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「これが朝昼夜の最強ルーティーン」明大教授が勧めるストレス解消法3選

プレジデントオンライン / 2020年12月6日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/RyanKing999

心も体も元気に仕事を続けるにはどうすればいいか。明治大学の堀田秀吾教授は「ストレス解消について、科学的エビデンスのある方法はたくさん存在する。そのうち朝昼晩に実践してほしい3つの方法がある」という——。

※本稿は堀田秀吾『図解ストレス解消大全』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■体の健康には「心の元気」が欠かせない

みなさんは、元気というと、体の健康を連想するかもしれませんが、「心の元気」もとても大切なことです。

健康な体をもちながらも元気がない人が多い現代。これまでになかったようなさまざまな脅威も次々に襲ってきて、不安が尽きませんが、心だけは元気でいたいもの。

しかし、元気でいたいとは思っても、「よし元気になるぞ」という気持ちだけでどうにかなるものではありません。具体的なアクションが重要になってくるのですが、どんなことをすればストレスから解放されるか――といったことを検証した世界中の研究者たちによる科学的エビデンスがたくさん存在します。

① 朝のストレス対策

例えば、起床してからどんなことをすれば気持ちが向上してくるかを示す研究があります。朝は、頭の働きが鈍くなるもの。「だるい……」、「布団から出たくない……」、そんなことを思ってしまうのも無理はありません。

ですが、いつまでも布団の中にいるわけにはいきません。では、どうするか?

有効なのは運動です。脳が働くために必要なのは、糖分と酸素。ですから食事で糖分を確保しつつ、運動で心拍数を上げて、酸素の乗った血液を脳にドンドン送り込むのが効果的というわけです。

■仕事前に最適な“軽い運動”

「運動したいけど面倒。だから起きれない」なんて声も聞こえてきそうなものですが、脳は体の状態や動きから自分のことを判断します。体から「楽しい」という信号が脳に送られてくると、脳は「自分は楽しい。元気なんだ」と判断します。つまり、元気になる行動をすれば、心は元気になるのです。ある意味、脳を騙すのです。

心理学や脳科学でも、思考と行動では、行動のほうが先にくるということが定説となっているほどです。朝起きて少しでも体を動かせば、おのずと気持ちが向上してくるのです。

山口大学の佐々木と塩田が行った実験では、被験者にまずラジオ体操をしてもらい、続いてボールのドリブルやジョギングをさせて、心拍数を120~140拍/分に高め、その後、計算をしてもらいました。

野外をジョギングする健康的な女性
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

すると、解答数と正答数が向上したというのです。つまり、運動してから作業をしたほうが、頭がよく働いている状態で作業できるということがわかったのです。まさに、仕事前にはもってこいのアクションではないでしょうか。

■対ストレスの最強モーニングルーティン

また、運動して一汗かいたらお風呂に入るのも効果的です。千葉大学のリーらの研究では、10分間ほど、摂氏40度のお風呂に入ったり、シャワーを浴びたり、ミストサウナに入ってもらい、入浴後に課題をさせるという実験を、朝7時から数時間ごとに行いました。

すると、体の疲労回復にはお風呂やミストサウナがシャワーよりも効果的だということがわかりました。

また、課題の正答数については、午前10時ころからのお風呂とシャワーの場合に高くなることもわかりました。そして、お風呂やミストサウナは注意力や判断力を高める効果も期待できることが判明しました。

ちなみに、東京ガス都市生活研究所の研究報告によると、朝、シャワーを1分間浴びるだけで体臭が減り、しかも夕方まで効果があるということですから、元気も出て、清潔になって、一石二鳥。ぜひ、朝にお風呂に入る習慣を身につけてみましょう。

朝起きた後に、ラジオ体操をして、軽いジョギングなどの運動をする。その後、40℃のお風呂に10分間ほど入れば、心身ともにすっきり。対ストレスの最強モーニングルーティンの完成というわけです。

科学者が導きだした最強のモーニングルーティンとは?
出所=堀田秀吾『図解ストレス解消大全』(SBクリエイティブ)

■平穏な一日を過ごすためのアンガーマネージメント

② 昼のストレス対策

これで仕事もバリバリがんばれる! と思いきや、一日を平穏にストレスなく過ごすことは、やっぱり難しいですよね。私も、午前中は機嫌良く過ごすことができたのに、とある人に言われた一言でイライラが募り、午後は不機嫌……なんてことが少なくありません。

腹の立つことを言われようものなら、怒りが湧いてきて、ドラマや漫画で描かれているように、思わず拳をギュッと握ってしまうこともあります。

その際、私は必ず左の拳を握るようにしています。というのも、左右どちらの手を握るかで怒りに変化が表れることが、実験でわかっているからです。

「左右どちらの拳を強く握るかで他人への攻撃性は変化するか」。この興味深い研究を行ったのは、テキサスA&M大学のピーターソンらで、研究は次のように行いました。

24人の右利きの実験参加者にエッセイを欠かせ、左右いずれかの手でボールを力一杯45秒間握り、15秒間の休憩のあと再度握る、ということを4回行ったあと、別の部屋でエッセイを酷評したメモを見せ、怒りを湧かせます。

拳を机に打ち付けるビジネスパーソン
写真=iStock.com/Viorika
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Viorika

その後、一番早く終わると相手にびっくりする音を鳴らすことができ、一番遅いと音を鳴らされるというゲームをやってもらいました。

■握りこぶしが怒りの感情を起きにくくする

じつは、実験参加者は、最初から2分の1の確率で負けるようになっていました。もちろん本人たちはそのことを知らされていません。そうやってイライラするように仕組まれていたわけです。

その結果、右手を強く握った参加者のほうが左手を握った参加者よりも左前頭部の活動が優勢で、かつ攻撃行動が多かったことがわかりました。

人間の脳は、怒りを感じると左前頭部が右前頭部よりも活性化することが示されています。左前頭部の活動は怒りに関連した動機づけを反映し、右前頭部の活動は怒りから回避しようとする恐怖反応に関連しているようなのです。ですから、あらかじめ左手を力いっぱい握って、右前頭部を活性化させておくことにより、怒りの感情が起きにくくなるというわけです。

左拳を握ることが「アンガーマネジメント」になる理由
出所=堀田秀吾『図解ストレス解消大全』(SBクリエイティブ)

もし、あなたが怒りを感じそうになったときは、左手の拳を握ることを心がけるようにしてくださいね。嫌なことを言われそう、不愉快な体験をしそう……そんなときもあらかじめ左拳を握っておけば予防線になるはず。文字通り左手が「アンガーマネジメント」を左右するのです。

■レム睡眠(浅い睡眠)を十分にとって感情を整える

③ 夜のストレス対策

ストレスや怒りをコントロールしながら、一日が終わる。「今日もいい日だったな」、そんなことを思うことができたら、きっと明日もいい日になるはずです。あとは寝るだけ……なのですが、実は睡眠にもストレス減退のポイントがあります。

「睡眠」は、トラウマを含めた心の傷を癒すために必要不可欠だと言われています。ラッシュ大学のカートライトらは、離婚など精神的に落ち込んでしまう経験をしたことで、うつ傾向にある人たちが見る夢について研究をしています。

カートライトらは、約1年間にわたって61人の被験者たちがどんな夢を見るのかを記録し、調査しました。夢の内容を分析し、起床時と同じ感情の夢を見たか、感情的なトラウマによってうつや不安が解消されたか、まだ残っているかなどを判断したというのです。

その結果、トラウマになるような体験をした直後に、その体験の夢を見た人だけが、その後にうつ状態を脱し、心の問題を克服していることがわかったそうです。逆に、夢は見るものの、自身のつらい体験そのものの夢は見なかった人たちは、まだ克服できずうつ状態が続いていたというのです。

カルフォルニア大学バークレー校で睡眠を研究しているウォーカーは、この報告を受け、「レム睡眠が通常になればPTSDの症状が緩和される」ことを突き止めています。

睡眠には、浅い眠りの「レム睡眠」と、深い眠りの「ノンレム睡眠」があることは有名ですが、ノンレム睡眠で情報を整理し、レム睡眠で情報を統合していると言われています。また、レム睡眠は脳の調律を行い、感情を読みとる能力を育む役割もあります。

「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」の役割
出所=堀田秀吾『図解ストレス解消大全』(SBクリエイティブ)

すなわち、レム睡眠が十分でないとソーシャルスキルが損なわれ、うつ傾傾向から脱却しづらくなると提唱しています。

■「8時間以上の十分な睡眠をとる」

では、どうすればレム睡眠を十分に確保することができるのか──。その答えは、「8時間以上の十分な睡眠をとる」ことにつきます。忙しいからといって、寝ないで頑張り続けることは、泥沼へと引きずり込んでしまうんですね。

堀田秀吾『図解ストレス解消大全』(SBクリエイティブ)
堀田秀吾『図解ストレス解消大全』(SBクリエイティブ)

寝れるときに寝るといった“寝だめ”をする人もいると思いますが、ウォーカーは“寝だめ”には効果がないと断言しています。

全米の労働者の賃金を調べたところ、平均して睡眠時間が多い人ほど収入も多くなるという報告があるだけではなく、睡眠時間が足りないと、選挙での投票や慈善団体への寄付など、市民としての社会参与率が低下することも明らかになっています。

「毎日8時間なんて無理」という方もいると思います。ですが、「仕事」に基準を置くのではなく、「睡眠」を基準に生活を考えてみることはできるはずです。悪循環に悩まされている人は、睡眠第一の快眠生活に切り替えてみてことが大事です。

何も対策を講じない一日と、科学的エビデンスのあることを試しながら過ごす一日、人それぞれですからどちらのほうが良いとは言い切ることは難しいでしょう。ただ、ストレスは誰もが抱える永遠のテーマです。その対策を知っているか否かを考えると、「知っている」ことはきっとあなたの心強い処方箋になるはずですよ。

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堀田 秀吾(ほった・しゅうご)
明治大学法学部 教授
専門は社会言語学、理論言語学、心理言語学、法言語学、コミュニケーション論。研究においては、特に法というコンテキストにおけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、法学、脳科学など様々な学術分野の知見を融合したアプローチで分析を展開している。執筆活動においては、専門書に加えて、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書・語学書を多数刊行している。アイドルのプロデュースから全国放送のワイドショーのレギュラー・コメンテーターなど、研究以外においても多岐にわたる活動を見せている。

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(明治大学法学部 教授 堀田 秀吾)

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