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「信頼される自己紹介」と「信頼されない自己紹介」の決定的な違い

プレジデントオンライン / 2021年1月4日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monzenmachi

初対面で信頼される人と、信頼されない人は何が違うのか。数多くの受験生の信頼を獲得し、人気予備校講師となった犬塚壮志氏は「相手によって違う自己紹介をしたほうがいい。そのためには2つのポイントがある」という——。

※本稿は、犬塚壮志『人気NO.1予備校講師が実践! 「また会いたい」と思われる話し方』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

■信頼できる人の言葉だけが持つ力がある

長年の友人からの「真剣にやっている?」は「真剣さが足りないのかも?」と自問自答する気持ちにさせてくれますが、会って日の浅い人から「真剣にやっているの?」には「やっているよ!」という苛立ちにつながります。

あるいは、恋人からの「最近、がんばっているね」はよりがんばるためのエネルギーになりますが、同僚からの「最近、がんばりすぎでしょ」は嫌味に聞こえることもあるでしょう。

両者を分けているのは、メッセージを発した相手との間にある関係性や信頼感です。人間は、同じ内容の言葉を受け取っても、信頼している人からのメッセージにはポジティブな反応を示し、信頼関係を結んでいない人からのメッセージには不信感や反発心を抱くものです。これは社会心理学の研究で明らかになっています。

■信頼関係の有無で、生徒の成績が変わる

私が駿台予備学校に勤めていた頃、講義の内容以上に心がけていたのが生徒との信頼関係を構築することでした。なぜなら、同じ内容の講義であっても、生徒との信頼関係があるかないかで、生徒の成績の伸びが大きく変わってくるからです。

信頼している講師の言葉は、生徒を前向きな方向へ促します。ところが、生徒が講師のことを信頼できるかどうか探っている段階では、成績も伸び悩みます。

予備校講師の場合、生徒たちの成績が上がって初めて評価されます。生徒との信頼関係を大切にするのは、生徒たちの成績のためであると同時に、講師自身の評判にも直結するからでもあるのです。

重要なのは、聞き手が「誰に何を言われたか」の「誰に」の部分です。どんなに正しい指摘であっても、役立つ情報であっても、信頼関係のできていない相手の話は素直に受け取ることが難しくなります。

一方、信頼できる人の言葉は、相手の心を動かし、新たな行動を起こすきっかけとなるのです。そして、背中を押されて行動を起こしたという実感と、そこから得られた経験・成果によって、聞き手は話し手のことをさらに信頼し、味方になってくれます。

■病院で「雑に扱われた」と感じる瞬間

聞き手となったとき、誰もが無意識のうちに「どんな人が話しているのか」によって話の価値を判断しています。特に初対面の相手から話を聞くとき、聞き手は「この人は誰なんだろう?」「どんな人なんだろう?」という疑問や不安を感じています。

たとえば、あなたがかかりつけ医の紹介状を手に大学病院の医師の診察を受けるとしましょう。担当することになった医師が観察眼に優れ、治療薬の選択が確かなプロだったとしても、診察中、彼がずっとモニターに向かい、電子カルテを打ち込み、一度もあなたと目を合わせなかったとしたら、どう感じるでしょうか?

検査
写真=iStock.com/kazoka30
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazoka30

あなたは「無視された」「雑に扱われた」と感じ、診察の結果にも納得できず、不安を抱えたまま診察室を出ることになるはずです。

医師の立場からすると、あなたは毎日、診断している多くの患者のひとりに過ぎず、い つもと変わらない対応をした感覚かもしれません。しかし、信頼関係が築かれていない初診の段階で、紹介状を読まれ、淡々とした症状の聞き取りがあり、診察が終わってしまったら、かかりつけ医からの「いい先生だから」という言葉も霞んでしまいます。

■わずか十数秒の言葉で、印象はガラリと変わる

もし、大学病院の医師が最初にこんなふうに話したら、印象が大きく変わったことでしょう。

「○○先生からの紹介ですね。□□さんの病気に関して、うちの病院は経験豊富なスタッフがいます。私も専門医として何例も診てきました。今、一番不安に感じていることを教えていただけますか?」

言葉にしてしまえば十数秒ですが、ここには大切な2つのポイントがカバーされています。それは医師が持っている「専門性」の紹介と、患者の不安に「寄り添おうとする姿勢」です。

枕となる、わずか十数秒の話があるだけで、あなたは医師の人となりを感じ取り、診察 に対して感じていた不安が減っていくのを実感するはずです。それは「誰に何を言われたか」の「誰」がはっきりと姿形を現すからです。

それでは、聞き手の感じている不安と警戒を取り除き、話を聞く体勢を整えてもらうため、最低限話し手が伝えていくべき情報とは何でしょうか?

■わかりやすく伝える「2つのポイント」

話し手であるあなたがどんな人なのか。聞き手にコンパクトかつ、わかりやすく伝えるためのポイントは、2つあります。

犬塚壮志『人気NO.1予備校講師が実践! 「また会いたい」と思われる話し方』(朝日新聞出版)
犬塚壮志『人気NO.1予備校講師が実践! 「また会いたい」と思われる話し方』(朝日新聞出版)

・キャラクター(人間性)

→あなたの人間性であり、あなたが信頼に足る人物かどうかのアピールになる

・コンテンツ(知識やスキル)

→知識やスキルに直接ひもづくものであり、あなたの話が聞き手にとってどんな「トク」になるのかを伝える役割を担う

大切なのは、誰かに話をする前に付け焼き刃で準備するのではなく、事前に2つのポイントを押さえた自己紹介文をつくっておくこと。

箇条書きでもかまわないので、300~1000文字の自己紹介文をまとめておきましょう。すると、実際にあなたが話し手となるとき、聞き手や話をする状況に合わせて自己紹介にまとめ直すことができ、便利です。

■聞き手に合わせて、言葉を変える

たとえば、予備校講師という文脈での私の場合、キャラクターには……

・授業はわかりやすくて当たり前。どんなにいい授業をしても、受からせなきゃ予備校講師としては失格、かモットー

・どんな冷めた生徒でも勉強のやる気が引き出される、漫画の『ONE PIECE』のルフィのようなポジティブさが売り

コンテンツには……

・業界最難関といわれている駿台予備学校の採用試験に当時、化学科最年少の歳で一発合格

・生徒を合格させることをとことん追求したその講義で、偏差値30台からでも国公立大・早慶理科大をはじめとする難関大学に合格する受講生を数千人単位で輩出

・化学がまったくできない偏差値30台の生徒も身につけることができる、受験の王道をいく本質的解法テクニックを提供できる

といった内容が入ります。

空の教室
写真=iStock.com/onurdongel
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/onurdongel

しかし、これは予備校講師としての対受験生向けの自己紹介を切り取ったものです。著者としての顔で対編集者向け、研修講師としての顔で対ビジネスパーソン向けであれば、当然、内容は異なってきます。

聞き手が変われば、話し手に求められる信頼の要素も変わります。その変化に対応できる自己紹介を用意するイメージを持って、あなたなりのポイントを書き出し、聞き手の「この人は誰?」に対処してみてください。

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犬塚 壮志(いぬつか・まさし)
教育コンテンツ・プロデューサー
福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。士教育代表取締役。大学在学中から受験指導に従事し、駿台予備学校の採用試験に25才で合格(当時、最年少)。駿台予備学校時代に開発したオリジナル講座は、3000人以上を動員する超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となった(映像講義除く)。2017年に社会人向けビジネスセミナーの開発や講座デザイン、テキスト作成などを請け負う事業を興す。企業向け研修講師としても登壇。現在は東京大学大学院で「認知科学」をベースとした研究も行う。主な著書に、『頭のいい説明は型で決まる』(PHP研究所)、『理系読書−読書効率を最大化する超合理化サイクル』(ダイヤモンド社)などがある。

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(教育コンテンツ・プロデューサー 犬塚 壮志)

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