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「なぜあなたの不安は消えないのか」精神科医が教える3つの科学的対処法

プレジデントオンライン / 2020年11月28日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/loveshiba

ある意識調査によれば、日本人の7割以上が「最近不安を感じている」という。精神科医の樺沢紫苑氏は「話す、書く、体を動かすという3つの行動を取ることが、不安の解消に役立つ」という——。

※本稿は、樺沢紫苑『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

■ファクト1:なぜ、不安は起きるのか?

何かについて悩み、苦しむとき、そこに必ず「不安」がつきまといます。ものすごく悩んでいるのに、「不安」が存在しない、ということはないはずです。不安の反対は「安心」ですから、「安心した状態になる」=「悩みの解決」です。脳科学的に「不安」の本質がわかれば、対処法は明快です。

不安を脳科学的にザックリと言えば、ノルアドレナリンの分泌です。人間が緊張、不安、恐怖の感情を持つとき、脳内物質のノルアドレナリンが分泌されます。

ノルアドレナリンは、「闘争か、逃走か」の物質と言われます。原始人がサーベルタイガーと出合った場面を想像してください。すでに相手はコチラに気づき、攻撃態勢に入ろうとしています。すべきことは、「闘う」か「逃げる」か、どちらかしかありません。ぼーっと突っ立っていると、殺されるだけです。

闘争か、逃走か。ノルアドレナリンが分泌されると脳が研ぎ澄まされ、集中力が高まり、どうすればいいのか一瞬で判断できるようになります。

そして、ノルアドレナリンとともにアドレナリンも分泌され、心拍数が上がり、全身に血液が行き渡り、いてもたってもいられない状態になります。全力で走って逃げるか、果敢に闘って打ち負かすか。ノルアドレナリンが引き起こす「不安」や「恐怖」が、ピンチを脱するエネルギーとなるのです。

つまり、ピンチのときに「さっさと行動しろ!」とあなたを猛烈にせかす物質が、ノルアドレナリンです。

■ファクト2:不安は何もしないと増え、行動すると減る

不安になるのは、必ず「ピンチの状態」「困った状態」のときです。そこから「早く行動して脱出しなさい!」というのが、不安の生物学的な意味合いです。ですから何もしないで、放置すればするほど、不安は強まります。

布団に入って、「どうしよう、どうしよう」と悩み続けるほど、不安は強まるのです。多くの人の間違いは、悩みを抱え、不安な状態になったときに、「どうしよう、どうしよう」と思考停止のループに入ることです。行動を起こさない限り、いくら悩んでも絶対に問題が解決されることはありません。

ですから、不安を消すことは簡単です。「行動する」ことです。

いきなり不安が「ゼロ」にはならないまでも、行動することで、不安は必ず軽くなります。「何もしない」と強まるだけなので、何かするだけで気分は変わります。

夕焼けの野原
写真=iStock.com/Boonyachoat
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Boonyachoat
人間の感情において最も根源的なものは恐怖であり、不安である。
―トマス・ホッブズ(イギリスの哲学者)

不安の源、ノルアドレナリンは「行動するためのエネルギー」、つまり行動の「ガソリン」です。あなたを苦しみから救ってくれるエネルギーが、「不安」なのです。不安というエネルギーを使い、行動を起こす。そうすると、ガソリンである不安は確実に減っていき、あなたはどんどん楽になっていきます。

■ファクト3:アウトプットで現実が変わる

世の中には、「インプットの世界」の住人と「アウトプットの世界」の住人がいます。いくらインプットを頑張っても、脳の中の知識、情報が増えるだけです。外界(現実の世界)に、まったく影響を及ぼしません。現実変化も自己成長も起きるはずがないのです。

これを悩みの解決に応用しましょう。ネットや本で対処法を調べて多少のアイデアを得るかもしれませんが、その内容について、「言わない」「書かない」「行動しない」状態では、現実はまったく変わらず、状況は好転しません。

「インプットの世界」の住人である限りは、不安も解消しないし、悩みや問題も解消、解決しません。話す、相談する、書き出す、日記を書くなど、小さなアウトプットを1つずつ積み上げていくことで、あなたの不安や悩みが解消し、自分の「生き方」、生きるべき方向性が見えてくるのです。

■ToDo:3つの行動をする

「行動する」というと、少々、ハードルが高く感じられるでしょうが、『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(以下、『ストレスフリー超大全』)では、「確実に行動できる対処法(ToDo)」を提案していきます。

たとえば、毎日昼11時まで寝ている患者さんに「早起きしましょう」と言うと、「無理です」と秒殺されます。しかし、「今より15分だけ早起きしませんか?」と、提案すると、「できるかも」と言います。

すべての「行動」は細分化できます。行動のハードルを下げると、どこかで「できる」部分があるはずです。

出所=『ストレスフリー超大全』より
出所=『ストレスフリー超大全』

人間の悩みのほとんどは、対人関係、コミュニケーションの悩み、社会生活の悩みです。つまり、他者に対する悩みを家にこもって悩んでも、解決することは不可能です。

人間の悩みは、行動しながら、解決していくもの。だから、「インプットの世界」の住人で、情報だけ集めて悶々(もんもん)としていても、絶対に何も変わりません。まずは、動くこと、行動することです。『ストレスフリー超大全』では、大きく次の3つをすぐに実行するようにします。

(1)話す

「相談する」「カウンセリング」というのも「話す」ことです。「バカヤロー!」と大声で叫べば、スカッとしてストレス解消になります。友達とのおしゃべりでも、ストレス発散できます。雑談によって人間関係を深めることができます。適切な「質問」で速やかに問題解決に導かれることもあります。

(2)書く

「書く」というのは、さらに強烈なアウトプットです。自分の悩みを書き出すだけで、ストレスが吐き出されます。また頭の中が整理され、悩みが明確化します。毎日、日記をつけることで、自己洞察力が鍛えられます。

書くことで脳内が整理され、自己洞察が深まり、間違った考え方や不適切な感情に気づき、修正する手がかりを得ます。『ストレスフリー超大全』では、さまざまな書く方法を紹介します。

(3)体を動かす
樺沢紫苑『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)
樺沢紫苑『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)

もし、どうしても強い不安があるのなら、今すぐ外に出て、100メートルを全力疾走してください。かなりスッキリするはずです。

不安というのは、「何かをしなさい!」というエネルギーなので、全力で何かに取り組めば軽減、解消するのです。その最も良い例が、「運動」です。

詳しくは『ストレスフリー超大全』で説明しますが、セロトニンが活性化することにより、ノルアドレナリンを正常化したり、脳内を鎮静し、リラックスさせ、ネガティブな感情を消し去ってくれます。

以上、不安があるならば、まず「行動」することです。

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樺沢 紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医
作家。米・イリノイ大学への留学を経て樺沢心理学研究所を設立。YouTubeやメルマガで精神医学の情報を発信。著書に『学びを結果に変えるアウトプット大全』『精神科医が教える ストレスフリー超大全』ほか。

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(精神科医 樺沢 紫苑)

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