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メール確認は1日3回まで、根拠なき妄想…実行すると幸福度が上がる新習慣3つ

プレジデントオンライン / 2021年1月10日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gyro

当たり前になっている毎日の習慣が、幸福度を下げていることがあります。例えばメールやチャットのチェック。一度途切れた集中力は、戻るのに25分もかかり、幸福度にもネガティブな影響があります。年の始まりに、そうした習慣を見直してみませんか――。

※本稿は星 渉、前野隆司『99.9%は幸せの素人』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■「休メール日」を設定する世界的企業

カナダのブリティッシュコロンビア大学のエリザベス・ダン准教授らの共同研究に、「注意力の散漫が幸福度に与える影響」についての研究があります。

この研究では、2つのグループに分け、一方はいつもどおりに仕事をしてもらい、もう一方には「メールのチェックは1日3回だけ」と制限し、1週間過ごしてもらいました。そして1週間後に、2つのグループの幸福度を計測したところ……1日3回に制限したグループのほうが、ストレスが低く幸福度が高くなったという結果が出たのです。

世界的IT企業「インテル」の情報テクノロジー部門では「休メール日」を設けています。この部門は1週間あたり約350通のメールを受け取り、その対応にスタッフ一人ひとりが週20時間を費やしています。

そこで、毎週火曜日を「休メール日」としてメールと電話を4時間遮断し、中断なしでものを考えることができる時間を作るようにしたのです。休メール日を設けてからのスタッフは、業務に追い立てられている感じが少なくなり、より幸福度が増したと言います。

■集中力が戻るには25分かかる

また、仕事に取り組んでいる最中に声をかけられたり、メールが来たりして集中力が途切れると、元の集中力に戻るのに25分かかることも明らかにされています。

注意力を散漫にする要因を制限すると幸福度が高まり、さらにはストレスが軽減され健康にもよい、ということがわかったのです。

自分の集中力を守るために、自分の中でのルールや、一緒に働く人たち、チームでのルールを決めましょう。

■今すぐ実践できる「集中力を守る方法」

「休メール」を週に3回もやるのが怖かったら、まずは1日だけ試験的に導入しましょう。その日を今決めましょう!

職場の管理職に休メール日を提案しましょう。提案するのが怖ければ、この記事を管理職にそっと転送しましょう。このページに付箋をつけてそっと管理職の机の上にこの本を置きましょう。

ちなみに参考までに、私が実践する集中力を守る方法をご紹介します。それは、スマートフォンの「おやすみモード」を24時間設定しておくこと。

おやすみモードを設定すると、プッシュ通知がされてもスマホは振動せず、ただロック画面に通知がたまるだけになります。そして、自分が確認したいタイミングでメールやLINEを見ることができるのです。これによって、集中力が切れることがなくなりストレスも感じなくなるので、ぜひ試してみてください。

■妄想癖がある人は優秀な働き手である

あなたは夜寝る前、ベッドに入った時に、どんなことを考えていますか? 実は私には寝る前に習慣になっていることがあります。

それは「明日こうなったらいいな」「この先こんな展開にならないかな」と好き勝手に“自分にとって都合のいい展開”を妄想すること。

女性
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

「なんておめでたい奴だ」と思うかもしれませんが、この習慣が、仕事をするうえでの幸福度を高めることになっているのです(後日知ったことですが……)。

ベルギーのリエージュ大学などの研究者が2009年に行った実験では、被験者に2週間、毎晩数分間、「翌日起こるかもしれない、いい出来事」をいくつか空想してもらいました(「起こる可能性がゼロ」だったとしてもOK)。

そして2週間後……この空想を続けた人たちの幸福度は、全体的に大きく増加したといいます。

■根拠のない妄想でも、意欲が湧いてくる

これは仕事でも同様。

実際に起こるかどうかは別として、「明日仕事でこんなことが起きたらいいな」と毎晩数分間空想することで、仕事への幸福度も改善するのです。

「何かいいコト」を想像すると、脳にある「側坐核(そくざかく)」というやる気に影響を及ぼす部分が活性化することが脳科学ではわかっています。

仕事が大変でやる気がなかなか出ないという時でも、「起こるかもしれない、いいコト」を空想して側坐核を刺激すれば、働く意欲が湧いてくるのです。

「突然、取引先から新規の受注が入る!」
「職場で気になっている人とペアでプロジェクトを任される!」

……などなど、あなたの仕事で、明日起きてくれたらうれしい出来事はどんなことでしょうか?

さあ、妄想しましょう!

今、この記事を読んでいる途中で構わないので、仕事でこんな展開になったらいいなという妄想を書き出してみましょう。さあ、あなたはどんな気持ちになるでしょうか?

■1時間を超える通勤は失業と同じくらいネガティブなインパクト

あなたの通勤時間は片道何分ですか? ちなみに、私の通勤時間は0分。

主に自宅の書斎で仕事をして、ミーティングもオンライン会議サービスのZoomを使っているので、講演会や講座などの仕事を除けば日々の仕事はほとんど自宅で事足ります。

星 渉、前野隆司『99.9%は幸せの素人』(KADOKAWA)

新型コロナウイルスの影響で在宅ワークとなり、通勤時間がなくなったり、時差通勤で満員電車を回避する生活を体験した人もいるかと思います。その際、ストレスの軽減を感じた人も多いことでしょう。

カナダのブリティッシュコロンビア大学准教授のエリザベス・ダンなどによれば、通勤に片道1時間以上かけることは仕事での幸福度にネガティブなインパクトを与えるといいます。しかも、そのインパクトは失業した時と同じくらい(!)といいますから……。

夢のマイホームを郊外に買い、通勤時間が片道1時間以上かかるようになった……というのはよくある話ですが、マイホームを買って幸せになったと思いきや、通勤時間のネガティブインパクトで、「思っていたより幸せではない」という人も多いはずです。

また、「通勤時間が0分から22分に増えたことによる幸福度の低下を相殺するためには、通常の収入の3分の1が増えなければ効果がない」というスイスのチューリッヒ大学の研究結果もあるくらいです。

■通勤時間の短縮は企業業績を上げる

仕事で不満を抱えていたり、ストレスを感じていたら、まずは通勤時間を短くしたほうが早いかもしれませんね。

「そう言われても、急に“じゃあ短くします”なんてできないでしょ!」

……確かにそうかもしれません。でも、最近では「通勤をしない」、もしくは「通勤時間をラッシュ時からずらす」という取り組みを始める企業が増えています。

そしてその取り組みは、そこで働くスタッフのストレスを軽減するだけではなく、実は会社の業績向上にもつながっているのです。そんな事例が日本にもあります。ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社が2016年7月から始めた「WAA」(Work from Anywhere and Anytime)という取り組みがあります。

これは、「働く場所・時間を社員が自由に選べる」という人事制度。その主な取り組みは、私たちが働いている環境と比較すると少し驚くかもしれません。

■会社員なのに通勤時間ゼロを実現した方法

「会社勤めの私には無理な話……」と思うかもしれませんが、実際に私の生徒で、会社員であるにもかかわらず通勤時間を減らすどころか“ゼロ”にしてしまった例があるのでご紹介しましょう。

40代女性会社員のHさんは、週5日、8時間勤務で働いていました。副業OKの会社ということもあり、空いた時間で心理カウンセラーとして活動していました。次第にお客様も増えたため、有休などを使い、平日も心理カウンセラーとして活動するようになりました。ただ、有休を使っても平日に会社を休むことに後ろめたさを感じてもいたといいます。

そこで、上司に「週5勤務から、週4勤務に勤務形態を変更できないか?」と直談判。何度も交渉することになりましたが、結果として業務内容は変わらないまま週4勤務。つまりは、丸1日分の往復の通勤をなくすことができたのです。

最初からここまでの成果は無理かもしれませんが、「会社員には通勤時間を短くするなんて無理」という考えこそが、「自分を苦しめる原因となっている正しいと思い込んでいること」かもしれませんね。

通勤時間を短くできないのであれば、2週間に1回、平日に有休を使うなど、会社に行かなくてもいい行動計画を立ててみましょう。

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星 渉(ほし・わたる)
作家、ビジネスコンサルタント
1983年仙台市生まれ。大手企業で働いていたが岩手県で東日本大震災に被災。生死を問われる経験を経て「自分の人生の時間はすべて好きなことに費やす」と決め、独立起業し、心理療法やNLP、認知心理学、脳科学を学び始める。それが原点となり、個人の起業家を対象に「心を科学的に鍛える」ことを中心に置いた独自のビジネス手法を構築。日本や海外で数千人規模の講演会を実施し、グローバルに「好きな時に、好きな場所で、好きなシゴトをする個人を創る」ための活動をしている。『神メンタル』『神トーーク』(KADOKAWA)はシリーズ累計20万部突破のベストセラー。

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前野 隆司(まえの・たかし)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授
1962年山口県生まれ。84年東京工業大学工学部機械工学科卒業、86年東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了、同年キヤノン株式会社入社。慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等などを経て、2008年慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。11年同研究科委員長兼任。17年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。研究領域は、ヒューマンロボットインタラクション、認知心理学・脳科学、など。『脳はなぜ「心」を作ったのか』『錯覚する脳』(ともに、ちくま文庫)、『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社現代新書)など著書多数。

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(作家、ビジネスコンサルタント 星 渉、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授 前野 隆司)

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