「年収800万円なのに貯金ゼロ」30代女性が6800万円の老後資金を手に入れる2ステップ
プレジデントオンライン / 2021年1月12日 8時15分
■年収800万円クラスの女性管理職たち
欧米先進諸国に較べて、まだまだ男性優位が根強く残る日本社会ですが、それでも少子高齢化の進展もあって女性が貴重な労働資源とみなされるようになり、ようやくこの国でも女性活躍が当然在るべき姿と捉える社会風潮は高まってきています。
現状では大企業での女性経営者は少数ですが、中間管理職クラスにはバリバリとチームを引っ張るカッコいいキャリア女子が一般化しつつあるのは確かです。大手企業で中間マネジャークラスだと年収は800万円程度がイメージされ、30代のキャリア志向女子が目指すポジションとして、この辺りを意識していることでしょう。そして僕の周辺にもこうした逸材の前向きガンバリ女子が間違いなく増えています。
■稼いでいるのに貯まらない理由は「中途半端なエリート意識」
現状我が国サラリーマンの平均所得は400万円台で、平均世帯所得でも550万円程度ですから、800万円の所得を得る30代は相対的にはかなりの高収入だと言えましょう。ということは、我が国において30代800万円女子はその収入に見合うそれなりのプロフェッショナル(専門性)や卓越した仕事力を持った人材として評価されているはずで、総じて自己評価も高くなる。要するにちょっとしたエリート意識が芽生えてしまいがちです。
「わたしは社会や組織から選ばれている」と自覚してしまうと、選ばれた側に居るという高揚感からライフスタイル全般もそのステイタスにふさわしい自分を志向するようになるわけですが、それが往々にして身の丈を超えた水準を求めてしまうのです。
■年収800万は富裕層ではなく「普通カテゴリー」
年収1000万円台世帯の貯蓄が少ないとの説がありますが、さもありなんです。1000万円プレーヤーが、年収3000万円クラスのハイソな人たちの生活を求めるため、都心のタワマンに住んで自家用車は高級外車が当たり前と思い込み、子息を一流の私立にお受験させないといけないとの脅迫観念にとり憑かれるなど、背伸び志向を止められず、将来に向けた資産形成がおぼつかなくなるというわけです。
800万円キャリア女子にも同じ傾向があるとすれば、住居やクルマ、そして服やアクセサリーなどのファッション、あるいは交友関係につかう交際費などについて、上昇志向の自分を勘違いだと戒めるところからが、老後資金の処方箋の第一歩でありましょう。
即ち800万円は決して富裕層ではなく、平均水準よりはそこそこの超過収入がある「普通」カテゴリーの生活者であると客観視して、生活レベルを「普通」と考える水準に適合修正することからです。そうしたライフスタイルの棚卸しによって、普通レベルからの超過収入の金額が「見える化」されてくるはずです。
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■毎月10万円を天引きで投資へ回す
そもそも長い生涯のうち、自分が仕事をして収入を得られる期間は限られています。なので老後数十年を生きるための資金は、現役時代から常に一定額を分別して、将来への仕送り資金とみなさなければいけないのであって、手取り収入を丸ごとつかってしまえば老後資金が枯渇するのは自明の理です。まして「人生100年時代」は老後期間が長期化することも言わずもがなです。
さて800万円女子なら超過収入が少なくとも月10万円程度は見積もれるでしょう。ならば「超過分10万円は将来に向け貯蓄に回す」は過去の常識です。いくら銀行に預金を積み上げても、日本はもうずっとゼロ金利が当たり前になっていて、お金は新たな富(お金)を産んではくれません。なので新常識として「貯蓄から投資(資産形成)へ」が巷間叫ばれて久しいのです。
毎月のお給料から10万円を長期資産形成型の投資信託で積立投資に回しましょう。この時大事なのは、将来の自分に仕送りする資産形成資金は余資を回すのではなく、毎月の家賃と同等の優先順位で給料から最初に差し引く最重要ステイタスの資金と位置付けることです。余ったら投資に回す、という甘い考えではいつまで経っても仕送りは出来ません。
■3600万円が6800万円に育つ
そして積立投資をするにあたっては、「iDeCo」と「つみたてNISA」という政府の非課税制度をフル活用してください。両制度を満額活用してそれ以外の資金は通常の課税口座で同時に積み立てを続ければいいのです。
例えば世界の長期的経済成長を素直に取り込む国際分散ポートフォリオの長期保有型投資信託で、長期的期待リターンを年率4%と想定すれば、毎月10万円の積立投資をずっと継続すると、本当に老後を迎える30年後には投資に回した3600万円のコツコツ積み立て資金が6800万円程度にまで育つ計算が成り立ちます。
まさに老後はお金の心配から解放された富裕層になれますね。更に人生100年時代は育ったお金を投資信託のまま経済活動の中で働かせ続けることによって、老後資金を殖やしながらつかっていく考え方が肝要です。私たち人間は歳をとりますが、お金はいつまでも元気に働き続けられるのですから。
イソップ童話の「アリとキリギリス」に鑑みれば、まずはアリの行動規範(長期積立投資)を確立した上で、キリギリスのスタイル(今を楽しむ)も程よく取り入れる。800万円30代女子ならこれをケジメ正しく実践したステキな人生が実現可能でありましょう。
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セゾン投信・代表取締役会長CEO
1987年明治大学卒業、クレディセゾン入社。関連会社資金運用部にて債券のポートフォリオ運用に従事後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金運用や、海外契約資産の運用アドバイスを手がける。2006年セゾン投信を設立。
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(セゾン投信・代表取締役会長CEO 中野 晴啓)
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