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「Twitterは悪口ばかりだ」そう思う人が見落としているSNSの真実

プレジデントオンライン / 2021年1月21日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

TwitterなどのSNSは「悪口ばかりが並んでいる」と言われる。それは本当だろうか。HONZ代表の成毛眞さんは「悪口を好む人たちは声が大きい。そのため、まるで彼らが世の中の多数派であるかのように見えてしまうが、じつは違う」という――。

※本稿は、成毛眞『バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる』(SB新書)の一部を再編集したものです。

■「ターゲット層に届かない」はなぜ起こるのか

ただ何となくと書きたいことを書いて発信しても、肝心の読者がおもしろがってくれなければバズることはない。そこはやはりマーケティングの発想も必要だ。

まず考えるべきは、誰に向かって書いているのか。要するにターゲットを定めるということだが、これだけでは不十分である。あるターゲットに向けて書いたつもりが、まったくそのターゲットに刺さる内容でなかったとしたらバズるはずがないからだ。

では、定めたターゲットに確実に届くようにするにはどうするか。企業の広告戦略が参考になる。

ここで少し想像してみてほしい。

あなたが50代の男性だとして、紳士服店で「これは50代向けに作られた洋服なので、おすすめです」と言われたら「欲しい」と思うだろうか。あるいは、あなたが40代の女性だとして、「この口紅は40代女性の間で大ヒットしてます」と言われて、「いいな、自分も同じ色をつけたい!」と思うだろうか。

■SNS投稿は「想定読者のマイナス10歳」に向けて書く

老若男女、たとえ何歳であれおそらくそのように思う人は少ないだろう。「年寄り扱いするな」と実年齢に抗(あらが)うチョイスをしたくなるはずだ。

年端も行かない子供には「早く大人になりたい」という願望があるものだが、実際に大人になるにしたがって、人は「少しでも若いと感じたい」「少しでも若く見られたい」という願望を抱くようになる。

実年齢が50代だったら40代向けの洋服をすすめられたいし、実年齢が40代だったら30代の間で流行している色をつけたいのだ。

この心理をSNSの投稿に当てはめると、「ターゲットの−10歳」を意識して書けばいいということになる。50代の人たちに届けたいのなら40代向けを意識して書く。40代の人たちに届けたいのなら、30代向けを意識して書く。それくらいでちょうどいい。

POINT
・投稿をバズらせるためにはターゲットを明確にすること。
・想定読者にピンポイントで刺そうとしてもうまくいかない。
・ターゲットの「−10歳」を意識してはじめて、狙ったターゲットに届く。

■タイムラインが悪口ばかりになる原因

SNSでは基本的に悪口は書かないほうがいい。

炎上を避けるためでもあるが、それ以上に重要な意味を持つのはフォロワーの管理である。

世の中には、「誰か(何か)に対する悪口を好んで読む人」と「誰か(何か)に対する称賛を好んで読む人」がいる。

「類は友を呼ぶ」という言葉どおり悪口ばかり発信していると、悪口を好む人たちが集まってくる。彼らはみずからも悪口を好んで発信するため、あなたのタイムラインも悪口だらけになる。要するに自分のタイムラインが「荒れる」のだ。

悪口を好む人をいかにフォロワーから排除するかというのは、SNSにおいては大きな課題なのである。

悪口を発信するのは、それはそれでストレス発散などの意義があるのかもしれない。

だが、そのままでは発信が広くシェアされ、読む人に影響を与えることはない。つまりバズらないだろう。悪口を書くのは、じつはマーケティングの観点からもまったく賢明ではないのである。

どうしても悪態をつきたいのなら、人に見られない日記帳にでも書き殴るか、気のおけないリアルな友だちにぶちまけたほうがいい。

■SNSは「悪口を好む人が多い」のは間違い

悪口を好む人たちは声が大きい。意地の悪い野次馬根性で、過剰に騒ぎ立てるきらいがある。そのため、まるで彼らが世の中の多数派であるかのように見えてしまうが、じつは違う。声が大きいから数も多いように見えているだけだ。

本当は誰か(何か)に対する悪口よりも、誰か(何か)に対する称賛を好んで読む人のほうが、はるかに多いのである。

世の中には特定の民族や国家への差別を助長するようなヘイト本もあふれているが、企業や人物の成功譚(たん)など称賛本のほうがロング&ベストセラーになりやすい。この事実を見るだけでも、称賛を好んで読む人のほうが多数派であることがうかがわれる。

これが世の中の人口分布であり、SNSでも同様になっているはずなのだ。

ソーシャルメディアのいいねを表すハートが書かれた吹き出し
写真=iStock.com/Pascal Kiszon
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Pascal Kiszon

誰か(何か)に対する称賛を好む人たちは、いわゆるサイレント・マジョリティである。声は小さいが数は多い。そして声は小さいが行動力はある。

たとえば、ある商品をすすめている投稿を読んで「よさそうだな」と思ったら、サイレント・マジョリティの人たちは、すぐに買う。いいものは試したいという、前向きな好奇心に満ちあふれているからだ。

■サイレント・マジョリティを味方につけた書き手は最強

私も、しばしばおすすめの書籍や商品やアプリなどについて投稿する。

成毛眞『バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる』(SB新書)
成毛眞『バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる』(SB新書)

たいていは目に見えて効果があり、紹介した書籍が投稿直後にAmazonで品薄になったこともしばしばあるし、紹介した商品がメーカーから大量に送られてきたこともある。

向こうだってタダでは送らないだろうから、おそらく私の投稿によって売り上げが伸びるなどの効果があったのだろう。

この例からもうかがい知れるように世の中のほとんどの人は悪口に与(くみ)するより、称賛に同調したいものなのである。

この人口比率イメージは、ぜひとも頭に入れておくことだ。うるさいだけのノイジー・マイノリティは放っておけばいい。派手さはなくとも、サイレント・マジョリティを味方につけた書き手は最強といっていいだろう。

POINT
・悪口を好むフォロワーを排除することで、書き手の信用を保持できる。
・悪口を好む人は、声は大きいが人数は少ない。
・ほめ言葉を好む人は、声は小さいが世の中の圧倒的多数派である。

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成毛 眞(なるけ・まこと)
HONZ代表
1955年、北海道生まれ。中央大学商学部卒業。自動車部品メーカー、アスキーなどを経て、1986年、日本マイクロソフト入社。1991年、同社代表取締役社長就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社インスパイア設立。2010年、書評サイト「HONZ」を開設、代表を務める。

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(HONZ代表 成毛 眞)

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