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「国民の8割は納得していない桜問題」安倍前首相の"ウソ"はどんな結末を迎えるのか

プレジデントオンライン / 2020年12月7日 18時15分

「桜を見る会」をめぐる問題について記者団の質問に答える安倍晋三前首相(中央)=2020年12月4日、国会内 - 写真=時事通信フォト

「終わった」はずの「桜を見る会」問題が、にわかに盛り上がっている。「桜を見る会」の前夜祭に関して安倍晋三前首相の公設第1秘書が政治資金規正法違反で立件される見通しとなったのだ。安倍氏が首相を辞任してから再浮上したこの問題、国民が留飲を下げるような、分かりやすい結末を迎えるのだろうか——。

■「秘書を立件し、安倍氏から話を聞く」で幕引きか

奇妙なほどに情報が漏れてくる。読売新聞とNHKがこの問題について東京地検特捜部が動いていることを報じたのが11月23日。これを報道各社が追随し、今は各社の報道が、ほぼそろっている。まとめると

① 前夜祭の参加者から集めた会費に、安倍氏側が不足分を補塡(ほてん)してホテルに支払った。
② 安倍氏の公設第1秘書は、その収支を政治資金収支報告書に記載すべきだということは理解していた。
③ 公設第1秘書が政治資金規正法違反(不記載)で立件される。略式起訴となる見通し。
④ 東京地検は安倍氏の任意の聴取を要請。安倍氏も応じる意向。
⑤ 安倍氏本人には刑事責任は及ばない。

というところだ。安倍氏本人に聴取する前から、安倍氏は立件されないと断じられているのは珍しい。要するに、東京地検は、言い訳のように秘書を立件し、安倍氏から1回話を聞くことで幕引きをはかる、ということなのだろう。だとすれば、落としどころがみえみえだ。

■核心は安倍氏が繰り返した「ウソ」にある

捜査の展開には波乱はなさそうだが、今後注目されるのは、むしろ「政治」の舞台だ。安倍氏は首相在任中、「前夜祭」の出席者が払った会費(5000円)以外に安倍氏側が補塡したことは「全くない」と断言。「後援会としての収入、支出はない」ため収支報告書に書いていないことを何度も何度も訴えてきた。

だが、東京地検の捜査で、その前提は完全に崩れた。安倍氏側が補塡していたことは明らかになった。ということは、収支が生じるので政治資金収支報告書への記載が必要になる。そして、公設第1秘書は記載すべきだったことを知っていたという。

安倍氏はウソの上にウソの上塗りをする答弁を繰り返していたことになる。安倍氏は、一連の答弁をウソだと知って行っていたのか。そこが最大の焦点となる。これは「政治」の場で議論されるテーマだ。

■安倍氏が首相として165回使った「お答えを差し控える」

安倍氏の戦術は予測できる。補塡があったことなどは知らず、秘書から誤った報告を受けていたとした上で、核心部分については「東京地検で捜査中なので、お答えは差し控える」を繰り返すのではないか。

最近、SNSなどで大きな反響を呼んだデータがある。立命館大学の桜井啓太准教授が行った調査だ。桜井氏は1970年から今年10月8日までの間に、国会の本会議と委員会で「お答えを差し控える」という答弁が何回使われたかを調べた。その結果、安倍政権になってから「お答えを差し控える」が急増。安倍氏は首相として165回使ったという。安倍氏は面倒なことが起きると、常套手段として「差し控える」を使ってきた。

首相を退いた安倍氏は、証人や参考人として招致されない限り国会で答弁することはない。国会招致が実現するかどうかは大きなポイントだが、仮に実現しなかった場合にも、マスコミを相手にした対応などでは、この「差し控える」を繰り返して逃げ切ろうとするだろう。

■野党は「解散恐怖症」で追求の本気度が疑われる

この問題は、野党の出方が注目となる。安倍氏を国会に引っ張り込めるか。そして、どこまで追い詰めるか。昨年来、この問題を追及し続け、結果としてウソの答弁を許してきただけに、リベンジに燃えていることだろう。

しかし、その野党には、あまり期待しないほうがいい。野党側は先の臨時国会でも、安倍氏を国会に証人喚問すべきだと訴えてきた。ただし、何ごともなかったかのように臨時国会は12月5日に閉会してしまった。

与党側の数の力に負けるのはやむを得ないとしても、追求の本気度が疑われる出来事があった。会期末に菅内閣の不信任決議案を提出しなかったのだ。

菅義偉氏が首相に就任してからの初の本格的国会論戦。新型コロナウイルスの感染拡大、「GoToキャンペーン」の場当たり的な見直し、そして「桜を見る会」の問題に加えて吉川貴盛元農林水産相が鶏卵生産大手の「アキタフーズ」から現金を受け取っていた問題も発覚した。学術会議の任命拒否問題もある。

議論すべきことはいくらでもあった。その途中で幕引きをしようとする政府・与党に、不信任決議案で抵抗の意を示すというのは野党としてやるべきことだろう。

■「安倍前首相の説明に納得できない」は77.4%

それにもかかわらず不信任決議案を出さなかった。その理由は明白だ。不信任を提出すれば、菅氏が衆院解散に打って出る可能性がある。今の内閣支持率、および野党の支持率をみれば衆院解散すれば自民党は有利なのは目に見えている。野党側はハプニング的に衆院解散となるのを恐れて不信任決議案の提出を控えたのではないか。

桜咲く新宿御苑から見えるドコモ代々木ビル
写真=iStock.com/ntrirata
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ntrirata

菅氏は「コロナ対策に全力を挙げる」と宣言している手前、解散を自重しているが、単純に勝敗を考えたら解散したいのが本音。不信任案は「ならば国民に信を問おう」と、格好の口実となる。野党側はそのことを知っているから、尻込みしたと言われても仕方がない。

12月6日、共同通信社が公表した世論調査によると「安倍前首相の説明に納得できるか」との問いに「できる」は14.7%、「できない」は77.4%にのぼった。「桜を見る会」についての今後の展開は世論を受けて「政治」がどう対応するかにかかっている。

この調査では菅内閣の支持率は50.3%。前月よりも12.7ポイントも下がっている。コロナ対応での迷走による部分もあるが、「桜を見る会」の問題も影響しているのは間違いない。菅氏としては、政権を安定的に運営するためにも、「桜」を軽視するわけにはいかないのだ。

(永田町コンフィデンシャル)

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