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「冬の汗は夏の汗よりキツい」寒い時期にこそ注意したいニオイ対策3つ

プレジデントオンライン / 2020年11月17日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/txking

冬の汗は夏の汗よりもニオイがきつくなる。印象戦略コンサルタントの乳原佳代氏は「冬は汗を皮膚に出す導管に古い汗がたまりがちで、汗の濃度が高くなる。ニオイは人の印象を大きく左右するので、特に冬場こそ注意が必要だ」という——。

■印象は視覚だけでは決まらない

私は、企業や行政といった組織、または政治家や企業経営者といった個人を対象に、スピーチやそれに伴う服装や立ち居振る舞いなど印象全般の管理のサポートをなりわいとしています。

相手に好印象を与えたい。誰もがそう願うところです。しかし、話し方や服装などの身だしなみに気を付けていても、よく見逃されるものがあります。それは、ニオイです。

人は他者の印象を、どこから受けるのか。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のアルバート・メラビアン教授が提唱した「メラビアンの法則」によると、容姿や服装などから受ける視覚的印象が55%を占め、次に聴覚的印象、嗅覚などが続きます。話の内容は7%にすぎません。

つまり、相手に好印象を与えるためには、服装や立ち居振る舞い、話し方、言葉の選び方だけではなく、嗅覚は決して見落としてはならない重要な要素なのです。

以前、こんなことがありました。衆議院議員1期目のクライアントが「見た目も大事だけど、ニオイも印象に残る。先輩議員たちには、ニオイの管理もしてほしいなあ……」と私につぶやきました。

皆さんも、長年、上司の加齢臭に悩まされている方も多いのではないでしょうか。先述のようなニオイに関する相談を、私は時折受けることがあります。本人に直接指摘しにくい、それがこの問題の難しいところです。

表沙汰には成りにくいのですが、ニオイは職場の大問題。特に、冬場こそ、注意が必要なのです。本稿では、その理由と対策をご紹介します。

■ニオイの印象は人の記憶に強烈に残る

ニオイの印象=嗅覚的印象は、コミュニケーションに大きな影響を及ぼします。

「視覚や聴覚は大脳皮質の感覚連合野を経由して、扁桃体に入力する。つまりこれらの感覚系では、いったん高次の処理を受けた情報が感情変化を引き起こす(Turner Mishkin and Knapp,1980)。」これに対して、「嗅覚は大脳皮質を介さず直接扁桃体に入力する。(Turner Guputa and Mishkin,1978)。」という研究結果があります。

これについては、体臭多汗研究所所長・五味常明氏が『なぜ一流の男は匂いまでマネージメントするのか』(かんき出版)の中でわかりやすく解説しています。

自分の笑顔を鏡でチェックする男性
写真=iStock.com/sunabesyou
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sunabesyou

目から入る服装や立ち居振る舞い等といった視覚的印象、あるいは話し方や声のトーン等の聴覚的印象は、一端、脳にある「視床」という場所で色や形などを大まかに仕分けしたのち、それがなんであるかを判別する「大脳皮質」に送られます。ここではじめて「目の前にあるもの」や「聴いたもの」に対する「感情」が生まれます。この仕組みは、五感のうち嗅覚以外は当てはまるとのことです。

これに対して、嗅覚だけは鼻から入ったニオイが、鼻の奥にある「嗅細胞」から「嗅球」を通り、感情や記憶を司る大脳辺縁系ヘと直接入って行きます。言い換えればニオイは、感情と記憶に直接働きかけるルートを通るのです。つまり、人間の感情面に直接的な影響を及ぼすと科学的に立証されているというわけです。

しかも、視覚的、聴覚的印象が短期間の印象に対し、ニオイは長期的に記憶に残ります。したがって、いいニオイの人を好きになったり、逆にイヤなニオイの人を嫌悪したりと、コミュニケーションに大きな影響を及ぼすのです。

■「見えるニオイ」への対策も必要

また、「見えるニオイ」の影響力もばかにできません。すぐ思いつくのは、夏場のシャツでしょうか。クールビズの採用以降、ジャケット着用は義務ではなくなり、例年、シャツににじむ脇汗についてよく相談を受けるようになりました。

大学の教員の方からは「脇汗が止まらなくて、黒板に書く時に学生たちに笑われていないか、気になって仕方がない」。外資系企業の社員からは「アメリカ人日本支社長は汗かきで、シャツの脇の部分の汗染みが目立つので、あなたから本人に代わりに伝えていただきたい」と、相手を傷つけかねないハードルの高い要望を受けることも多々あります。その都度、シャツの色を白地にすることや、吸湿性、速乾性のある下着の着用をお勧めしています。

このシャツの下に下着を着るのは湿度の高い日本やアジアならでの独特なスタイルです。本来ワイシャツ自体が下着であり、下着の下に、さらに下着を着用するのは、グローバルスタンダードではないのです。アメリカではオフィスにシャツをストックしていて、汗をかくと着替えるのが一般的な考え方です。

また日本であれ、アジアであれ、襟元に下着のシャツがのぞくと「おっさん臭い」印象になります。実際に臭うわけではないのですが、加齢臭が想起されやすくなるのです。これにシャツの脇の汗染みが加わると視覚的な違和感が生じ、汗臭く感じてしまいます。言い換えれば条件さえそろえば「ニオイは可視化されてしまう」のです。

■冬場の汗は夏の汗よりも臭い

一方、秋冬のシーズンはジャケットを着用して脇汗が見えにくくなります。ニオイが可視化されないせいか、脇汗の質問や悩みをされる機会はほとんど無くなります。私たちは、いかに視覚的印象に依存しているかということです。

しかしながら実のところ、秋冬も電車やオフィスなどあらゆる場面で、ニオイを強く感じることが多々あります。

例えば、洗濯しにくいダウン、ウールやカシミヤのコートやニット。これらの繊維に汗がしみ込むと菌が繁殖し、素材の獣臭が気になります。

また、入浴の頻度が減るのもニオイが残る原因として挙げられます。ニオイは汗をかいた後、酸化して5時間後に発生し始めると言われています。寒くなると自身が汗ばんでいるという認識が弱くなるので入浴やシャワーの頻度が減り、さらに古い角質も残りやすいこともあり、ニオイが残りやすくなるのです。

そして、冬の汗は夏の汗よりもニオイがきつくなる可能性があります。冬は夏よりも発汗量が少ないため、汗腺の中に古い汗が残留する傾向があり、そのため濃度が高い汗が出るようになります。

笑顔で夜道を歩くカップル
写真=iStock.com/Masaru123
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Masaru123

これらの物質は雑菌のエサとなるので、菌が繁殖し、ニオイの発生源といえます。つまり、原因物質の濃度が高い汗が、服で蒸されることでニオイが生まれ、それが洗いにくい服に定着することで、常にイヤなニオイを放つようになるわけです。

■ニオイ対策①服についたニオイを洗い落とす

ではどうすればこのニオイを撃退することができるのでしょうか?

まずは服に定着したニオイの除去から見ていきましょう。クリーニングのプロ、株式会社フランス屋本部生産部長の山咲純一氏にお尋ねしたところ「家庭で衣類のニオイを除くには、湿度の低い日に、風通しのいい場所で、天日干しする事がおすすめです。プロはドライクリーニングで除去するのですが、除去しきれない場合は衣類の素材やデザインを判断した上で、臭いが除去されやすいウエットクリーニングをします」と話しました。

また予防として、次のような処理もあるといいます。

「臭いの元となる菌を除去・付着しにくくする消臭・抗菌加工もおすすめです。お店によっては、検査機関で新型コロナウイルスの不活性化が立証された『抗ウイルスコート加工サービス』を行っています。これはクリーニング後に加工剤で洋服をコーティングするというもので、付着した時点でウイルスや空気中のあらゆる菌や微生物が不活性化します。つまり、ウイルス除去と防臭効果があります」

コロナ対策と同時に、焼肉や鍋といった食べ物のニオイ、タバコのニオイなどのニオイ対策もできるとはうれしい限りですね。よいクリーニング店を選ぶのも、重要なポイントと言えそうです。

■ニオイ対策②汗腺を鍛える

他にも、解剖学的には、汗腺を鍛えることが有効とのこと。サウナや運動が効果的ですが、日常の入浴でも鍛えられるそうです。その際は、全身浴よりも休眠している手や足を温める「温熱刺激」を行いましょう。普段あまり機能していない無数の「休眠汗腺」を目覚めさせ、発汗する汗腺の数を増やすことができます。

やり方は、たとえば熱めのお湯で体を最初に温め、全身から汗が出てきたら、ぬるめのお湯にゆったりつかるとよいでしょう(持病がある方は主治医とご相談ください)。

私は入浴剤を入れるのもよいと思いますし、発汗作用がある食事をした後に入浴するのもおすすめです。ぬるま湯にゆったりつかることは、高まった交感神経を、副交感神経優位に導きリラックスもできますし、毛穴に蓄積された古い皮脂を取り除くのにも効果的です。

加えて、脇や足のニオイを抑えたい方は、お湯に浸したミョウバンの塊で洗うことをお勧めします。

ニオイはお風呂以外にも、食事で改善するケースもあります。汗は汗腺の細胞が血液から材料を摂取して作られるのですが、肉類やニンニク、アルコール、砂糖が大量に入った食べ物は体臭をきつくします。逆にお酢や大豆製品、緑黄色野菜や海藻類などは体臭にあまり影響しません。偏食はニオイの原因というわけですね。

■ニオイ対策③「自分は大丈夫」という慢心を捨てる

一番の対策は、「自分は大丈夫」と慢心しないことです。自分のニオイは、自分ではなかなか気がつかないものです。そして、周囲から指摘されることもなかなかありません。冬場でも汗をかく、そういう自覚を第一に持つべきでしょう。

とはいえ、ニオイや食事でナーバスになるのはつらいところ。なるべくならビジネスシーンにおける「周囲への配慮を欠かさない項目」の中に、服装や話し方と同列にニオイを加えて、秋から冬のファッションや食事を楽しみたいものですね。

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乳原 佳代(うはら・かよ)
印象戦略コンサルタント
大阪府出身。航空会社退職後、英国ロンドンシティーリットでコミュニケーションを学ぶ。帰国後、印象戦略コンサルティング会社キャステージを起業。危機管理の観点から、行政や大手企業で演説トレーニングや服装戦略を手掛ける。また、日本政策学校講師、上智大学グリーフケア研究所認定臨床傾聴師、麹町中学校「制服等検討委員会」アドバイザー、ラジオ日本「ラジオ時事対談」レギュラーも務める。

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(印象戦略コンサルタント 乳原 佳代)

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