東大卒・整理収納アドバイザーが教える「どうしても捨てられない人」のための科学的整理術
プレジデントオンライン / 2021年1月10日 8時15分
※本稿は米田まりな『集中できないのは、部屋のせい。 東大卒「収納コンサルタント」が開発! 科学的片づけメソッド37』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
■「整理」とは、捨てるのではなく「分ける」
モノの整理のハードルを下げるコツは、まず「アーカイブ(一時保存)」することです。言い換えれば、「データを整理するように、モノを整理する」のです。
モノを整理するとき、多くの方がゴミ袋を手に持ち、瞬時に「残す」「捨てる」を判断しようとします。捨てた後に手元からモノが消えるため、細心の注意を払ってモノを捨てていきますが、この意思決定はなかなかストレスフルです。一方データは、多くの場合、瞬時に「残す」「捨てる」の判断をする必要がありません。いま使わないデータは、捨てずにアーカイブして残しておき、データ容量が許す限り、フォルダ内で眠らせることができます。必要になれば、フォルダから取り出せばいいのです。つまり、データを一時保存する要領で、モノを捨てずに「フォルダ」に分類してアーカイブします。分類の際の「ルール」を決めれば、捨てようか、残そうか、いちいち決断しなくて済むので、精神的にも体力的にも負担がなくなります。
■4つのフォルダに振り分けてみよう
早速、家にあるモノを分類しましょう。モノを分類しやすくするコツは、「使用頻度」の軸でフォルダをつくること。使用頻度別のフォルダをつくれは、分類がグッとラクになり片づけが捗ります。私がオススメするフォルダは次の4つです。
①日次フォルダ(今日使ったモノ)
②週次フォルダ(1週間以内に使ったモノ)
③月次フォルダ(1か月以内に使ったモノ)
④年次フォルダ(1年以内に使ったモノ)
このように、使用頻度でモノを分けていきます。
片づけの基本は「全部出し」です。会社の書類整理でも、「何の書類か?」を把握できていなければ、正しくファイリングできませんよね。自宅の片づけも同じです。
デスクでの作業にまつわるモノをすべて把握するため、まずは1箇所にかき集めましょう。自宅のさまざまな場所に点在する、書類・ガジェット・文房具・本など、作業に必要なアイテムを、段ボール箱(または紙袋)に放り込んでください。次に、集めたアイテムを1点ずつ手に取り、日次、週次、月次、年次という4つの時系列フォルダに分けていきます。
■分類の基準は、「直近でいつ、そのモノを使ったか」
「今日使ったモノ」は①日次フォルダ、「今週使ったモノ」は②週次フォルダです。捨てるか捨てないかを判断するのは、いったん後回し。直近の使用実績をベースに、主観を交えず、淡々とモノを仕分けましょう。
4つのフォルダに当てはまらないもの(1年以上使っていないモノ)は、「保留=迷い中フォルダ」の箱に詰めてください。ぬいぐるみや写真立ては、「使う」という観点では4つのフォルダのいずれにも当てはまらないので、いったん「迷い中フォルダ」に入れます。
フォルダ分けが完了したら、モノの定位置を決めていきます。基本は、優先順位の高いほうから、日次フォルダ→週次フォルダ→月次フォルダ→年次フォルダ→迷い中フォルダの順で家の中に置く場所を設定しましょう。
■使わないけど捨てられないモノの対処法
モノの頻度・シーンごとに、適切な場所に配置していくといっても、モノへの愛着や部屋の広さには個人差があります。
「毎月使うモノ」までは誰もが部屋に収まりきるはずですが使用頻度が低いモノや、使わないけれど愛情があるモノは、その人の趣味や価値観によって量にばらつきがあります。キャンプとファッションが趣味という方であれば、それだけでクローゼットは簡単に埋まってしまいます。仕事柄、本や書類を資料として自宅に置かざるをえない方もいらっしゃるでしょう。押入れやクローゼットの大きさも、人それぞれです。
![自宅の散らかった掃除でイライラする主婦](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/8/670/img_089ae33c655abcba48ee2eb0a41fd049381190.jpg)
人は1人当たり平均で1500点ものアイテムを所有すると言われています。段ボール箱にすると20~30箱程度です。あなたの家の間取りでは、それだけのモノが入るスペースがあるでしょうか? 地方にお住まいの方や、都心でも専用のストックルームや施設内収納庫のある住宅にお住まいの方なら、豊富な収納スペースがあり、「年次フォルダ」のモノも含めて問題なく家に収まります。しかし一般的な都市住宅にお住まいの方は、この年次フォルダを収める途中で、家に入らなくなるケースが多いです。
■数年に一度しか手に取らないモノは「手放す」
部屋に入りきらなかった場合にまずやることは、年次フォルダの再精査です。年次フォルダにも当てはまらないモノ、つまり「1年に1回も手に取らないモノ」は、残念ですが、死蔵品化しています。たとえ使う用事がなくても、愛着があるモノであれば、1年に1回くらいは手に取って慈しむ時間があっても良いはず。1年以上も手に取る機会がないモノは、あなたにとって本当に不要なモノかもしれません。
使う頻度も数年に1回もないし、愛を持って手に取るわけではないけれど、捨てるのはもったいないというモノは、年次フォルダに入れず、「手放すフォルダ」に入れましょう。すぐに捨てる必要はありません。捨てる以外にも、売る・譲る・寄付する・貸すなど、自分以外の人が活用してくれる場所は多くあるのです。それでも踏ん切りがつかないモノは、「迷い中フォルダ」に分類して、いったん避けておき、後日改めて判断しましょう。
■愛着のあるモノは「メモリーフォルダ」に
使用頻度と異なり、「愛着」は主観的な指標です。でも「頑張って買ったブランド品だから……」「親族から譲り受けたものだから……」と、捨てにくいモノには何でも愛着がある、と判断してしまうのは危険です。限りあるスペースを有効に使うためにも、愛着があって手に取り続けたいモノは「メモリーフォルダ」に、愛着はないが何となく捨てにくいモノは「迷い中フォルダ」に振り分けましょう。
![米田まりな『集中できないのは、部屋のせい。 東大卒「収納コンサルタント」が開発! 科学的片づけメソッド37』(PHP研究所)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/7/f/200/img_7f87cb033370decfe227fe13ea36ea08218036.jpg)
注意しなくてはいけないのが、「迷い中フォルダ」があふれて肝心の「使うモノ」の前に出てきてしまうケース。片づけをしている途中で、迷ったモノの仕分けが終わらず、今週使うモノの前や毎日通る床の上に置きっ放しにしてしまう方はとても多いです。これでは、日々片づけをしている途中で、迷ったモノの仕分けが終わらず、「迷いを避ける」ストレスが生まれてしまいます。
迷い中フォルダは箱に詰めて視界から消し、スマホのカレンダーに開封日を登録&リマインダを設定して定期的に見直します。半年経っても一度も取り出さなかった迷い中フォルダは、自分には必要のないモノたちです。面倒がらずに、迷い中フォルダのモノを手放して、部屋がリバウンドするのを防ぎましょう。
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整理収納アドバイザー
脚本家の祖父・研究者の父の影響を受け、茨城県・宮城県でモノに囲まれた幼少期を過ごす。都市・地方の住宅状況格差に関する自身の経験や、100万人の"モノデータ"を扱う株式会社サマリーで行ってきた消費者調査結果を基に、「捨てないお片づけ」を提唱。作家・デザイナー・起業家など、 "モノを愛してやまない人"を対象に、片づけのコンサルティングを行っている。
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(整理収納アドバイザー 米田 まりな)
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