30年以上病気知らずの医師が伝授「毎日15分、手袋はしない」免疫力が上がる医学的に正しい散歩のやり方
プレジデントオンライン / 2020年12月29日 9時15分
※本稿は、『プレジデントFamily2021冬号』の一部を再編集したものです。
■【睡眠・昼寝編】
①寝る前の水で、ウイルスを除去
今日から始められる感染予防として、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫氏が紹介するのが、「寝る前と起きた後に水を飲むこと」だ。
「鼻の奥から気管支にかけて、線毛と呼ばれる毛が生えています。わずか1/100mmほどの長さですが、菌やウイルスが体に入らないようにしてくれているのです」
この線毛は乾燥すると活動が弱まってしまう。
「線毛の活動を活発化させるため、寝る前と起床後にコップ1杯の水を飲んでください」
冬場でも、人間は大量の寝汗をかく。
「特に子供は寝ているときに汗をかきやすいです。水分不足を補う意味でも、枕元に水を入れたコップを常備しておくことは有効です。体が冷えないよう、冬場は常温の水が望ましいですね」
②15分の昼寝で疲労回復
「心身の疲労がたまっていると、菌やウイルスへの抵抗力が低下します。風邪や体調不良を避けるためには、こまめな休息が必要です」
とはいえ、受験直前などでなかなか休めないこの時期、大谷氏がお勧めするのが昼寝だ。
「15分程度、楽な姿勢で目を閉じましょう。意識が落ちるほど深く寝る必要はありません。目をつぶる、ウトウトするぐらいで十分です。深く寝てしまうと夜の睡眠に影響を及ぼすので逆効果です」
横たわらなくても、座ったまま寝るだけで効果があるという。
「私も診療の合間の休憩に、椅子で昼寝をしていますよ。子供たちの場合は、学校の昼休みに机に伏せて目をつぶるのでもいいかもしれません」
■【入浴編】
①良質な眠りのために湯船に15分つかる
「入浴は眠りの質に大きく関わってきます。湯船につかるのは10~15分が目安です。長すぎても短すぎてもよくありません。温度は39~40℃がいいでしょう」
熱い湯に長くつかると交感神経が刺激されて眠れなくなってしまう。
「ぬるま湯に適度につかると、体の奥までしっかり温まり血行が良くなり、眠りにつきやすくなるのです」
10~15分は少し長いと感じる子もいるだろう。
「入浴時はリラックスして過ごすのが一番ですが、勉強が差し迫っているのであれば、ぬれてもよい参考書や本をお風呂に持ち込むといいですよ」
②服に覆われていない部分はしっかり洗う
「新型コロナの影響で、多くの人が手洗いにはかなり気を付けるようになりました。しかし、そのほかの場所にもウイルスは付着しています」と大谷氏。
「小学生くらいだと、どうしても遊びの中で体の接触や、大声を出す機会が多いです。学校や塾がいかに感染症対策に力を入れても、移動中や街中でウイルスを付着させてくるかもしれません。すべて洗い落とす気持ちで念入りに洗いましょう。他人からの飛沫(ひまつ)が付着しやすい顔や首、洗い忘れが多い耳などもしっかり洗ってください」
飛沫や空気中のウイルスが、髪の毛や顔に付着している可能性があるそうだ。大谷氏は家に帰ったら、手洗いのついでに洗顔と洗髪まで終えてしまうという。
「全身くまなく洗うことが重要です。家族全員が徹底して、子供を守ってやってほしいですね」
■【運動編】
①手袋無し散歩でビタミンDをつくる
「ウオーキングや水泳、ジョギングといった軽い有酸素運動は、免疫のために働くNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させるといわれています。私は“風邪かな?” と思ったらプールで5分ほど泳ぐことにしています。運動する時間が無ければ、エスカレーターではなく階段を使うのでも大丈夫です」
ぜひやってほしいのが、毎日の散歩だという。
「皮膚が日光に当たることで、風邪予防に有効なビタミンDが生成されます。できれば毎日15~20分。朝7.5~10分、昼7.5~10分というように分けても構いません」
このとき手袋を外して、日なたを歩いてほしいと大谷氏。「ビタミンDをつくるために、なるべく日光を浴びてください。散歩をすると景色が変わるので気分転換にもなります」
②呼吸筋ストレッチで菌を体外に出す
「体内に菌やウイルスが入らないようにする体のメカニズムとして、咳(がい)反射があります。肺を鍛えることはできませんが、呼吸するための筋肉“呼吸筋”をストレッチで鍛えることで、ウイルスを体外に出す力を育てることはできます」
咳反射をスムーズにするために、特に重要になるのが、肋骨(ろっこつ)を動かす肋間(ろっかん)筋や横隔膜などだ。
「1日5分程度のストレッチ(イラスト参照)で、これらの筋肉は簡単に鍛えることができます」
●ストレッチの手順
1 両脚を肩幅に開いて立ち、両手でタオルを持つ。そして、ゆっくり息を吸いながら腕を頭上に上げる。
2 ゆっくり息を吐きながらタオルを脚の位置まで下ろす。これを4~5回くり返す。
3 タオルを持ち息を吸いながら腕を頭上に上げ、肘を伸ばした状態で息を吐きながら体を右に倒し、左側を伸ばす。
4 反対側も同様に4~5回行う。
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1989年群馬大学医学部卒。2005年に東京医科歯科大学呼吸器内科医局長就任。米国ミシガン大学留学を経て、09年に開院。著書に『絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理』(日経BP)など。
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(池袋大谷クリニック院長 大谷 義夫 文=土居雅美 イラストレーション=大河 紀)
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