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EXILEのトレーナーが教える「ビジネス・アスリート」がやるべき呼吸の整え方

プレジデントオンライン / 2021年1月20日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AntonioGuillem

ビジネスパーソンはどれだけカラダを鍛えればいいのか。EXILEなどのフィジカルトレーナーを務める吉田輝幸氏は「ビジネス・アスリートとして分析力を向上させるには、深い呼吸ができるようになることが大切だ」という——。

※本稿は、吉田輝幸『6つの力を養い、理想の働き方を叶えるトレーニング』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

■まずは「あるべき姿」と「現状」を明確に

ビジネスも身体づくりも、そのためのトレーニングも「あるべき姿」、つまり理想とするあり方やゴールを設定することと、それに対する「現状」を把握することからはじまります。両方が明確にわかって初めて、2つの間のギャップを知ることができ、ギャップを埋めてゴールに達する道筋が見えてきます。何を、どう行うかといった具体的な方法やアクションプランを練ることができるのです。

こうした作業は、ビジネスの現場でも、事業やプロジェクトに応じてさまざまな規模で行われているはずです。どんな分野のビジネスでも、売り上げなどのゴールとなる目標があり(その達成度合を示す指標をKGIといいます)、それを達成するまでのプロセスごとに、重要業績評価指標(KPIといわれます)が設定されているでしょう。

そして、それらに対して「現状」はどうなっているのか、さまざまな角度から客観的に正しく見る必要があります。

「正しく見る」とは、現実をしっかり受け入れるということです。現状のレベルが低すぎて目標達成にはほど遠く思えても、KPIのような段階ごと、必要な要素ごとの目標を設ければ一つずつクリアしていけるかもしれません。プロセスを適正に設定するためにも、現状から目を背けず、ごまかさずに見ることが大事です。

逆にいえば、現状把握が曖昧だったり、自分や組織に都合よくとらえたりしていては、現実に則したプロセスを考えることができません。最終目標も達成できない可能性が高まってしまいます。

■カーナビとは違い「現在地」は自分で知る必要がある

「あるべき姿」と「現状」を把握することをもっと簡単に言えば、カーナビをセットするようなものです。自分はどこへ行きたいのか、ナビを使うときにはまず、「目的地を設定」します。このとき、「現在地」はカーナビではGPSが自動で検知して表示してくれます。

ところが、ビジネスやトレーニングでは、現状把握は「自動で」とはいきません。自力で正しく見る必要がありますが、特にトレーニングでは、ここができている人が少ないように感じます。

トレーニングに必要な現状把握とは、今の体重や体脂肪率などの数値だけではありません。ダイエットや筋力アップを目指す人の中には、ときには体重しか見ていない人や、目標についても、

「体重△kgになりたいから、◯kg減らせばいいわけか」

と単純に考えているケースもあります。

本当はもっと考えるべきことがあります。具体的にどんな身体になりたいのか、どのように動ける身体がいいのか、つまりその身体で何をしたいのか、どんな仕事の仕方や生活をしたいのかといったことです。

■「叶えたい望み」は人によって違う

トレーニングの目標に仕事や生活のことまで関係するのか?

そう思う人もいるかもしれませんが、ちょっと考えてみてください。自分の仕事はスタミナ勝負で身体を使う仕事なのか、それともデスクワーク中心なのか、単純にこのことだけでも、必要な体力や機能は異なります。

仕事を離れたプライベートでも、休日は小さな子どもと思いっきり遊びたいのか、趣味のスポーツで成績アップしたいのかなど、人それぞれライフスタイルや叶えたい望みがあるはずです。

■トレーニングの目標設定とは人生設計である

長期的スパンで見ることも必要でしょう。今の年齢から将来を見据えたとき、どんな暮らしをしていたいのか、夢や理想はありますか? それを叶えるには、どんな身体であることが望ましいでしょうか。

吉田輝幸『6つの力を養い、理想の働き方を叶えるトレーニング』(幻冬舎)

将来の夢の実現には、経済や環境、周囲の理解とともに、自分の「身体」も欠かせない重要な要素です。ビジネス・アスリートとして今向き合っている仕事や、この先の長い将来など、トレーニングの目標やビジョンを掲げるには、短期・長期と視点を変えながら、人生全体を俯瞰して考える必要があるのです。

このことは、私自身が仕事を通じて、さまざまな分野や立場で働く方々と接していて感じることでもあります。たとえばアスリートの場合なら、「あるべき姿」として、

「メジャーリーグで3割打ちたい、シーズン中フル出場したい」

といったことが挙げられたりします。それに対して必要な身体的要素は何か、現状はどうなのかといった指標が見えてきます。ビジネスの世界で戦う経営者たちも、自分の思う「あるべき姿」をそれぞれ明確に描いています。アスリート並みの身体を目指す人もいますし、仕事のパフォーマンスが発揮できれば、あとは健康維持のためという人もいます。

■ビジネスの手法は自身の現状把握にも役立つ

ビジネスにおいて、現状把握や目標達成のためにはさまざまな考え方や手法が用いられます。「MECE(ミーシー)」もその一つで、簡単にいえば「漏れなく、ダブりなく」という意味です(Mutually Exclusiveand Collectively Exhaustiveの略語で、「個々の事柄が重複することなく、しかも全体として漏れがない」ということです)。

複雑なビジネスの現場では、ものごとの全体を把握しながら、個別の事柄にも対応して効率的に進めていくことが求められます。正解のない世界で最善策を最善のタイミングで打っていくには、漏れやダブりがあっては効率が下がってしまいます。こうした事態を防ぐためにあらかじめ考える手法の一つが、MECEです。

もう一つ手法の例を挙げると、MECEを具体的に使うためのものとして「フレームワーク」があります。

今、「あなたの身体の現状は?」と聞かれたとしたら、「何をどう答えればいいのかわからない」となる人は多いのではないでしょうか。ここで、もし目安とすべき切り口が示されれば、グンと考えやすくなるはずです。「そうだな、体重や体脂肪は許容範囲のはずだけれど、見た目にはもっと太って(やせて)見える気がする。体力的には、疲れやすくてスタミナ不足かもしれない。十分食べているつもりだが、会食が多くて、飲みすぎだろうか……」と。

このように、ものごとは複数の切り口があると明確に把握できます。切り口が漏れなく網羅されているかどうか、同じ内容の切り口がダブっていないかを考えれば、MECEもクリアできます。

■「分析力」とともに「集中力」の質も変わる

分析という深い思考や洞察には、脳が活発に機能することが必要です。

思考を担う脳とトレーニングの関係で大事なことの一つが「呼吸」です。正しい呼吸で全身の血流が促されれば、酸素とともに脳にも十分血液が行き渡るからです。深い呼吸は、それだけで思考を穏やかに安定させ、クリアな状態でものごとを考えられる効果もあるでしょう。

そしてビジネスの起点として「分析力」とともに、もう一つ重要な力があると私は思います。

それはズバリ「集中力」です。

集中力というと、多くの場合、何かに没頭したり熱中して取り組んだり、それによってビジネスを迅速に行う力だとされます。その力も引き続き必要ですが、これからの時代はそれとともに、複雑な多様性のなかから最適・最善を「選択」し、パワーを「集中」させる力、つまり「選択と集中」という意味での集中力が重要になります。

2020年は世界全体がこれまでなかった事態に直面し、経済も変化を余儀なくされています。さまざまな業種が厳しい現実にさらされ、太刀打ちできなくなっています。トレーニング業界も早くから打撃を受け、世間の注目を浴びました。トレーニングはオンラインが前提になるなど手法が様変わりしています。

さらに、トレーニングやジム経営のライフサイクルも重なって影響しています。順調な成長曲線をたどってきたこの業界も、成熟期を迎え、やがてそう遠くない時期には衰退期へ移行していくでしょう。

■「選択と集中」を行うために分析して見極める

ビジネスのライフサイクルでは黎明期、成長期、成熟期、衰退期、それぞれにふさわしい戦略があります。どんな選択肢のなかから何を選び、何を手放すのか、衰退期のあとは何を切り捨て、新たにどんな事業を興すかなど、各々の時期ごとに選択と集中が問われていくのです。

私個人は、もしかするとCompetitor(競合)が少ないと言えるかもしれません。経営学を専門的に学んでいるのも、一つの強みとなり得るかもしれません。

とはいえ、やはり業界や社会全体を見れば、この先どんな選択をし、何に集中していくか考えたりもしています。ジムやスタッフはもちろん、同じ仕事に従事する仲間たちのためにも将来性のある展開を見出したいと思っています。

こうしたことは皆さんにも起き得ることです。もう起きている場合もあるでしょう。「選択と集中」をする際に、選択肢の見極めすら、過去の前例からは判断できないこともあるかもしれません。そんなときでも、「仮説と検証」を繰り返すといった不変の方法もあると思います。ただし、これまでは一発でうまくいったけれど、これからは何度も繰り返して精度を上げる必要があるかもしれません。

■分析力を高めるために呼吸を整えよう

ここで紹介するエクササイズは、呼吸を重視し、血流を高めて脳の状態を良好にします。単なる深呼吸ではなく、肋骨や横隔膜の動きを正して、お腹にも胸にも空気をたっぷり吸い込む「仰向け呼吸」のほか、「うつ伏せ呼吸」は正しい呼吸は背中まで空気が入ったように膨らむことを実感できるはずです。

これらは、誰にも教わらなくても深く大きな呼吸ができる赤ちゃんがお手本です。重力の負荷を受けずに長年のクセを改善できるよう、寝そべった姿勢で行います。

また、朝の目覚めをよくして一日をすっきりとはじめられる、肩甲骨まわりをほぐすストレッチもあります。夜、不自然な体勢で寝ていると、思った以上に身体に負担がかかります。仕事中はあまり使わない肩甲骨まわりを朝一番にほぐしておけば、肩こり予防に効果的です。朝の目覚めや夜寝る前の習慣として、取り入れてください。

「コレクティブ・エクササイズ」は、長年の身体の使い方のクセやバランスの悪さなどを改善し、正しく整えるためのメニューです。これを通じて「呼吸」を整えれば、脳の血流が促され、頭の回転が速くなるとともに、多角的思考や深い洞察もしやすくなるなど、脳機能そのものが活性化します。同時に、深い呼吸には余計な雑念を鎮める作用もあります。冷静かつ客観的な分析には、整った呼吸が欠かせないのです。

分析力トレーニング 仰向け呼吸(ブリージング)
出所=『6つの力を養い、理想の働き方を叶えるトレーニング』
「動画でチェック!」
分析力トレーニング うつ伏せ呼吸(ブリージング)
出所=『6つの力を養い、理想の働き方を叶えるトレーニング』
「動画でチェック!」
分析力トレーニング Y・Wストレッチ(肩甲骨ストレッチ)
出所=『6つの力を養い、理想の働き方を叶えるトレーニング』
「動画でチェック!」

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吉田 輝幸(よしだ・てるゆき)
フィジカルトレーナー
1975年生まれ。2009年に株式会社PCPを設立し、EXILEをはじめLDH所属アーティストのフィジカルトレーナーとしても活躍。アスリート指導、一流ビジネスパーソンのサポートもしつつ、トレーナー育成のプロジェクトなども進め活動の場を広げている。著書に『DVD EXILEフィジカルトレーナーが教える1日3分! 体幹トレーニング』(西東社)、『腹筋を割る技術』(幻冬舎新書)などがある。

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(フィジカルトレーナー 吉田 輝幸)

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