「使わない洋服をリサイクル」が意外とエコではない理由
プレジデントオンライン / 2020年11月19日 11時15分
■回収された服はどこに行く
✓ 使わない洋服をリサイクルに出す
最近よく見られるのが、アパレルショップなどの店先に置かれているリサイクルボックス。誰でも不要な服を入れられ、回収後それらを途上国などに寄付したり、その名のとおり別のものにリサイクルしたりしてくれるというものだが、これにも実は落とし穴が。一部のショップでは集まった服がしかるべき処理をされず、遠くの国に運ばれ、ゴミの山として環境を汚している場合があるのだ。自分の手から離れたとはいえ、もとは自身が選び取った服。回収された服がその後どうなっているのか、どのように処理されているのかを多少調べる必要があるようだ。
■“ビジネスエコ”に惑わされないように
✓ 「エコレザー」「エコファー」に飛びつく
サステナビリティが急激に浸透しようとしている今、特に日本国内ではエコファーやエコレザーと、ただのフェイクの境目があいまいなのが現状。厳密にいうとエコと名がつくファーやレザーは、それらをつくる工程で出るゴミの量や使う水などにも徹底的にこだわったもののことを指すが、リアルでないというだけでエコという呼ばれ方をしているものが多い。背景を知らずにレザーやファーに似せたものを買ったりすると、かえって環境汚染につながる場合もあるので、これもきちんと誠実な工程を経たブランドのものを選ぶ必要があるのだ。一見サステナビリティに配慮していても実は中身がそうではないもののことを“グリーンウォッシュ”“ブルーウォッシュ”と呼んだりもするが、それらの“ビジネスエコ”に惑わされないよう、自分なりの情報を集めることが大切。
✓ ゴミを減らすつもりが……
「なるべくゴミを減らす」というのは大切なことだけれど、驚くべきことにこれを勘違いし、自宅にゴミを持ち帰らないためにスーパーのサッカー台の下にあるゴミ箱に肉のトレイを捨てて帰ったり、手持ちのゴミをコンビニのゴミ箱に捨てる人が多い。ゴミを減らすというのはたとえば過剰包装を断ったり、野菜やフルーツを裸のまま購入できる店で購入したりするということ。身の回りのゴミだけを少なくしても意味はない。もっと視野を広げれば、今、自分がどのような行動をすべきかはおのずとわかるものなのだ。
✓ 値段を基準に判断する
安いものを売っていると良心的だと感じたり、高いものを買わせるからイヤな店だ、というように、価格で判断するのはとても危険な行為。サステナブルな目線で考えるならば、高い・安いではなく、適正価格こそ持続可能な未来をつくる鍵となるからだ。とくに環境にいいことはボランティアや無償でやるべきという風潮が一部まだ残っているが、これからは地球や環境にいいことこそビジネスとして成り立つ未来でなければならない。
■特別なことじゃなく、トータルでサステナブル活動を考える
✓ 手持ちのアンチ・サステナブルアイテムを捨てる
たとえばリアルファーのついたコートやエキゾチックレザーのバッグなど、サステナブルな目線では「知っていたら買わなかった」ものをすでに持っている場合、これを捨てる人が多い。けれど、動物や環境に配慮しないものを持たないという一方で、ものを大切に長く使うというのも大事な考え方だ。すでに持っているものに対しては、それが役目を終えるまで大切に使うこと。考えが変わるたびにものを捨てていては、それこそサステナブルからは遠ざかってしまう。

✓ LGBTQを過剰に特別扱いする
誤解のないように言うと、これは「何に対しても一切の気を使う必要がない」という意味ではない。切り口を変えればすべての人がマイノリティーに分類される可能性があることを、私たちは知るべきなのだ。自分がもし多くの人の生き方と同じでなかった場合、腫れ物を扱うように接してほしいかというと、決してそうではないはず。いちいち何かに分類しなくても、一人ひとりが自由でなおかつ自分らしく生きていける権利を持っている。そのことを私たちは理解し、性別や世代ではなく、ただの人間同士としてコミュニケーションすべきなのだから。
✓ サステナブル啓蒙に躍起になる
正しい知識を広めようと周りの人に話したり、活動をするのは決して悪いことではない。けれど、自分の考え方がすべて正しいと相手に押しつけるような形になっていては言語道断! これは環境問題に真剣になればなるほど陥りやすい間違いだが、サステナブルなアクションは、一人ひとりがそれぞれのライフスタイルのなかで、長く続けることがもっとも大事。強制的に薦めるものではないのと同時に、他人へのリスペクトが大切なのだ。
✓ 一方向からサステナブルを実践する
飲料ボトルを例に挙げてみると、プラスチックボトルをやめ、ビンを使えば繰り返し使うことはできるかもしれないが、輸送の重量が跳ね上がることで、今度は燃料を多く消費してしまう。また、食器用スポンジを手製のアクリルタワシにしたところで、マイクロプラスチックが多く排出されてしまう素材ではさほどサステナビリティとはいえなかったりもする。大切なのは多方向からサステナブルについて考えてみること。私たち人間は、生活をしているだけで環境汚染につながる側面を持つがゆえに、トータルでエコになる方法を探るべきなのだ。
✓ 頑張りすぎる・無理をする
犬猫の保護活動に見られるように、一刻を争う殺処分の問題。誰もが今すぐどうにかしてあげたい、どうにかしなければという思いを抱いているが、無理をして保護するのはやはり危険。預かるのはあくまで大切ないのち。飼ってくれれば誰でもいいというわけではなく、この先時間もお金もかかる覚悟が必要だ。これは決して犬や猫を保護することを遠慮してほしいわけではなく、保護できる人は保護を、そしてできない人でもフードの寄付や施設の手伝いなど、今の自分にできることを精いっぱいやること。助けられる側も、そして自分も健やかな生活を営むのが、これからのサステナブルだ。
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フリーエディター/執筆家
女性ファッション誌のフリーエディターをしながら執筆家としても活動、いくつかの連載を掛け持ちする。現在ブログ「ANNE MAGAZINE」にて、大人の女性に役立つファッション・仕事・サステナブル・独自の人生哲学を発信するほか、パーソナルスタイリングやファッション講座などを定期的に開催。
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(フリーエディター/執筆家 乙部 アン)
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