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何があっても「平常心を保てる人」「いちいちビビる人」の決定的違い

プレジデントオンライン / 2020年12月2日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/imagedepotpro

コロナ禍でメンタルの不調に苦しむ人が増えている。芸能人の自殺が続いたことも大勢の人の心に影響を与えている。どうすれば心を軽くすることができるのか。精神科医で、『感情的にならない本』(新講社ワイド新書)など感情に関する数々のベストセラーで知られる和田秀樹氏が、感情の整理と健康長寿のコツについてまとめた『感情の整理学』(エクスナレッジ)を上梓。そのエッセンスを特別公開する──。(第1回/全5回)

※本稿は、和田秀樹『感情の整理学』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。

■不安の正体は「大切なものを失う恐れ」

不安のない人はいません。不安感情は、すべての感情の中で最もコントロールがきかず、人の判断力を狂わせるモンスター。その正体は「大切なものを失う」ことへの恐れです。特に、健康や収入や家・家族を失う不安は人をパニックに陥れます。

みんなでそれを体感したのが、新型コロナ騒動でした。

未知のウイルスへの不安に市民も学者も政府も煽(あお)られ、デマが飛び交い、マスクだけでなく、トイレットペーパーやうがい薬の買い占め、自粛警察、特別定額給付金、アベノマスク、Go Toトラベルの大迷走……珍騒動が続出しました。

■ストレスホルモンがもたらす「心理的視野狭窄」

不安や恐怖に支配されると、私たちは「目の前の心配事」しか見えなくなり、冷静な判断ができない「心理的視野狭窄(きょうさく)」にハマります。

これはストレスホルモン、コルチゾールのしわざです。興奮して頭がまっ白になり、「○○するしかない」と思い込んでしまう。人の意見を冷静に聞いたり、客観的に状況を分析したりすることができなくなるのです。コルチゾールは、血中濃度が高い状態が長く続くと脳を萎縮させてしまうほど強力な物質です。

不安は日々、数限りなくわいてきます。「地震が来るのでは」「クビになるのでは」「老後破産しそう」「嫌われたらどうしよう」「がんになるのでは」……。

芥川龍之介が「将来への唯ぼんやりとした不安」という言葉を遺して自殺したように、どんな不安でも、とらわれてしまうと命を縮めるので要注意です。しかも、不安というものは打ち消そうとしても、グルグル考え続けても、余計にふくれあがるものです。

■どんな感情も放っておけば収まる

そこで、「どんな感情も、放っておけば収まる」という整理術をおすすめします。

不安がわいたら「○○のことで、私は今とても不安です」と口に出して受け入れ、5回ぐらい、ゆっくり深呼吸。これでコルチゾール濃度が下がってラクになります。

そして「すぐ動く」。背伸び、机の片付け、お茶を飲む……。人間の「心の器」は思うより小さく、立ち上がった瞬間に別件が浮かぶなど、感情はかんたんに入れ替わります。

また、体調が悪いなら検査を予約する、お金がないなら副業を探すなど、不安解消に向けて「なにかやってみる」と気分も変わり、悩み続けるよりはるかに有意義です。

■「日課」と「お楽しみ」のすすめ

日課も心を安定させます。

長寿の職業のひとつである「お坊さん」を見てみましょう。早起き、掃除、お供え、読経など多くの「お勤め」を毎日欠かさず行うことが、心の安定につながっています。その姿を見習って、朝食を作る、ラジオ体操、草花の世話をするなど“日課”を決めて無心に実行すると心が安定します。早歩き、なわとびなど、リズミカルな有酸素運動も効果的。

「お楽しみ」も大事です。私の患者さんの多くは、うつ病や不安障害を抱えていますが、ほぼ全員まじめな完璧主義者で、気分転換が苦手です。

「おいしいものを食べたい」などの欲望にも罪悪感を覚える人が多くいます。心からやりたいこと、楽しいこと、好きなものをぜひ見つけてください。

心に余裕ができると、「不安はみんなにある。いちいちビビってたら身が持たない」「放っておけば消える」と開き直ることができたり、「まてよ、データにもっと当たってみよう」「相談窓口をさがそう」と、視野が広がって客観的に考えられるようになったりします。

こうして不安を「生きている証」として楽しめるようになったら、天下無敵です。

■怒りの源泉は原始的な「トカゲ脳」にあり

不安とともに私たちを翻弄させる感情が「怒り」です。

カーッと頭に血が上って青筋が立ち、全身ワナワナ……怒りというのは原始的な感情です。このとき活性化するのは「トカゲ脳」とも呼ばれる大脳辺縁系。は虫類にもある、生きのびる本能を司る脳で、短絡的、攻撃的です。

太古、人間はほかの動物と同じように、敵を察知した瞬間に「闘うか逃げるか」を決めて飛びかかったり、あるいは全力で逃げたりして生きのびました。そのとき、「怒りのホルモン」であるアドレナリン、ノルアドレナリンなどが大量に放出され、心拍数も血流もどっと増えるため、「火事場の馬鹿力」を出すことができたのです。

■「このハゲーッ!」事件を仕出かさないために

しかし、文明化された現代社会で怒りのままに動くと、ロクなことになりません。怒りの性質も変質して、欲求不満やイライラを相手にぶつけてスッキリするためなど、自己満足のための怒りがかなりの部分を占めています。

以前、女性の国会議員が「このハゲーッ!」などと秘書をののしる音声を週刊誌にリークされて、たちまち社会的地位を失う事件がありました。

このように怒りの伝え方を間違えて大失敗する人はとても多く、「アンガーマネジメント(怒りをコントロールするスキル)」はいま、心理学の大きなテーマです。

新しいマインドセットが新しい結果を生む
写真=iStock.com/IvelinRadkov
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/IvelinRadkov

■6秒カウントダウンのすすめ

怒ることそれ自体は悪いものではなく、ナマの怒りを相手にぶつけることが問題。もしカッとしたら、6秒間カウントダウンすると、怒りのピークをやりすごせます

自分の怒り虫に「カンカン」などと名前をつけて、「また怒ってる。あんまり暴れないでくれよ」などと話しかけたりするのも、よいクールダウン法です。

手が出そうならその場を離れて、クッションなど別のものをボコボコ叩きます。少し気分が落ちついたら、自分はなにに腹を立て、相手にどうしてほしいのか、「怒りの傾向と対策」を分析します。

こうした「自己洞察」のスイッチが入っていれば、相手を傷つけずに自分の怒りをわかってもらう表現を考えられます。

■「怒る原因になった自分の感情」を相手に伝える

コツは、相手をなじるのではなく、怒る原因になった自分の感情を伝えること。「自分はこんなふうに困っている。あなたにこうしてほしい」という伝え方です。

たとえば、先ほど触れた元国会議員のケースでは、秘書のミスに対しカッとなったそうですが、「このハゲーッ!」では、相手を傷つけるだけ。

「今回はさすがに参った。今後どこまで仕事を任せていいのかと、不安になった。二度と同じことが起きないように○○を厳守してください」と冷静に伝えていたら、災い転じて福となったかもしれません。

■「運が開ける」心のコントロール術

必死でがんばったのに、期待した評価や報酬を得られないことも人生にはよくありますね。そこで「なんで? ひどい!」とキレたら、さらに評価を落とすだけ。

和田秀樹『感情の整理学』(エクスナレッジ)
和田秀樹『感情の整理学』(エクスナレッジ)

「全力投球して成果も出せたのに、こんなに評価が低くて、私は悲しいです。今後のために、理由をお教えいただけませんか」と、前向きな伝え方を工夫します。

この「怒りのコントロール術」を身につけると、相手から怒りをぶちまけられたときも、「売り言葉に買い言葉」のようなバトルを避けられます。

「この人はいま、こういう気持ちでいるんだな」と、相手の立場に立って、余裕を持って受けとめられる。すると一気に人望が厚くなり、公私ともに運が開けますよ。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
国際医療福祉大学大学院教授
アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化した「和田秀樹 こころと体のクリニック」院長。1960年6月7日生まれ。東京大学医学部卒業。『受験は要領』(現在はPHPで文庫化)や『公立・私立中堅校から東大に入る本』(大和書房)ほか著書多数。

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(国際医療福祉大学大学院教授 和田 秀樹)

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