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和田秀樹が断言、閉塞した時代を浄化する「鬼滅のキラーワード」

プレジデントオンライン / 2020年12月16日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Mizina

コロナ禍でメンタルの不調に苦しむ人が増えている。芸能人の自殺が続いたことも大勢の人の心に影響を与えている。どうすれば心を軽くすることができるのか。精神科医で、『感情的にならない本』(新講社ワイド新書)など感情コントロールに関する数々のベストセラーで知られる和田秀樹氏が、感情の整理と健康長寿のコツについてまとめた『感情の整理学』(エクスナレッジ)を上梓。そのエッセンスを特別公開する──。(第5回/全5回)

※本稿は、和田秀樹『感情の整理学』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。

■「ありがとう」というキラーワード

シリーズ累計発行部数1億部を突破した鬼退治コミック『鬼滅の刃』は、映画が大ヒットしたことで日本のみならず世界にも広く認知されました。この物語は、雪が降る中、町に炭を売りに行く主人公・竈門炭治郎に、母親が「ありがとう」とほほえんで送り出す場面から始まります。

家族を鬼に惨殺され、鬼狩りである「鬼殺隊」となった炭治郎自身も、周囲にまめに感謝の気持ちを伝えながら、鬼と闘っていきます。

読者の心を打つ言葉がたくさん詰まった作品ですが、私は「ありがとう」こそ、この作品の本当のキラーワードだと思います。

■「鬼」を滅する言葉の力

「ありがとう」は、言ったほうも言われたほうも心がなごみ、トラブルが遠ざかる、まさに「鬼滅」のキーワードです。好きな言葉、子どもが親に言われてうれしい言葉などのアンケートでも、「ありがとう」は常にトップグループにランクイン。

「ありがとう。かなり疲れたんじゃない?」
「どうもありがとう。いつもながら早いなあ、助かったよ」
「ありがとうございます。おかげさまで間に合いました!」

ありがたいと思ったら、なるべく笑顔で、できれば「プラスのひとこと」も添えて、感謝の気持ちを惜しみなく、声に出して伝えてください。

知り合いなら「○○さん、ありがとう」と、必ず名前も呼びましょう。

人間は自分のことが大好きで、自分の名前ほど甘い響きを持つ言葉はほかにない、と言われます。「最初に名前を呼ぶと、続いてどんなことを言っても、相手に関心を持ってもらえる」というデータもあります。

■存在感を高める「笑顔でありがとう習慣」

この「笑顔でありがとう習慣」は、あなたの存在感を高めます。名前を呼ばれて感謝されるなんて、めったにないうれしいハプニングで、強く記憶に残りますから。

会話が「ありがとう」で始まってなごやかな空気が生まれると、「その後どういう話になっても穏やかにやりとりできて、もめない」というメリットもあります。

また、「ありがとうと言うたび心が落ち着く」メンタル効果もあります。人の親切を素直に受け止め、感謝を素直に言えた自分に満足して、心が安定するのです。

寝るときに「ありがとう」と言いながらシーンを思い浮かべると、リラックスして安眠しやすい。そんな報告もあるので、寝つきの悪いかたは試してみてください。

■対立を避けながら断る「ありがとう、でも…」戦略

対立を避けながら「ノー」を言いたいときは、「ありがとう、でも……」が有効です。

「ありがとう、でも明日の朝が早いので失礼します」
「お気遣いありがとうございます。でも今回は見送らせてください」

同じ断るにしても、相手に伝わる印象が段違いにやわらかくなります。

「ありがとう」が身につくと、まわりに人が集まるようになり、いい話が舞い込み、気分は明るく前向きになって、幸運と健康長寿を引き寄せます。

■元手ゼロで無限のメリットが得られる方法

そんなうまい話あるわけない? ものは試し、今日からたとえばコンビニの店員さんに、笑顔ではっきり「ありがとう」を言うようにしてみてください。ニッコリするなど、相手からうれしい反応が返ってくることもあるから、楽しんで続けましょう。

口グセになったら次は、「ありがとう。手ぎわがいいですね」「今日はありがとうございました。よくわかりました」などと、ほめ言葉を添える練習を積みます。

元手ゼロ円、「ちょっと照れる」以外なんの苦労もなく、無限のメリットと明るい未来につながる「ありがとう」の魔法。もちろんあなた自身も、「ありがとうと言われる」機会も増えるように目いっぱい工夫して、最高の人生にしてください。

■会話ベタな人は「教えてください」を使ってみる

「ありがとう」と伝えることの価値がわかっても、そもそもどうも会話がうまく続かない、と悩んでいる人は多いですね。

気まずい沈黙が続くのがこわいから、焦ってあれこれ話題を振っても、相手は乗ってこない。共感を示そうと「わかります」「もっともです」と相槌(あいづち)を打っても、ただ調子を合わせているのを見破られて、かえって相手をしらけさせる……。

そういう「会話ベタ」の人は、「教えてください」と、思いきって聞き役に徹してみてください

会話が自然に続く人は相手を気持ちよくさせて、話をどんどん引き出しています。そのキーワードが「教えてください」なのです。

手書きでThank youと紙に書いている
写真=iStock.com/Kenishirotie
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kenishirotie

■人間は自分のことにいちばん興味がある生き物

人間は自分のことにいちばん興味があるため、自分に備わる知識・経験に相手が関心を示して、「教えて」と言われると、誰でも機嫌がよくなり、とっておきの情報を教えてくれます。

こちらはわがままを捨てて「聴く」ことに集中。すると的確な反応や質問ができるので、相手はさらに喜んで話がはずみます。まさに「話し上手は聞き上手」です。

たとえば、同世代の友人と久々に会い、思い出話のあと仕事の話に移っていったとき。私はこの時間が楽しみで、「その話もっと教えてよ」と、よくせがみます。

どういう仕事でも、その現場にいる人は外部の人間には想像もつかない情報や知識を持っています。でも職場内では当たり前のことだから、話題にもならない。

だから、彼らがなにげなく仕事のことを口にしたとき、私が興味津々で質問すると、「こんな話、おもしろい?」と逆に驚かれます。でも、私にしてみれば「へえー」「そうだったのか!」と新鮮な驚きの連続です。

すると友人たちは上機嫌になって、「こんなことまで話していいのかなあ」「これ誰にも言っちゃダメだよ」と、とっておきの話をいろいろ繰り出してくれる。ものすごく勉強になるのです。

■オールマイティな会話の極意

このテクニックは、友人・知人、家族、同僚、上司、オフィスの清掃員、店員……相手が誰でもオールマイティに応用できます。

和田秀樹『感情の整理学』(エクスナレッジ)
和田秀樹『感情の整理学』(エクスナレッジ)

同じ社内でも課が違えば持っている知識はまったく違うし、出入り業者の方もその立場だからこそ知る“特ダネ”をいっぱい持っています。夫婦間や親子間でも「ちょっと教えて」のひとことで、想像もしなかった深い話を聴けて見直したり……。

そうやって気持ちよく教えてもらったら、最後に「ああ面白かった。ありがとう。またいろいろ教えてよ」「とても勉強になりました。ありがとうございました。この次は○○のこと教えてください」と、感謝と「またよろしく」の思いを伝えます。

また、会話はキャッチボールなので、今度は相手から「きょうはなんだか自分ばっかりしゃべってしまった。今度はあなたの話を聞かせてね」とオファーがあったりして、ハッピーな関係が生まれます。

■“オレサマ”からは逃げるが勝ち

例外は、いわゆるエリートに多い、内心「自分がいちばんえらい。デキる」と思っている“オレサマ”です。

「教えてください」と言うと、いかにも人を小バカにしたように、理解不能の専門用語をちりばめてまくしたてる。人の話を聞く耳は持たず、「世間なんてそういうもんだよ」「組織はどこも同じ」などと知ったかぶりをして、平気で話の腰を折ってきます。

そういうタイプからは、逃げるが勝ちですね。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
国際医療福祉大学大学院教授
アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化した「和田秀樹 こころと体のクリニック」院長。1960年6月7日生まれ。東京大学医学部卒業。『受験は要領』(現在はPHPで文庫化)や『公立・私立中堅校から東大に入る本』(大和書房)ほか著書多数。

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(国際医療福祉大学大学院教授 和田 秀樹)

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