活活動(例えば近くのコンビニに行くために消費したカロリー)や、基礎代謝も推計することができる。『Fitbit』や『Garmin』などが人気メーカーだ。これらのメーカーであれば、最低限の機能があればいいなら、1万円前後~購入できて安価。また、Apple Watchを持っている人がいれば、同様の機能が搭載されている。

オーバーしたカロリーをダイエット管理アプリにより定量的に把握し、その日や翌日、翌々日までに(これも定量的に)食事や運動によりつじつまを合わせてやれば、人は太ることはない。ここで必要なのは客観性であり、「がんばった」といった主観的な印象に左右されないようにしたいところだ。

もう一点、重要なのは結果を測定すること。その役目を担うガジェットが体組成計になる。

まさに「古くて新しい」存在で、最近のモデルはスマホと連動、計測データを通信で専用アプリに記録し、体重や体脂肪率の数値を表やグラフにしてくれる。これも『TANITA』や『OMRON』など大手メーカーの、目安として2万円以上のモデルであれば標準搭載だ。こうしたガジェットを駆使すれば、かねてから肥満症の認知行動療法――患者の思考や行動に焦点を絞ることによって改善を図る心理療法として効果を認められてきた「レコーディングダイエット(記録をつけるダイエット)」も、より継続しやすくなる。

■肥満者の「思考のクセ」を脱却する方法

仮説と検証はどんなプロジェクトにも必要なプロセスだ。しかし、ことダイエットにおいては、往々にしてこの「検証」というプロセスが抜け落ちてしまっている。

朽木誠一郎『医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた』(KADOKAWA)
朽木誠一郎『医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた』(KADOKAWA)

ダイエットはなかなかに難しい。スムーズにいかないことも多々あるからこそ、自分を「客観的に」みることを意識的にしろ無意識的にしろ、避けてしまうこともあるだろう。そして、自分にできる範囲で努力をしようとする。

努力は大切なことだが、本末転倒だと私が感じるのは、例に挙げたような「ラーメンの代わりにサンドイッチを二つ食べる」ような、非合理な努力をしてしまうことだ。であれば、望み通りラーメンを食べた上で、前後や翌日の食事で調整、あるいは運動をした方が、よほどストレスがないではないか。

肥満者を対象にした研究では、肥満者は「時間選好率が高い」すなわち「未来の利益」よりも「目先の利益」を優先してしまう傾向があることがわかっている。これは合理的に考えることを妨げる肥満者のクセとも言える。

どうせするなら、合理的な努力により効果を得よう。そのために必要なツールが手に入りやすい今は、やせやすい時代とも言えるのだから。

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朽木 誠一郎(くちき・せいいちろう)
ライター・編集者
地方の国立大学医学部を卒業後、新卒でメディア運営企業に入社。その後、編集プロダクション・有限会社ノオトで基礎からライティング・編集を学び直す。現在は報道機関に勤務しながら、フリーライターとしても雑誌『Mac Fan』連載「医療とApple」など執筆中。主著に『健康を食い物にするメディアたち』(ディスカヴァー携書)。近著に『医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた』(KADOKAWA)がある。

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(ライター・編集者 朽木 誠一郎)

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