橋下徹「コロナ特措法、罰則の重さを論じている場合じゃない」
プレジデントオンライン / 2021年1月27日 11時15分
■野党よ、与野党協議で特措法の「あるべき姿」を追求せよ
コロナ対応に必要不可欠な新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)の改正論議が、やっと国会で始まった。
僕は昨年の3月くらいからこの特措法のクソっぷりを、このメルマガやテレビなどのメディアで言い続けてきたが、一民間人コメンテーターの意見なんぞ何の力もない。政府与党をはじめ日本の政治は特措法の改正をずっと放置し続けてきた。
そんな中昨年末頃からやっと特措法改正論議が湧き起こり、年明け1カ月ちょっとで改正法が成立しそうな勢いだ。
それならなぜ、昨年の5月、6月、7月頃、一度目の緊急事態宣言の後に感染者数が比較的落ち着いた頃に、特措法改正を実行しなかったのか。この政治の怠慢は、強く非難を受けてしかるべきだ。
それは横に置いておいても、今回出てきたこの特措法改正案だが、これまたそのクソっぷりが甚だしい。
前号のメルマガ(Vol.232【権力行使の大前提(1)】なぜ僕は「罰としての店名公表」に断固反対するか)では、罰則規定に関する議論が優先され、営業の自由を制限したことへの補償額・支援額の算定基準があいまいな点を一番問題視した。
法案には、「支援を講じる」としか書かれていない。どのようなお店に、どのような金額が出されるのか、全く分からない。つまり、すべては「お上」にお任せするというクソっぷりな法案だ。
そして今国会では、与野党で「罰則の重さ」について協議に入っている。
政府与党が出してきた法案が、初めから与野党協議となるのは珍しいことだが(普通は政府与党の出した法案は、賛成多数で可決されるか、世間や野党の批判が激しい場合には取り下げられる)、これは法案を通すための政府与党のテクニックだ。
野党の意見を取り入れて修正すれば、野党に花を持たせることができる。そして政府与党は、国民から批判の声が大きい罰則規定について、自分たちの意見を押し通したのではなく、野党の意見も聞きましたよ、という言い訳ができる。
他方、野党にしてみれば、法案修正は一般的になかなか出すことのできない成果である。ゆえに罰則の修正に飛びつく可能性があるのだが、ここは自分たちの成果にこだわらず、特措法の「あるべき姿」を追求してもらいたい。
■現在の支援金はお上からの「施し」である
前号でも論じたが、ここでの罰則とは、補償額・支援額を導き出すための方便だ。
営業の自由の制限(休業・時短)を「お上」がお店にお願い・要請をする現行の特措法では、そのお願い・要請に従うか否かはお店の自由だというのが建前となっている。そもそもこの建前がおかしい。お上からのお願い・要請には従わざるを得ないのが現実なんだから。
それでもこの建前があることで、自分の意思でお店を休んだり、時短営業をしたりしても、「お上」からは補償や支援は出ない。これが現行の特措法の考え、ロジックだ。
ゆえに今、政治行政が出している支援金は、あくまでも「お上」からの「施し」に過ぎない。法に基づいたお店の権利に応えたものとはなっていないのだ。
だから金額もいい加減だし、どの業種に出すのかもすべて「お上」の胸三寸となっている。お店からすればたまったものじゃないよね。
(以下省略/全文はメールマガジンでお読みください)
(ここまでリード文を除き約1300字、メールマガジン全文は約9900字です)
※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》Vol.233(1月26日配信)の「本論」から一部を抜粋したものです。気になった方はメールマガジン購読をご検討ください。今号は《【権力行使の大前提(2)】いよいよ始まる特措法改正! 議論すべきは罰則ではなく補償額の基準だ》特集です。
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元大阪市長・元大阪府知事
1969年東京都生まれ。大阪府立北野高校、早稲田大学政治経済学部卒業。弁護士。2008年から大阪府知事、大阪市長として府市政の改革に尽力。15年12月、政界引退。
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(元大阪市長・元大阪府知事 橋下 徹)
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