「映画が面白くない時の対応でバレる」投資がうまくいく人と大損する人の決定的な違い
プレジデントオンライン / 2020年12月28日 9時15分
※本稿は、投資家メンタリストSai『自分のマインドを自在に操る超投資法 最新のメンタリズムで分かった「失敗しない」お金の増やし方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■「映画が面白いくない」時の対応でバレる、投資の上手な人下手な人
突然ですが、今からあるテストをします。
あなたは今、一人で映画を観に来ています。その映画の最初の15分が、とてもつまらないと感じたらどうしますか?
多くの人は、「せっかくチケットを買ったのだし、もったいないから最後まで観ていこう」となります。しかし、この「もったいない」と思う感情こそが投資家としては、とても危険な感情になるのです。
投資家としてのベストな選択は、映画がつまらないと感じたら、すぐに映画館から出ることです。
仮にチケット代が2000円程度だとしても、そのまま観続けたら、2~3時間もの時間を無駄にしてしまいます。ならば、すぐに映画館を出て、自分の趣味や勉強の時間に充てたほうがよほど有意義です。
このように回収できなくなってしまった費用のことを「サンクコスト(sunk cost)」といいます。そして、「せっかくお金を出してチケットを買ったのだから、最後まで観よう。もしかしたら、これから面白くなるかもしれない……」という心理で映画を観続けることを「サンクコストバイアス」と呼びます。
■「損切り」が正しくできない投資家に成功者はいない
投資家としての重要な資質は、「躊躇なく損切りができること」です。
たしかに、チケットを先に買ったのにもかかわらず、途中で映画館を出るには勇気がいります。最初にお金を払っているので、途中で退出したら損をする感じがするからです。言い換えると、これはチケットの「損切り」でもあります。
100万円で買った株が50万円まで下がったときに、多くの人は塩漬けにしてしまいがちです。
塩漬け状態にすれば、「損はまだ確定していないので損失ではない」という人もいます。でも、確定するしないにかかわらず、既に50万円まで下落しているので、そのモノの価値は50万円なのはたしかなことです。
投資家たるもの、そこにしがみつくのではなく、費やしたコストに関係なく、価値のないものは損切りをしなければいけません。それよりも大事なものが何かを、もっと考えなければいけません。
ここで重要なのは「次はどうするか?」です。
変えられない過去を悔やんでも、どうしようもありません。投資家として大成していくためには、変えられないことと変えられることをしっかりと区別して、変えられることに注力していく必要があるのです。
■失敗から立ち直るにはマインドフルネス瞑想、アップルやグーグル実践
「サンクコストバイアス」については、世界が注目するトップMBAスクールの「INSEAD(インシアード)」が研究を行っています。最新の研究結果では、「サンクコストバイアス」を回避するためには、その原因となっている過去へのこだわりを手放し、「過去ではなく今の自分に目を向ければいい」ということがわかっています。
費やしてきたコストを見てしまうと、もったいないという心理が働いてしまいますが、それを回避するために、今ここにある自分自身に注目し、過去と今を切り離していく必要があるのです。
また、INSEADのゾーイ・キニアス准教授は、その効果的な方法として、「マインドフルネス瞑想」を推奨しています。
このマインドフルネス瞑想は、アップルやグーグル、フォードなどの大企業も社員研修の一環としても取り入れていて、僕自身も習慣化しています。
ここではマインドフルネス瞑想のやり方について詳しく説明するのは割愛しますが、軽く目を閉じ15分程度「いま、ここ」の状態に意識を集中し瞑想を行います。
たったそれだけのことで、過去を忘れ、未来に目を向けて、長期的に良い選択ができるように思考を変化させることができるのです。瞑想を行うことで「いま、ここ」に集中する能力が高まり、「もったいない」「これだけコストをかけたのだから今さらやめられない」といった負の感情を手放すことができるようになります。
もちろんマインドフルネス瞑想は、「サンクコストバイアス」だけでなく、集中力や客観力の向上、自己抑制、リラックス効果など、さまざまなメリットがあるので、トレードをする前などにも非常におすすめです。
■ビジネスとは異なり「TTP(徹底的にパクる)」でも勝てないのが投資
さて、「サンクコストバイアス」に陥らない方法に続いて、気をつけていただきたいことをお伝えします。「TTP」という言葉をご存じでしょうか?
ビジネス書や自己啓発書でよくでてくる言葉ですが、「徹底的にパクる=Tettei Tekini Pakuru」を略して、TTPと言われています。
ビジネスでうまくいっている企業や成功者の行いを完全に真似していくという手法で、それこそが成功への最短ルートである、とよく紹介されているのです。これは投資の世界にも当てはまるのでしょうか?
トレードでも「うまくいっている人の手法を真似る」、つまり「他人の手法を真似る」ことが手っ取り早いと思う人もいるかと思いますが、実は相場ではそういったことは難しいのです。
もちろん僕自身も、ネットや書籍などで手法やテクニックを参考にすることはありますが、外から得た知識とそれまでに自分がインプットしてきた知識や経験をアレンジした上で投資判断を行っています。
単純に「移動平均線のゴールデンクロスで買いでエントリーする」とか「RSIの数値が30%以下だから買いでエントリーする」といったことなら真似をすることもできるかもしれませんが、実際そういった取引では継続的に利益を上げることはできません。
なぜなら、投資で大切なことは、常にトレードをしながら「自分の頭で考える」ことだからです。
■「マニュアル化」が最も危険、あのバフェットは自分で考える
世界的な投資家のウォーレン・バフェットも、「私は読み、そして考える。よりたくさんのものを読み、考えるからこそ、大多数の人と比べて、私は衝動的な判断をすることが少ない」と言っています。
投資は誰かに教えてもらわないとうまくならないと考えがちですが、教えられることに依存し、自分の頭で考えられなくなると、逆に利益を出し続けることはできなくなっていきます。
トレードは基本的に、自分ひとりで考えてやるものです。誰かに教わって、そのまま真似るとか、参考にするということが習慣化してしまう、つまりは「マニュアル化」をしてしまうと、ある一定のところまではいけても、いずれ行き詰まることになります。
なぜなら、相場というものは、常に一定であるなどということはなく、また、誰かのトレードの時と同じ条件である、ということもないからです。
結局のところ、時間がかかったとしても、自分で自分なりの方法論を見つけることが大事なのです。そうすれば、いざ想定外の壁にぶつかったときにも、自身で対策を考えて、打破することができます。
かくいう僕も昔は自分で考えずに人の手法を真似し、わからないところは人に聞いてばかりいました。
ですが、この「自分の頭で考える、調べる」という過程で得られるものは大きく、最終的な答えを、自分自身で見つけ出す必要があります。
そうすることで、結果として最短で自分自身に合った投資手法やスタイルを獲得することができるのです。他人のトレードを参考に、手法作りのきっかけとして取り入れるのは良いと思いますが、そもそも、その人の頭の中の子細な部分まですべて真似るというのは不可能です。8割は他人の真似をしたとしても、残りの2割は自分で構築する必要があります。
10割コピーで勝っているトレーダーは、僕の知る得る限りではいません。
結局のところ、自分の過去のうまくいったトレードや、失敗から学ぶしかないのです。収支がプラスになった理由、マイナスになった理由を見つけ出すこと。
そういった分析を継続して行い、2割の部分を自分の脳みそで考えることで、自分に合った自分だけの優位性を持ったトレードができるようになります。
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1983年東京生まれ。投資歴は18年、専業トレーダー兼YouTuber。大学在学中にアルバイトで貯めたお金で投資を始めるも、数カ月で数百万円の損失を出してしまう。さらに数年間続けるが、会社員時代には自身の年収以上の額を一瞬にして失い、700万円以上の借金を抱える。そこから意識改革をし、自分の人生の可処分時間をすべて投資の勉強や心理学、過去の手法検証に捧げた。不屈の精神で投資を続け、長い暗黒時代を経てようやく知識とメンタル、手法の礎を築き上げ、毎月安定して7~8桁の収益を出している。現在は、YouTubeやTwitterなどで、それまでの自身の経験をもとに投資の知識や実践で使える心理学の知識を発信している。
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(投資家メンタリストSai)
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