コロナ不況でも「転職で年収アップする人」に当てはまる5大特徴
プレジデントオンライン / 2020年12月21日 11時15分
■能力の高い人材へのニーズは高止まりしたまま
人材市場では、「自分を高く売れる人」と「安くしても売れない人」がいます。その差はどこで生まれるのでしょうか。人材紹介会社タリスマンの盛内文雄代表への取材をもとに、その違いについて紹介します。
(1)成長する業界や分野を的確に把握し、キャリアの幅を広げられる人
COVID-19によるパンデミックが拡大する中でも、ITに代表される業界は成長を続けています。企業の業績が好調なので人材採用の意向も高く、能力の高い人材へのニーズも高止まりしたままです。
どんな業界や分野が今後成長するのかという時流を的確に把握し、仕事をしながら自身のキャリアの幅を広げている人は、転職する際も有利です。自身に偶発的なチャンスが訪れるように、絶えず行動を起こしているからです。
特に需要のある専門分野の人たちとしては、IT関連の研究者、ソフトウエアエンジニア、最先端技術者、DXやUXなどの専門家です。スタートアップ企業やIT企業の研究開発部門などで顕著ですが、有能な外国人の人材の場合、日本語が話せなくても採用していることです。現在は海外からの入国が制限されていますが、ビザの発給が動き出せば海外からの人材採用は加速するでしょう。
こうした人の中には世界でトップ100に入る大学の学歴を持ち、世界中から引く手あまたのトップ人材も存在しています。
■築いたネットワークがビジネスパーソンの財産になる
(2)情報発信力と広い人脈を持ち、業界では知られた人
その人が転職するというだけで、話題になる人がいます。顕著な例が、業界の中では知られた存在になっている人です。その人にはいつも情報がついてまわり、動きがあるとすぐにネット上で情報が拡散します。
彼らがそうなるのは、SNSで絶えず情報発信しているからです。ネットワークでつながった人たちや部下たちがその後ろに大勢控えており、その人についていくビジネスパーソンや顧客がいます。人を集める力を持つ人物は、人材紹介会社の費用を支払わずに済みます。
SNSで情報発信力を持つ人は、広範囲に人脈をつくり、それが彼らの資産になっています。そんな人たちを採用する企業もその影響力を熟知しており、キーマンを採用してその人脈を活用しようと考えているようです。
LinkedInに代表されるビジネスSNSで日頃から人的なネットワークをつくっておくことが、その人の価値を高めることにつながる代表的な事例です。
(3)専門性と英語力を掛け合わせることができる人
単に英語ができるというだけでは強みにはなりませんが、専門性を磨いた上で、英語力を備えていれば高く売れる人材になれるケースが増えます。独自の専門性を持ち、そこに英語力を掛け合わせる(英語×専門性)と手にする報酬は高くなります。英語は掛け算になるわけです。
例えば広告会社からGAFAの1社に転職し、スキルは変わらないのに給与が約1.5倍になった例や、英語力と専門性を備えていたことで複数社から内定をもらい、年収が吊り上がった例もあります。
■年収400万円から1000万円に…
サービス業界の日系企業の営業職から外資系IT企業の営業職に転職した人の事例では、前職は400万でしたが、入社3年目には成功報酬を加えると年俸が1000万円に届いた人もいます。専門性を備えていれば、やはり英語は力になるようです。
英語力を強化するために自己投資した資金は、後で回収することができることを念頭に入れておくとよいと思います。
専門性とはいっても、バックオフィスの仕事や生産性の低い仕事は、オフショアの組織に外注されていき、いずれ社内の仕事ではなくなっていきます。将来有望な専門性を特定する先見性がここで必要になってきます。
(4)変化に柔軟で、キャッチアップできる人
ある外資系広告テクノロジー企業で働くAさんは、課題認識から課題解決に結びつく行動まで、必要とされる一連のプロセスにおいて的確に動ける人材でした。
変化の速いマーケットで、企業方針の転換による就業環境の変化にも柔軟に対応し、新しい情報を取り込む能力にも長けていました。そうした素養が幸いして好条件の転職に成功し、その後マネジャーに昇進しています。
転職後もデータをうまく活用して仕事に取組み、成果を出すという取組み姿勢は、リモートワークになってからも高く評価されています。
■グーグル出身者であっても柔軟性が無ければ高く売れない
外資系IT企業に転職した営業セールス担当者は、広告テクノロジーの会社が事業拡張していく中で、業務の領域拡張にも柔軟に対応しています。企業の成長に呼応して自身の仕事を拡張し、アウトプットできる人は市場価値が上がっています。
反対にGoogle出身者であっても、柔軟性に乏しい人は転職時に採用されなかったケースがあります。業務の領域拡張にキャッチアップできる人とできない人とでは、大きな差が開いています。
(5)採用担当者に共感され、カスタマーサクセスを意識できる人
人材紹介会社の担当者や企業の人事担当者が、候補者との面接に至るプロセスで、メールや面談を通じて気遣いや配慮がある人は、担当者に共感されその評価も高くなります。
採用プロセスにおいて、候補者の人柄を採用担当者がどう感じるかはとても重要です。利他的で気遣いができる人かどうかが見られているからです。仕事を通じたネットワークと社外(距離はあるがつながっている)ネットワークの有無、そして採用後にこの人と働きたい、つながりたいと思えるかどうかが問われてきます。
失敗談を話せるオープンな姿勢で過去を振り返り、これまで積み上げてきたロジックによって相手から信頼や共感を得られることは大きな強みです。転職回数が多くても、こうした特性を持っていたことから採用されて、給与が高くなった例もあります。
さらにクライアントや顧客(生活者)が気づいていない課題を特定して解決できる「カスタマーサクセス」という概念を持つ人も採用時には強いです。
■安くても売れない人の3つの特徴
一方で、「安くても売れない人」はどんな特徴があるのでしょうか。本稿では3つの特徴を紹介します。
(1)アップデートできない人
専門職であっても状況の変化についていけない人材の転職は難しいです。
また自身に強みや専門性があると本人は思い込んでいても、ネット検索すれば出てくるようなノウハウや経験値なら、専門性があるとはいえません。例えば人事部門なら、一般的な人事担当者が持っているノウハウなどはネット検索すればすぐに出てきます。
グローバル企業で第三国のオフショアに回されるような仕事とそのレベルの専門性では、個人の市場価値にはつながりません。
(2)ジョブ型の枠から出られない人
ジョブ型でジョブディスクリプション(職務記述書)通りの仕事しかしない人や、その先にある課題解決や利害関係者を意識できない人。自分流に固執して、できることが限定的な人。新しい組織体制になっても早期に離脱してしまう人。そして「できない」「やれない」という否定的な言動が多い人の転職は難しいです。
ジョブ型人材は即戦力として転職していく力を持っていますが、その前提として自身の能力を絶えず磨き高めている人であることが前提になります。
日本企業は簡単に解雇できないため、専門職であっても変化対応に乏しく高度化できない人材を人事部は恐れているのです。
■常に自分の市場価値を高める努力を
(3)テイカー(与えることをしない人)
採用担当者は面接に至るプロセスで、メールによるコミュニケーションを何度も交わします。面接前にやり取りするメールの文面からは、その人の人柄が伝わってきます。この時、「自分本位」で「利己的」な印象があり、実際に会ってみるとメールでの印象が決定的になる候補者がいます。こうした特性を持つ人は、人間関係が続かないため転職回数が多くなり、また転職しても数カ月で辞めてしまう傾向があります。
ここで紹介された情報を生かし、ご自身の市場価値が向上するよう仕事に取り組んでください。
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マーケティングコンサルタント
学習院大学法学部卒業。事業経営の本質は「これまで存在していなかった新たな価値を生み出し、社会に認めてもらう活動」であると提唱。価値の低いものはいつの時代も、必ず価格競争に巻き込まれ、淘汰されていくとして、一貫して企業と商品の「価値づくり」を支援している。日本経済新聞社が実施した「経営コンサルタント調査」で、「企業に最も評価されるコンサルタント会社ベスト20」に選ばれた実績を持つ。著書に『不況を乗り切るマーケティング図鑑』『デジタル時代のマーケティング・エクササイズ』(共にプレジデント社)、『全史×成功事例で読む「マーケティング」大全』、『成功事例に学ぶ マーケティング戦略の教科書』(共にかんき出版)、『コトラーを読む』『商品よりもニュースを売れ! 情報連鎖を生み出すマーケティング』(共に日本経済新聞出版)、『価値づくり進化経営』『中小企業が強いブランド力を持つ経営』『価格の決定権を持つ経営』(共に日本経営合理化協会)、『図解&事例で学ぶマーケティングの教科書』(監修)『男の居場所』(共にマイナビ出版)など多数ある。プレジデント社のオンラインサイト「プレジデントオンライン」で連載コラムを執筆し、多くのファンに支持されている。日経BP社が主催する日経BP Marketing Awardsの審査委員を長年務めている。http://www.ms-bgate.com/
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(マーケティングコンサルタント 酒井 光雄)
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