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夜泣きに悩むママパパが知らずにやっている3つのNG行動

プレジデントオンライン / 2021年1月4日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/violet-blue

赤ちゃんの夜泣きは、どうすればおさまるのか。ノーベル生理学・医学賞学者の研究室に所属する睡眠科学者のソフィア・アクセルロッド氏は「お昼寝、あやし、早寝という3つのNG行動をとっている親が多い」という――。

※本稿は、ソフィア・アクセルロッド著、綿谷志穂訳『赤いライトで朝までぐっすり 赤ちゃん寝かしつけの新常識』(東洋館出版社)の一部を再編集したものです。

■NG行動①:赤ちゃんが目覚めるまでお昼寝させる

赤ちゃんの寝かしつけについて、「睡眠が睡眠を生む」という言い回しをよく耳にします。これは正しいのでしょうか?

日本の研究者によって、「赤ちゃんが夜ぐっすり眠るためにはお昼寝が必要」という話が本当かどうかを確かめる調査がおこなわれました。1歳半くらいの健康な赤ちゃん50人の覚醒と睡眠を追跡した結果、意外なことがわかりました。お昼寝の時間が短かった赤ちゃんほど、夜は早く、長く眠っていたのです。逆に、長くお昼寝をした赤ちゃんでは、とくに夕方以降にもお昼寝している場合、寝つきが悪く、夜中に目覚める回数も多くなっていました。

この調査結果によって、お昼寝についての常識がくつがえされました。ここで重要なのは、何度も眠ることと、お昼寝の時間の合計が長くなることを混同しないことです。

赤ちゃんは、24時間のあいだに必要とする睡眠を、お昼寝と夜の睡眠で複数回に分けてとります。お子さんが、必要な睡眠の大部分をお昼寝でとってしまったら、夜に寝る時間は短くなります。赤ちゃんに一晩中眠ってもらうには、お昼寝の時間を決めることがポイントなのです。

■赤ちゃんが健康でいるために必要な睡眠の量とは

お昼寝のしすぎはよくないとわかったところで、次は赤ちゃんが健康でいるために必要な睡眠の量について見ていきましょう。このことについて、頭を悩ませているママ・パパは多いですが、ありがたいことに、科学は明快な答えを準備してくれています。

赤ちゃんによって成長に個人差はあるものの、睡眠パターンは似ていて、同じように発達していきます。新生児は一日中寝ていて、2歳になると毎日12時間寝ればよくなる、といった調子です。年齢ごとに必要な昼と夜の睡眠時間を把握することはとても重要で、このことは夜ぐっすり眠るためのスケジュール管理に役立ちます。

ラッキーなことに、わたしは何万人もの赤ちゃんの睡眠パターンをわざわざ調査する必要はありませんでした。赤ちゃんの睡眠というのはとても重要であり、研究しやすいテーマでもあるので、さまざまな調査結果を組み合わせた分析がいくつもおこなわれています。

■約7万人のデータが示す、適切な睡眠時間

もっとも大規模なものに、18か国の子ども6万9544人分のデータセット(昼と夜の合計睡眠時間、夜に何回起きるか、お昼寝の回数など)を使って、子どもの睡眠に関する世界標準や、年齢ごとの平均的な睡眠時間を明らかにしたものがあります。

これを使って、年齢ごとに必要な睡眠時間を知ることができます。お子さんの睡眠パターンが標準に沿っているとして、同じ年齢の平均と比べて、夜の睡眠が短く、お昼寝が長い場合、少なくともその平均までは、お昼寝を短くしてもいいことがわかります。その短い時間しかお昼寝しない赤ちゃんが、ほかに何万人もいるのですから。

【図表1】赤ちゃんの睡眠時間
出所=『赤いライトで朝までぐっすり 赤ちゃん寝かしつけの新常識』
写真を拡大 - 出所=『赤いライトで朝までぐっすり 赤ちゃん寝かしつけの新常識』

もしお子さんの睡眠時間が同年齢の標準より短い場合は、ひとつ上の年齢グループを目安としてください。お子さんの成長は進んでいて、必要とする睡眠時間も短いからです。目安とする合計睡眠時間が決まれば、お昼寝はグラフに表わされた時間以内に収めるようにしましょう。

お昼寝を短くすることで、簡単に、そして効果的に、夜の睡眠を改善することができます。その際に、標準から外れてしまわないかどうかを知ることのできるデータがあるのは、とても便利なことです。

■NG行動②:泣いたらすぐにあやしに行く

赤ちゃんと添い寝をするか、ベビーベッドに寝かせるか――子育て中の親のあいだで、よく話題にのぼるテーマです。

安全性の観点で言えば、米国小児学会は、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクから添い寝に反対しています。さらに、赤ちゃんがひとりで眠るスペースを確保することは、一晩中ぐっすり眠ることにつながるという調査結果があります。

2017年、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者たちは、親と添い寝している赤ちゃんと、ベビーベッドで寝ている赤ちゃんとを比較して、映像の分析と睡眠の記録を調査しました。すると、赤ちゃんと添い寝している親は、夜泣きがはじまると数秒で反応し、すぐに授乳していたのに対し、ベビーベッドに赤ちゃんを寝かせている親は、授乳するまで1分以上かかっていました。

ところが、意外にも、生後3か月の時点で、夜に5時間以上つづけて眠る赤ちゃんの割合は、添い寝しているグループでは25%だったのに対し、ベビーベッドのグループでは72%でした。夜泣きがはじまってから赤ちゃんをあやして授乳するまで1分以上かかっているにもかかわらず、親と別に寝ている赤ちゃんのほうが、長く眠っていました。

つまり、たった1分少々授乳を遅らせるだけで、赤ちゃんの寝つきはずっとよくなるのです。わたしは、寝かしつけ教室の参加者に対して、「90秒待ち」を指導するようにしています。

■別の部屋に寝かせることで、母親の睡眠も劇的に改善する

また、2015年にイスラエルの科学者たちがおこなった実験では、赤ちゃんを別の部屋に寝かせることで、赤ちゃんだけでなく、母親の睡眠も劇的に改善することが証明されました。

白・黄・黄緑でコーディネートされた子供部屋
写真=iStock.com/sl-f
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sl-f

生後3か月と6か月で、添い寝する親子と別の部屋で寝る親子を比べると、赤ちゃんと添い寝する母親は、夜中に起きる回数が多く、睡眠の質も悪かったのです。つまり、赤ちゃんを別の部屋に寝かせることで(起きたことがわかるように、泣き声が聞こえる部屋にするか、ベビーモニターを設置します)、親の睡眠も改善したのです。

90秒とはいっても、夜泣きしている赤ちゃんを目の前にしてあやさずにいるのは、心が痛みます。

新米ママ・パパの脳の活動を、リアルタイムで観察した研究では、わが子が泣いている写真を見るだけで、脳の中心にある扁桃体が強い反応を示すことがわかりました。扁桃体が活性化するというのは、たとえば警報音が鳴ったときのような状態で、パニックを引き起こします。

■「赤ちゃんは自分とは別の存在」だと頭を切り替える

赤ちゃんが泣くと、この警戒心を引き起こす脳の領域が、クリスマスツリーの電球のようにぴかぴかと反応します。赤ちゃんが泣くことは、親にとって大きな不安であり、耐えがたい苦痛なのは、生物学的な反応として備わっていることなのです。

ソフィア・アクセルロッド著、綿谷志穂訳『赤いライトで朝までぐっすり 赤ちゃん寝かしつけの新常識』(東洋館出版社)
ソフィア・アクセルロッド著、綿谷志穂訳『赤いライトで朝までぐっすり 赤ちゃん寝かしつけの新常識』(東洋館出版社)

父親も赤ちゃんの泣き声に反応しますが、母親の脳のほうが大きな反応を示すこともわかりました。多くのママは、こう思ったことがあるでしょう。「わたしはちょっとした物音でも目が覚めてしまうのに、なんでパパは赤ちゃんが大泣きしていてもぐうぐう寝ているの?」それには、ちゃんと理由があります。父親の脳は、赤ちゃんのかすかな物音にまで警報を鳴らすようにはできていないのです。

この体の内側からのプレッシャーに逆らって、泣かせたままで待つのはとても難しいことです。睡眠不足で認知機能や感情のコントロールが低下していると、なおさらです。

ですが、この体の反応と、赤ちゃんが泣いたときに現実に起こることとは、分けて考えなければなりません。いますぐに、「赤ちゃんは自分とは別の存在だ」と頭を切り替えてください。

赤ちゃんの泣き声を聞いて動揺すると、感情移入しすぎて、赤ちゃんもつらい思いをしているのだと考えがちですが、そうとはかぎりません。少なくとも、何時間も泣かせっぱなしにするわけではなく、たった1分少々のことです。

そして、ママやパパが部屋に入ってくると赤ちゃんはすぐに泣きやみます。もし、赤ちゃんが本当に苦しんでいるのだとしたら、抱っこした瞬間にきげんが直ることはないはずです。

部屋に入れば赤ちゃんはすぐ泣きやむのだと自分に言い聞かせ、すぐにあやしに行きたいという衝動をがまんしましょう。赤ちゃんがまったく夜泣きしない未来を思い浮かべてみてください。そのほうが、赤ちゃんにとっても、あなたにとっても、どんなにストレスが少なくて済むでしょう。

■NG行動③:早寝を心がける

私は、赤ちゃんの寝かしつけを通じて、ママ・パパの睡眠習慣も改善することを目指して活動しています。ママ・パパの生活リズムに合わせて、赤ちゃんの睡眠時間を設定するところが、ほかの睡眠トレーニングのアドバイスとはちがうところです。

赤ちゃんがいちばん長く寝ていてくれるのは、寝はじめてからの時間です。たとえば、一度に5時間まで寝ていられる赤ちゃんを夜7時に寝かしつけすると、真夜中に目を覚まし、それ以降は細切れにしか眠ってくれません。あなたも夜7時に寝たいのでないかぎり、あなたと赤ちゃんのスケジュールはかみ合わなくなってしまいます。

赤ちゃんを早く寝かしつけすぎないようにしましょう。赤ちゃんの就寝時間は、赤ちゃんに起きてほしい時間から、夜の睡眠時間を逆算して設定します(夜の睡眠時間の目安は、図表1を参照してください)。

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ソフィア・アクセルロッド 睡眠科学者
睡眠科学者で二児の母。N.Y. マンハッタン在住。エバーハルト・カール大学テュービンゲン、フンボルト大学で学び、2012年に生物学の博士号を取得。ノーベル生理学・医学賞を受賞したマイケル・W・ヤング氏の研究室に所属し、睡眠についての研究をおこなっている。自身も物心ついたときから不眠に悩まされ、子どもの寝かしつけにも悩んだことから、睡眠科学者としての知識をわが子の寝かしつけに生かすようになる。お世話になったドゥーラ(産前・産後のケアスタッフ)の兄弟の子の睡眠にも効果があったことをきっかけに、2018年より、0歳~6歳の子を持つ保護者を対象に、寝かしつけ教室「How Babies Sleep-A workshop for children aged 0-6」を開催。ドゥーラのクライアントたちからはじまり、これまで100組以上の親子の睡眠を改善している。Photograph by Winter Willoughby-Spera

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(睡眠科学者 ソフィア・アクセルロッド)

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