筋トレを始めたら筋トレをしない日もプロテインを飲んだほうがいい
プレジデントオンライン / 2020年11月20日 11時15分
※本稿は、山本義徳『最高の健康 科学的に衰えない体をつくる』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■普段の食事だけで必要な栄養すべてはまかなえない
筋肉がつくメカニズムを説明したとき、筋トレを行うだけでは筋肉を増やすことはできず、十分な休養と筋肉を増やす材料となる栄養が必要と言いました。しかし、実際のところ、その栄養をすべて食事で摂るのは困難です。
たとえば、筋肉を増やすために必要なビタミンCをレモンだけで摂取するには1日で1kg近くのレモンを食べなければならず、ほかにも筋肉にとって重要なタンパク質やアミノ酸など、すべてを食事から摂ろうと思ったら、膨大な量のメニューを食べなければなりません。
そこで、食事だけでは不足しがちな栄養素を補ってくれるものが、サプリメントです。
サプリメントとは、直訳すると「補うもの」という意味ですが、日本では「栄養補助食品」の総称として使われています。というのも、日本語のサプリメントはアメリカの食品区分の一つである「dietary supplement(栄養補助食品)」を略したものだからです。
また、人によっては、サプリメントは病気を治してくれる薬と勘違いをしていることもあるかもしれませんが、あくまでも栄養補助食品。食事で不足しがちな栄養素を補ってくれるものですので、医薬品とはまったく異なります。
■効果は大きく分けて三つある
今、コンビニやスーパーなどに行くと、さまざまなサプリメントが陳列されていますが、それらは大きく分けて三つに分類することができます。
一つめは健康な体をつくるための土台となる「ベースサプリメント」。これは、体に必要なビタミンやミネラル、タンパク質、食物繊維などを補うためのサプリメントです。ビタミンならビタミンCやビタミンB1、ビタミンB2、ミネラルなら亜鉛や鉄などと細かい栄養素ごとに売られているものや、マルチビタミンという形で数多くのビタミンを含んでいるものなどがあります。
二つめは、健康維持のために必要な「ヘルスサプリメント」。乳酸菌やローヤルゼリー、プロポリスなどがそれにあたり、体の調節機能をサポートしたり、免疫力を高めたりするものがあります。
そして三つめが、スポーツやダイエット、美容などの目的でプラスアルファの効果が期待できる「オプショナルサプリメント」。カフェインやクレアチン、マカ、朝鮮人参など、普段の食材ではなかなか摂取できないものや、より詳細な目的のために必要な栄養素、体の不調を改善させるための栄養素が「オプショナルサプリメント」にあたります。
■筋トレにサプリメントが必要不可欠な理由
この三つの基本的な考え方は、まず、すべての人に必要なのが「ベースサプリメント」で、それで健康な体の土台をつくり、「ヘルスサプリメント」で足りない部分を補強する。そして、その時々の体調や目的によって「オプショナルサプリメント」を使ってプラスアルファの効果を狙うというイメージです。
サプリメントが筋トレに必要な理由は、第一に食事だけでは健康な体をつくるためのベースとなる栄養素を十分に摂取できないからです。先にも言いましたが、食品に含まれている栄養素には限りがあり、1日3回の食事ですべてを摂るとなると、たくさんの量を食べるか、よほど厳密に毎食のメニューを考えなければいけません。
ただ、どうしても日本人の食事では十分な量が摂れない栄養素もあり、特に女性の場合は鉄分が不足がちになってしまいます。そんなときに役立つのが、鉄分を補ってくれるサプリメントなのです。
サプリメントが必要な理由はそれだけではありません。サプリメントの長所は、必要な栄養素だけを摂取できるところです。たとえば、肉類には多くのタンパク質が含まれていますが、一緒に脂肪なども吸収されてしまいます。けれど、サプリメントなら、少量で肉類よりも純度の高いタンパク質が摂取できるので、非常に効率よく栄養補給ができるのです。
■タンパク質を無理なく合理的に摂る方法
健康な体をつくるためにぜひとも活用したいサプリメントですが、筋トレの効率を上げるために取り入れるべきサプリメントとは何でしょうか。
第一に挙げられるのは、やはり筋肉の材料となるタンパク質であるプロテインです。筋トレを真剣に行っている人なら、ほとんどの人が活用していると言っても過言ではないでしょう。
筋肉をつけるためには、1日に自分の体重1kg当たり2gのタンパク質が必要と言われています。一方で、タンパク質が多く含まれている肉や魚でも、タンパク質は100g当たり20g程度しかありません。つまり、体重60kgの人なら1日に必要なのは120gのタンパク質で、それを肉や魚から摂るには600gも食べなければならないのです。
そこで、無理のない食事で90gのタンパク質を摂り、残り30gをプロテインで補うというわけです。
■筋肉をつけたい人はホエイプロテインを飲むべき
プロテインにもさまざまな種類がありますが、代表的なのは、牛乳に含まれるタンパク質が摂れる「ホエイプロテイン」と、大豆のタンパク質を抽出した「ソイプロテイン」です。そして、単純に筋肉をつけるためなら、ホエイプロテインを選んだほうがよいでしょう。
ホエイプロテインのメリットは、筋肉成分の多くを占めるアミノ酸が多く含まれているだけでなく、筋肉に必要なビタミンやミネラルも含まれていること。さらに、吸収がスムーズなため、筋肉の回復を効率よく行ってくれる効果が期待できます。非常に飲みやすくて、胃腸にも優しいのも特徴です。
ちなみに、ソイプロテインは、吸収速度が遅いため満腹感が持続するという特徴があり、ダイエットに最適なプロテインと言えます。さらに、大豆に含まれているイソフラボンは皮膚や骨を強化し、血液もきれいにしてくれる効果も期待できます。
■プロテインを飲むべき科学的に正しいタイミング
自分に必要な栄養素を調べ、信用できるサプリメントを買ったら、今度はいつ飲めばよいのか悩む人もいるのではないでしょうか。
基本的には「食後」に飲むのがよいとされています。それは食事で出た消化酵素が働き、サプリメントの吸収もよくなるからです。ただし、プロテインだけは別で、食後だと食事から摂ったタンパク質と重なり、プロテインから摂るべき量をすべて摂れないこともあるので、プロテインは「食間」に飲んだほうがよいでしょう。
さらに、プロテインはトレーニングを行う時間帯の近くで飲んだほうがよく、夕食前にトレーニングを行う場合は、昼食と夕食の間に飲むのがもっとも効果的です。実際、過去の研究では、同じトレーニングをしているのに、朝晩にプロテインを飲んで行うよりも、トレーニング前後にプロテインを飲んだほうが高い効果が得られたというデータもあります。
当然、プロテインの効果は筋トレと同様に個人差があるので一概には言えませんが、プロテインを飲むタイミングによって効果に変化が出るというのは十分に考えられることなのです。
■トレーニングしてない日でもサプリメントを飲むべき
また、サプリメントは1日に必要な量を1度に摂らずに、何回かに分けても別に構いません。ビタミンは朝食後、ミネラルは昼食後、プロテインはさらに2回に分けてトレーニング前後などと、自分の生活スタイルに合わせて、無理なくタイミングよく摂るように心がけましょう。
プロテインなどのサプリメントを飲むとき、味が苦手だからといって牛乳やジュースに溶かして飲む人が稀にいます。でも、ホエイプロテインはそもそも牛乳からとったタンパク質ですし、ジュースだと余分な糖分やカロリーを摂取してしまうので避けたほうがよいでしょう。
また、筋トレに効果のあるサプリメントだから、トレーニングを行わない日は飲む必要がないと考える人がいるかもしれませんが、それも間違いです。
トレーニングを行わなくても、筋肉の合成は起こっています。つまり、オフの日も筋肉は増えようとしており、プロテインやビタミンなどは筋肉を合成させるのにも効果を発揮するので、たとえ休養日でも1日に必要な量は摂るようにしましょう。
特にプロテインの場合は、食事の合間に飲むことで血液中のタンパク質を一定に保つことができ、常に筋肉の生成を助ける働きをしてくれます。だからこそ、トレーニングの有無にかかわらず、サプリメントは毎日決まった量をしっかりと摂取したほうがよいのです。
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パーソナルトレーナー
1969年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。ボディビル・パワーリフティング界のレジェンドで国内、海外の大会では優勝も多数あり、知らぬ者はいない。トレーナーとしては格闘家から一般人まで幅広いクライアントを指導する。これまでに、格闘家はニコラス・ペタス、フランシスコ・フィリォ、神取忍、メジャーリーガーではダルビッシュ有、松坂大輔をはじめ、多くのクライアントを指導。1998年、NPCアイアンマン・アイアンメイデン(ライトヘビー級)優勝。2005年、NPCトーナメント・オブ・チャンピオンズ(ヘビー級)優勝。
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(パーソナルトレーナー 山本 義徳)
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