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長引くWithコロナの中、時間をより有効に使えている人は何が一番違うのか

プレジデントオンライン / 2021年1月24日 8時15分

吉田愛さん

コロナ禍によるリモートワークの導入で、働き方がガラッと変わった人も多いはず。そこで、9人の女性リーダーたちのタイムマネジメント(時間管理)がどのように変わったのか、通常ワーク、リモートワーク、オフの日のスケジュールを基に語ってもらいました。

■24時間仕事をしながら遊んでいる感覚。仕事とプライベートの垣根をつくらない

「快適な外」であれば生活が楽しく仕事もはかどる

30代まではがむしゃらに働いていましたが、40歳をこえたあたりから考え方が変わりました。おいしいものを食べ、居心地のいい部屋に住んで、いい映画を見て本を読むための時間を確保する。どんなに忙しくても理想の生活を諦めず、社会的に意義のある仕事をしていきたいと思うようになりました。遊んでいるときも仕事をしているときも、すべての時間が混ざり合うことで、よいデザインができるのではないかと――。

現在は鎌倉の古民家をリノベーションして住み、リモートワークの拠点としています。ウッドデッキのテラスで、オンラインミーティング、原稿執筆、SNSでの発信、食事もしています。会議の合間の5分でご飯をセットしたり、草木の手入れをしたりと、隙間時間に充実した家事ができるのがリモートワークのメリット。またミーティングは時間内できっちり終わらせます。話し合いがダラダラしないように、相手がイエスかノーで答えられるような質問や資料作りも重要です。

オフィスワークの生産性の向上も大切なテーマ。数年前には東京にオフィスと食堂が一体となった「社食堂」を作りました。あわただしく仕事をするスタッフとの会話も大事にできるし、おいしい“食”を分かち合うことで、想像力やチーム力を高められ、時間も効率的に使えて一挙両得です(笑)。

いつも数多くの案件を抱えているので、“じっくりと考える”時間が奪われがち。そこで重要なプレゼンの数日前に「仮締め切り」を決めてほぼ完成形にして、残りの時間で精査。いったん締め切って、客観的な視点で見直しをする方法をとっています。基本的に建築業はお客さまからの要望ありきの“クライアントワーク”が中心です。今後は自ら発信する“オウンワーク”も多く手掛けていきたい。そのための時間づくりがこれからの課題です。

吉田愛さんのタイムマネジメントの極意

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吉田 愛(よしだ・あい)
サポーズ デザインオフィスCEO
1974年生まれ。穴吹デザイン専門学校卒業。広島と東京にサポーズデザインオフィスを谷尻誠氏と共同主宰。hotel koé tokyo、猿田彦珈琲下北沢店などを手掛ける。

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■社員のために常に時間に「余白」を持つこと。週末は社員に伝えるべきことをゆっくり考える

今はほとんどリモートワークにシフトしていて、週1回会社に来るかどうか。平日は部下からの質問に答えられるように、なるべく時間に余裕を持ち、スピード感重視で答えを出せるようにしています。

タッパーウェアブランズ・ジャパン 社長 竹本エリさん
竹本エリさん

休日は将来に向けての戦略立案や、本社に提出する資料の確認など集中してやるべきことに費やします。会議の前はある程度のアジェンダを休日に作っておきます。組織的にはコンパクトになっているので、いろいろな会議を私自身がファシリテート(進行)することも少なくありません。大体の落としどころを想定し、議事録もあらかじめ作っておく。そこに、実際の会議で決定したことを足していきます。こうしておけば時間を有効に使え、すぐに参加者とも共有できて効率的です。

また、リモート勤務になってから自社製品をアピールするためのSNS発信にも時間を多く使えるようになりました。とはいえ、やることが減っているわけではなく、一日中忙しいことに変わりはありません。筋トレ、ウオーキング、休日のお稽古事は、絶対やると決めた時間に行うようにしています。そうしないと忙しさにかまけてやらなくなってしまう。決め打ちでスケジュールに必ず組み込むことが大事ですね。

竹本エリさんのタイムマネジメントの極意

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竹本 エリ(たけもと・えり)
タッパーウェアブランズ・ジャパン社長
1968年生まれ。上智大学外国語学部卒業。東芝、ウォルト・ディズニー・ジャパン、ハインツ日本、ル・クルーゼジャポンを経て、2017年より現職。

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■ToDoリスト作りが大好きで業務の戦略・プランを立てるのが日課

スウェーデン人は、オンとオフを使い分け、プライベートを充実させる人が多いのですが、私には当てはまりません。社会人になってから常に仕事がメインで、“ワーク・ライフ・ミックス”を実践してきました。

エイチ・アンド・エム へネス・アンド・マウリッツ・ジャパン(H&Mジャパン)マーケティング・マネージャー ポーリーナ・カレリウス
ポーリーナ・カレリウスさん

前職の投資銀行ではメディア戦略を担当。ToDoリストを作って、短期、中期、長期と仕事の戦略を立てていくことを学びました。今でもこの経験が生きていて、仕事をスムーズに進めるのに役立っています。

現在携わっているマーケティングやPRは、チームで仕事をすることが多いので「あれをどうする」「これをどうする」という話し合いが常に必要。それがないと仕事が成り立ちません。私は時間の8割をチームのサポート、2割を自分に使っています。自分の仕事は集中して取り組める土日に回すこともあります。

きっちりとタイムマネジメントすることは、気持ちを穏やかに保つことにもつながります。効率よく仕事が進まないとイライラしてしまうし、私が“気分屋”では、多くの部下に迷惑をかけてしまうので。

そして相手の時間をリスペクトすることも忘れてはいけません。急な会議の時間変更やリクエストは周囲にストレスを与えてしまいます。やむを得ない事情がない限り、しないように努めています。

ポーリーナ・カレリウスさんのタイムマネジメントの極意

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ポーリーナ・カレリウス
エイチ・アンド・エム へネス・アンド・マウリッツ・ジャパン(H&Mジャパン)マーケティング・マネージャー
1987年生まれ。Stockholm School of Economics修了。投資銀行を経て2016年H&Mスウェーデン本社に入社し、17年に来日。日本と韓国のマーケティング、日本のPRを統括。

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■週1回の新幹線通勤のかたわらリモートワークの4日でとことん生産性をアップ

不確実な将来に備え自律的に働き方を選ぶ

夫が勤務するライオンの研究所が神奈川・小田原にあり、子育てに適した環境を考えて25年以上前からそこに住んでいます。コロナ禍前は新幹線で小田原から東京まで通い、さらに乗り換えて出勤、という毎日でした。新幹線での通勤時間を、スマホでニュースを見たり、英語の勉強をしたり、趣味のバレエの振り付けを覚えたりという時間にあてていましたが、現在は週4日のリモートワーク。随分時間を有効に使えるようになりました。

ライオン 執行役員 人材開発センター部長 小池 陽子さん
小池陽子さん

夫とはよく話し合います。在宅時の雑談の相手になってくれ、気晴らしになるのでリモートワークの能率も上がります。食事や片付けも2人でするので効率的。私がのび太だとすると、夫はドラえもん(笑)。例えばリモートワークに備えて「こういうデスク環境だといいなあ」と話したら、大きなモニターやパソコンを整えてくれました。本当にありがたいです。

リモートワークになって会社の業務をかなり見直しました。まずは形式的な会議の削減。会議室を取る手間や移動の時間がカットできたことが大きいです。そのかわり部下との1対1の対話、いわゆる1on1のオンラインミーティングを週に2、3回ほど行うようにしています。通常のオフィスワークでは、何十人もいる部下全員となかなか1on1をする時間がなかったのですが、オンラインなら時間さえ設定すれば、誰にも邪魔されず質の高い会話が可能です。部下だけでなく、会社の経営層とも積極的な話し合いの場を持てるようになりました。

1度、工夫してみたのは、会議の背景に議題のテーマを入れてみたこと。テーマが明確なので話し合いが脱線せず時間内にきっちりと終わりました。ほかには、終業時間の前に毎日30分ほど、部内のチームリーダー数人とミーティングを行う。一日の業務報告をしてもらい、その日に解決すべきことはその日に答えを出すように心がけています。こうすることで、意思決定のスピードアップとコミュニケーション強化も図れました。これも以前はやっていなかったので、やって良かった!と実感しています。

当分リモートワークに主軸を置いた勤務が続くと思いますが、コロナ禍での経験は、働き方についてじっくりと考えるきっかけになりました。今後も周りの声を聞きながら積極的に業務改善を行っていきたい。不確実な将来に備えて、私自身だけでなく、社員全員が“自律的な働き方”を目指せるようにしたいのです。

A3の紙に、横軸は時間、縦軸は空間としてクロスする線を引く。議題が過去のことか将来のことかなどの時間的な位置、部署単位のことか会社のことかなどの空間的な位置を把握して交わるところをポイント。この方法で議題の“位置”を可視化して議論を進める。

小池さんのタイムマネジメントの極意

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小池 陽子(こいけ・ようこ)
ライオン 執行役員 人材開発センター部長
東京理科大学薬学部卒業。1987年ライオン入社。薬品事業のブランドマネジャー、ビューティケア事業部長を経て、2020年より現職。

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■朝礼の時間を月1回に減らし、手描きの花の手紙を作って社員へのメッセージに

社長になってから徹底していることの1つ目は、仕事を抱えすぎず、指示を早めに出すことです。じっくり考えるべき案件は手元に残して、スピード感を持って解決すべきことは、ポイントを整理して社員に渡すようにしています。締め切り間際に渡されて困らないように、双方に時間に余裕を持つことを心がけています。2つ目は“確認の仕方”。もともと文書主義だったのですが、内容によっては口頭確認でもOKに。重要な事案は考えを整理し、認識のズレを防ぐために文書にしています。

コングレ 社長 武内 紀子さん
武内紀子さん

また、会社創業以来、毎日行っていた朝礼を月1回に減らしました。「毎朝時間を取られるのは嫌だ」という声が主に若い社員から届いていたためです。しかし、朝礼を無くしてしまうと社員との距離が遠くなります。そこで、毎週月曜にメッセージをイントラネット(社内ネット)で送ることにしましたが、文章だけではなんとも味気ない(苦笑)。趣味で描いていた花の絵を添えたところ「これなら読みたくなる」と社員からも反響がありました。

休日は街歩きをしたり定期的に母に会いに行ったりしていましたが、今は自粛気味なのが残念。時間に追われる毎日でも、自分なりのルーティンを決めて過ごすことは大事だと思います。

武内さんのタイムマネジメントの極意

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武内 紀子(たけうちのりこ)
コングレ社長
大阪大学人間科学部卒業。1990年コングレ設立に参画。国際会議や文化施設の営業等を経て専務に。2013年より現職。経団連審議員会副議長も務める。

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■リモート時には自社店をよく訪れ、勤務体系や売れ筋商品の確認に時間を割くように

最近、会社でも自宅でもオンラインミーティングが増えました。朝からたて続けに8本も、Skype、Zoomの繰り返しという日もあります。油断していると無表情になって口角が下がってしまうので、社内の小さい会議でもなるべくカメラをONにしています。姿が見えるほうが自分のやる気もアップし、話し合いが活発になって、結果的に時間の短縮に。

日本マクドナルド コミュニケーション&CR本部 広報部 部長 眞野 昌子さん
眞野昌子さん

役割上、コロナ禍に関する緊急案件処理が多いです。次々とこなさないといけないので、いい加減な対応にならないよう、アウトルックの共有スケジュールでは、自分だけの時間を最初にブロック。集中して仕事をする時間をつくっています。でも、資料作成を一人きりでやっていると、行き詰まってしまうことも……。そんなときは、チームメンバーや上司を巻き込む。効率もいいし、信頼関係の構築にもなります。

自粛期間中はできなかったのですが、リモートワークになってから東京近郊のマクドナルドに行くようになりました。自分は仕事をしながら、客層や、クルーの皆さんの仕事の様子、商品を食べているお客さまの反応を観察。広報として、現場の空気感を確かめることができ、とても有意義な時間になっています。

眞野さんのタイムマネジメントの極意

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眞野 昌子(まの・まさこ)
日本マクドナルド コミュニケーション&CR本部 広報部 部長
1970年生まれ。お茶の水女子大学生活科学部(現)卒業。ロイヤル、外資系PR会社、ジョンソン・エンド・ジョンソンを経て、2019年より現職。

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■時間ができれば可能な限りお客さまにご挨拶。それがビジネスチャンスにつながる

ホテル勤務は24時間体制ですから、サービスや調理のスタッフは早番、中番、遅番、夜勤と分かれて、効率的にシフトを組んで働いています。自分や部下のスケジュールや仕事の進行管理、オンラインセミナーでの学びなどはもちろんPCやスマホで行いますが、ホテルは生身の人間の交流の場。そういった中で、自分たちは“アナログな感覚”で仕事をすることが多いですね。

ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町 総支配人 芝田 尚子さん
芝田尚子さん

総支配人になってから、1日に3回はホテルを巡回してスタッフに声がけをしています。ロビーやレストランのテーブルにうかがって、お客さまにご挨拶することも忘れません。

このような気遣いの手間や時間は惜しみません。あるお客さまのご紹介の方がいらっしゃったときのこと。誕生日と聞いてメッセージプレート付きのケーキをご用意したら、その後もビジネスとプライベートの両方で使ってくださるように。どれだけITが進歩しても、リアルなコミュニケーションを大切にした“手作り感覚”を忘れないでいたいのです。

でも私が出すぎてはいけません。若手スタッフにも任せて、どんどん前に出てもらうことが大事。成功も失敗も体験することが彼らの成長の糧になると信じています。その時間は決して無駄ではないのです。

芝田さんのタイムマネジメントの極意

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芝田 尚子(しばた・なおこ)
ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町 総支配人
1965年生まれ。赤坂プリンスホテル、グランドプリンスホテル赤坂、グランドプリンスホテル高輪宿泊総支配人を経て、2019年より現職。

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■限りある時間をフルに生かして社員と向き合う時間をつくり、子どもの受験も全力で

部長職を打診されたとき、2人の息子の子育てをする自分には、会社にいられる時間に限りがあるので無理だと悩んでいました。しかしシンガポールの上司から、「私はアメリカにも日本にも部下がいて、リモートでコミュニケーションが取れている。あなたも工夫すればできる」と言われ、引き受けたのです。

日本HP カスタマーサポート統括本部 フィールドデリバリー本部 PCフィールドデリバリー部 部長 室屋 智子さん
室屋智子さん

それから“時間はつくり出すもの”という考えが身につきました。まずは早朝に出社して自分の仕事に集中する。チームメンバーとカレンダーを共有し、空いている時間は部下と話し合うなど、直接の対話を優先します。早めに帰って息子の習い事や塾への送り迎え、そして皆でご飯を食べて家族の時間を過ごし、夜、また仕事の時間を捻出します。

洗濯・掃除は夫と分担していますが、料理も全部やろうとすると心が折れてしまいます。忙しい時期は家事代行の「タスカジ」さんに、夕食や常備菜を作ってもらって大助かり。

リモートワークメインになった今では、チームリーダーが雑談も含めた部会を積極的に組んでくれて密なコミュニケーションが取れています。なんとなく頑張りを認めてもらったような感じでうれしい。家族も部下も、同じように時間を使って育てるという“母”の気持ちになって(笑)、24時間を割り振っています。

室屋さんのタイムマネジメントの極意

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室屋 智子(むろや・ともこ)
日本HP カスタマーサポート統括本部 フィールドデリバリー本部 PCフィールドデリバリー部 部長
1979年生まれ。青山学院大学文学部卒業。エンジニア、カスタマーサポート部門のコールセンター管理部門、サポート計画を経て、2017年より現職。

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■子育てと仕事を両立するためにパラレルワーク。自宅にいるときも、隙あらば仕事

22年間会社員をしていましたが、2020年の春に会社を辞めて独立。社労士とキャリアコンサルタントを兼業しています。下の子を出産したとき大病をしたので、子どもたちとの時間をもっと大切にしたいと思ったのが、会社を辞めた大きな理由です。

羽石社労士事務所、キャリアデザインコンサルティング代表 羽石 乃理子さん
羽石乃理子さん

現在、毎日午後3時か4時までは社労士の仕事に集中。スピード最優先で70%以上案件を仕上げてから、スタッフを含めて二重、三重にチェックします。近くの保育園に子どものお迎えに行って帰宅したら、コンサルティングの仕事に取り掛かります。特性が似ている業務は、まとめて行うほうが時間を有効に使えます。

子どもたちが2人で遊んでいたり、夫と遊びに行っているときは“隙あらば仕事”(笑)。集中しなくてもすむ仕事をすることが多いですね。

兼業なので、どの仕事をいつまでに終えるか常に優先順位を考えることはマスト。優先順位は毎晩自分宛てのSlackに送ります。毎月中旬から下旬ごろまで社労士の仕事が忙しく、そこを過ぎると、1on1のキャリアコンサルティング関連のシステム構築など、“急ぎではないけれど重要”な案件にも時間をかけます。忙しくて疲れてくると、夫に子どもを任せて、自分だけの時間をもらう。こういう心身のリフレッシュの時間も大切です。

羽石さんのタイムマネジメントの極意

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羽石 乃理子(はねいし・のりこ)
羽石社労士事務所、キャリアデザインコンサルティング代表
1976年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。損害保険会社、ヤフーを経て、企業在籍中に社労士とキャリアデザインコンサルタントを兼業。2020年に独立。

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(東野りか 文=東野りか 撮影=神ノ川智早)

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