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気持ちが落ち込みやすい人に試してほしい「心が軽くなる7つの質問」

プレジデントオンライン / 2020年12月11日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Gearstd

■お決まりのパターンで悩んでいないか

著名人の訃報、新型コロナウイルス感染への恐怖、今後の人生に対する漠然とした不安……今の時期、気持ちの落ち込む人が増えているかもしれない。ただでさえ夏と比べて格段に日照時間の減る秋は、鬱っぽくなりやすい。曇り空であってもなるべく外にいること、もしくは窓際で過ごすことを心がけよう。日光に当たると、精神の安定を保つ作用のあるセロトニン(脳内神経伝達物質)が分泌されやすくなる。

そして気持ちが行き詰まってしまいそうなときは、自らの“思考”を見直すことをお勧めする。思考が変われば物事の見方が変化し、これまで気づかなかった幸せや価値に目が向いたり、行動も変化しやすいだろう。

千葉大学医学部附属病院の清水栄司教授によると、悩みがあるというときに「お決まりのパターン」で考え続けている場合が少なくないという。

「体の姿勢に癖があるように、思考も同じ方向に傾きやすいのです。考え方がパターン化していると決断が速いという利点があるため、心身が元気なときはそれもいいでしょう。しかし落ち込みが長く続くようになったら、考え方を見直す必要があるかもしれません」

■早速「ぽじれん」から。これは「良いことを思い浮かべる習慣」

ストレスをためやすい考え方や行動の癖を修正する方法を「認知行動療法」と呼ぶ。清水教授は心の健康づくりとして、「ぽじれん」「ここれん」という2種類の5分でできる簡易版・認知療法を提唱している。

早速「ぽじれん」から。これは「良いことを思い浮かべる習慣」だ。

「脳は悪いことを記憶して、良いことを忘れます。怖いこと、嫌なことを2度と忘れないのは、古来動物として生存に有利だったためです。しかし、現代人にとってはつらいことなので、『悪いこと』の思い出と同じ数、せめて『3つの良いこと』を思い出して心のバランスを保ちましょう」(清水教授)

具体的には1日(または1週間)を振り返り(1)できたこと、(2)楽しかったこと、(3)感謝することを書き出してみよう。いずれも小さなことで構わない。例として(1)朝、規則正しく起きることができた、(2)コーヒーが美味しかった、(3)家族がご飯を作ってくれた、同僚にテレワークで手伝ってもらった、といった具合だ。

もう1つの「ここれん」は、「7つの質問」(表)に答える形でストレスを捉えなおすもの。

5分間認知療法で心の健康づくりを!

まず自分のストレスや悩みは「何がどうなっていることか」を短文で書き出し、その“本当度”を数字で表す。半信半疑を50%、絶対本当と信じているのを100%とすると、どれくらいの数字だろうか。次にその悩みとあえて正反対の状況を想定し、そう言える“根拠”を探してみる。例えば「誰々が自分を嫌っている(と考える)」ことが悩みなら「その人と仲が良い(その人が自分を嫌いではない)と感じられることはないか」と思いを巡らす。「会えば挨拶をしてくれる」「質問したらメールを返してくれた」といったことがあれば、「それほど関係は悪くない」と思えるかもしれない。

「腰が痛い」という身体的な悩みであっても、「腰は痛くない」という反対の考えのもと「できたこと」を挙げてみよう。「散歩に行くことができる」「入浴後は痛みが軽くなる」などというように自分の生活を振り返り、「反対の根拠」を見つけたい。

「例文にあるように、仕事で失敗をして落ち込んでいる場合などでも、誰かが認めてくれたところがあるなら、それを根拠として『失敗ではない』と考えてもいいし、明らかなミスであれば『失敗は成功のもと』と切り替えるのもOK。昔話の一休さんが『このはし(橋)、渡るべからず』と書かれているのを見て、はし(端)ではなく橋の真ん中を通るというトンチで返したように、発想を転換することが大切です」(同)

質問に答えることで気分が改善する人が多いという。凝り固まった体を伸ばすようなイメージで、清水教授は「心のラジオ体操」と名付ける。心の柔軟性を目指して毎日の習慣としたい。

■良い気分になることでストレスを解消する

さて何かストレスがかかる出来事があったとき、乗り切れる人もいれば、落ち込んでしまい、そこからしばらく抜けられない人もいる。実は、ストレスはその要因の大きさと比例せず、前述したように物の見方にもよるし、その解消法、すなわちレジリエンス(回復力)によっても左右される。

日本医科大学特任教授で心療内科医の海原純子氏がこう話す。

「以前、気持ちを表現しない抑圧傾向の男性がストレスチェックを受けました。本来めげてしまってもおかしくない状況でしたが、意外にも『心の元気度が高い』という結果でした。話を聞くと、私が書いている毎日新聞のコラム『新・心のサプリ』を毎回切り抜き、体と心に良いことをいろいろ実践していると(笑)。たとえストレスをためやすい弱点があったとしても、補うように工夫すれば乗り越えられます」

心の健康を維持するのに不可欠なものは、(1)深呼吸(2)適度に体を動かす(3)睡眠(4)気持ちを話せる仲間、友人、家族(5)自然のふれあいの5項目。海原氏は「いつも同じ手段を選択する人が多い」と指摘する。

「医者の場合、熱が出た患者を診察したときに、可能性がある病名をたくさん挙げ、その中から可能性が高いものを選べることが能力の高さだと言えます。症状からさまざまなことを読み取る力があれば、患者を治癒に向けて導けます。同じようにストレスを解消したいときや何かに迷っているときに選択肢が浮かぶ人ほど、問題にぶちあたったときに乗り切りやすくなるでしょう」(海原氏)

人は追い詰められるほど「この選択肢しかない」と思い込みがちだが、トレーニングを積めば複数の選択肢が思いつくようになるとのこと。

誰かと話す、動物を飼う、散歩をする、音楽を演奏する、料理をする、瞑想する、絵を描くなど、集中できる、または良い気分になれる“場所”や“こと”を少しずつ増やしていきたい。お酒は気持ち良い程度であればいいが、嫌なことから逃げる、忘れるために飲むのは依存となるので注意したい。海原氏は、自分なりのストレス予防策を立てたり解消することを「心の生活習慣」と呼んでいる。

「どうせ明日も会社に行けば体が汚れるからと、お風呂に入らない人はいないでしょう。心も同じです。大変だった日があれば、意識して心を洗いましょう」(同)

あなたは「心をきれいにする何か」をいくつ持っているだろうか。気持ちをリセットし、ストレス予防や回復力につなげていこう。

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笹井 恵里子(ささい・えりこ)
ジャーナリスト
1978年生まれ。「サンデー毎日」記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『週刊文春 老けない最強食』(文藝春秋)、『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)、『室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる』(光文社新書)など。

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(ジャーナリスト 笹井 恵里子)

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